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ホーム > 県政情報 > ようこそ知事室へ > 施政方針 > 令和3年第4回県議会定例会提案理由説明要旨

更新日:2021年11月29日

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令和3年第4回県議会定例会提案理由説明要旨

令和3年第4回県議会定例会の開会に当たりまして,当面する県政の諸問題の推移及び今回提案しております議案その他の案件につきまして,概要を御説明申し上げます。

まず,高病原性鳥インフルエンザについては,渡り鳥が飛来するシーズンである10月から翌年5月までを県の飼養衛生管理基準遵守強化期間に設定し,10月には,高病原性鳥インフルエンザ等防疫対策会議の開催や防疫演習などを実施し,農家や関係者における防疫意識の向上を図ってきたところであります。
このような中,今月13日及び15日に,出水市の養鶏農場において,本県では今シーズン初めての高病原性鳥インフルエンザが発生したところであります。
県では,発生農場から半径10キロメートル以内の鶏や卵などの移動を制限し,幹線道路沿いなどに消毒ポイントを設置するとともに,出水市や県建設業協会出水支部等と連携し,発生農場における鶏の殺処分など一連の初動防疫措置を速やかに実施したところであります。
また,今年の夏,ロシアやヨーロッパでは高病原性鳥インフルエンザが大流行しており,渡り鳥が飛来する我が国においても,例年になく感染リスクが高まっていることから,今月18日には高病原性鳥インフルエンザ対策本部会議を開催し,本県独自の「高病原性鳥インフルエンザまん延防止緊急対策」を取りまとめ,家畜伝染病予防法に基づき,県内全ての養鶏農場に対し,消毒とネズミ駆除を徹底する命令を発出するとともに,毎日の自主点検の実施など飼養衛生管理基準の遵守強化や,野鳥監視重点区域における野鳥監視の徹底等を図ることとしたところであります。併せて,養鶏農場への消石灰や殺鼠剤の支援を通して,対策の実効性を高めることとしております。
県としては,何としても更なる発生を防止したいと考えており,市町村や関係機関・団体と一体となって,最大級の防疫意識を持って,まん延防止対策に取り組んでまいります。
さて,我が国経済は,新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和されつつあるものの,引き続き持ち直しの動きに弱さがみられるところであります。
先行きについては,経済社会活動が正常化に向かう中で,各種施策の効果や海外経済の改善もあって,景気が持ち直していくことが期待されますが,供給面での制約や原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する必要があります。
県内経済は,個人消費が基調としては緩やかに持ち直しているものの,観光については厳しい状況が続いており,全体としては,このところ足踏み状態となっております。
こうした中,県では,新型コロナウイルス感染症対策に係る地方財源の充実・確保,国による観光需要喚起策の継続,地方のデジタル化の推進に向けた取組への支援,防災・減災,国土強靱化の充実・強化,大量の軽石の漂流・漂着対策やサツマイモ基腐病対策の充実・強化などについて,国に対して要望を行ったところであります。
国においては,本県などが行ったこのような地方の要望も踏まえ,今月19日に,新型コロナウイルス感染症の拡大防止,「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え,未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動,防災・減災,国土強靭化の推進など安全・安心の確保を柱とした経済対策を決定し,26日には関連の補正予算案を閣議決定したところであります。
県としては,国の施策とも連携して,令和3年度当初予算及び補正予算に計上した各種の事業を効果的に展開することにより県内経済の早期の回復に努めるとともに,国の経済対策の内容を踏まえ,速やかに必要な対応を講じてまいりたいと考えております。
私としては,鹿児島の「稼ぐ力」の向上に努めるとともに,結婚・出産・子育てしやすい環境の整備や高齢者が健やかで生きがいを持てる社会の形成などに取り組み,これらを基盤として,将来にわたって高齢者や女性,障害者,子どもなど,誰もが安心して暮らし,活躍できる鹿児島をつくるため,今後とも,「誠実に」,「着実に」県政の推進に全力を挙げて取り組んでまいります。
県議会の皆様方をはじめ,県民の皆様方の御理解と一層の御支援を心からお願い申し上げます。

次に,最近の県政の展開の中で主な事項について御報告申し上げます。

まずはじめに,新型コロナウイルス感染症への対応について申し上げます。
新型コロナウイルス感染症については,9月以降,全国的に新規感染者数が減少し,各都道府県に適用されていた緊急事態宣言やまん延防止等重点措置は,9月30日をもって全て解除されたところであります。
本県においても,9月20日以降,新規感染者数は1桁台で推移し,10月25日以降,重症患者や酸素投与が必要な患者が1人も発生していないなど,現時点において,感染状況は落ち着いているところであります。
感染拡大の警戒基準については,今月8日に,国の分科会において,感染状況等を0から4までの5つのレベルに区分し,これまでより医療提供体制の逼迫の状況に重点を置いて評価する,新しい分類への見直しが示されたところであり,各レベルで必要な対策を機動的に講じる提言がなされたところであります。本県においては,これまでも医療提供体制の逼迫の状況を注視してきたところでありますが,今回の見直しを踏まえ,改めて医療提供体制の逼迫の指標を重視することとし,今月25日に開催した県対策本部会議で,県の警戒基準を見直し,新しい基準に沿って感染状況の段階を「レベル0」としたところであります。
今後,年末年始を控え,人の往来や会食など人との接触の機会が増加することにより,感染リスクが高まることが懸念され,専門家からは「第6波」の恐れがあるとの指摘があることから,引き続き,感染防止対策の徹底と,「第6波」を見据えた医療提供体制の備えが必要であると考えております。
県では,今月12日に国が示した「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」も踏まえ,医療提供体制の強化やワクチン接種の促進,感染リスクを引き下げながら経済社会活動の継続を可能とする対策などに取り組むこととしております。
医療提供体制の強化については,県では,今夏の「第5波」における課題も踏まえ,「第6波」に備えて,一般医療との両立を図りつつ,新型コロナウイルス感染症に感染した方が回復し,療養解除となるまで,切れ目なく安心して医療サービスが受けられるよう,総合的な保健・医療提供体制の整備について定めた「保健・医療提供体制確保計画」を,新たに策定することとしております。この計画を踏まえ,必要な病床及び宿泊療養施設の更なる確保に取り組むとともに,全庁的な支援体制を含む保健所体制の強化,入所調整や搬送業務の外部委託等による業務の円滑化,やむを得ず自宅待機者が発生した場合における健康観察等の体制の構築のほか,離島における宿泊療養施設や島外への搬送手段の確保などを進めることとしております。
ワクチン接種については,これまで,市町村が主体となって接種を進めている中,県においても若年層を含む県民の接種の加速化を図るため,独自の大規模接種会場を設置するなど,市町村と連携した取組を進めてきたところであります。今月中に,おおむね希望する全ての県民の2回目の接種が完了する見込みとなっており,最終的に,12歳以上人口に対する接種率は約87パーセントとなり,全人口に対する接種率は約78パーセントに達する見込みとなっております。現在,国においては,3回目の追加接種の準備を進めており,県としては,引き続き,市町村と連携しながら,2回目接種完了からおおむね8か月経過した方に対する追加接種の12月開始に向けて,準備を進めてまいります。
感染防止対策と日常生活の回復の両立に向けては,国が示したワクチン・検査パッケージに関し,本県においても,行動制限の緩和の適用を受けようとする飲食店やイベント主催者等の事業者の登録,健康上の理由等でワクチン接種を受けられない方を対象としたPCR検査等の無料化に向けた検査体制の整備などに取り組んでまいりたいと考えております。
また,飲食店の第三者認証制度については,今月24日現在,1,838店舗の認証を行っているところであります。国においては,ワクチン・検査パッケージを活用した,今後の感染拡大時における様々な行動制限の緩和の一つとして,第三者認証店舗における飲食について,人数制限を緩和したところであり,県民の皆様に安心して飲食店を御利用いただけるよう,引き続き,認証の取得促進に積極的に取り組んでまいります。
消費意欲喚起の割引クーポンについては,今月から割引の対象に新たに特産品を加えるとともに,第三者認証を取得した飲食店について割引額を引き上げたところであります。現在,想定を上回るペースで多くの県民の皆様に御利用いただいており,新型コロナウイルス感染症により影響を受けた飲食店の支援や消費意欲の喚起につながっていることから,割引クーポンを来年1月末まで発行するために必要な経費を,今回の補正予算に計上しているところであります。
また,集客効果のあるイベントの開催助成については,多くの団体から御要望をいただいており,県内各地において県民の街中への外出を促し,消費行動の回復を図ることができるよう,更に多くのイベント開催を支援するために必要な経費を,今回の補正予算に計上しているところであります。
県では,10月1日以降,感染拡大の警戒基準を段階的に引き下げたこと等に伴い,「かごしま旅クーポン」や「今こそ鹿児島の旅(第2弾)」等の需要喚起策について順次,事業を再開したところであり,長引く新型コロナウイルス感染症の影響により,大変厳しい状況に置かれている本県の観光関連産業を引き続き支援してまいります。
また,8月から受付を開始した宿泊施設の感染防止対策に係る第三者認証制度については,今月24日現在,210施設の認証を行っているところであり,認証施設については,県の専用サイトで紹介するとともに,旅行商品の販売活動等にも活用されており,観光客等に安心して県内の宿泊施設を御利用いただけるよう,引き続き,認証の取得促進に積極的に取り組んでまいります。

奄美群島内に大量に漂着している軽石の問題については,10月15日に,庁内の関係課による「奄美群島地域軽石等情報連絡会議」を開催し,庁内の情報共有と今後の対応を協議したところであります。
また,10月29日には,県及び国の関係機関,関係市町村による「軽石漂着等対策調整会議」を開催し,被害や対応状況等について情報共有を図るとともに,今後の対策について協議を行ったところであり,現在,国や関係市町村と連携して,原状回復に取り組んでいるところであります。
今月1日には,まず環境林務部長が環境省を訪問し,国の支援を要望したほか,私も16日に関係省庁を訪問した際や,27日に二之湯内閣府防災担当大臣が奄美大島の軽石被害の視察に訪れた際に,軽石の回収等に活用できる国庫補助事業や災害復旧事業の採択及び予算の確保,事業活動に支障をきたしている漁業や観光事業に対する支援などの要望を行ったところであり,引き続き,国や地元市町村と連携しながら,状況の把握や必要な対策に取り組んでまいります。
「かごしま未来創造ビジョン」の見直しについては,今月10日に開催した第2回目の有識者委員会において御議論いただき,この度,これまでの県議会や有識者委員会等の御意見を踏まえ,ビジョン見直しの素案を取りまとめたところであります。
新たに策定する行財政運営の指針については,これまでの県議会や有識者会議等での御意見を踏まえ,先日,行財政運営の基本的な考え方や行財政改革の方向性,主な施策等を盛り込んだ素案を取りまとめたところであります。
これらの素案については,今議会で御論議いただくとともに,パブリックコメントを実施することとしており,県議会や県民の皆様方の御意見も踏まえ,今年度末を目途に策定したいと考えております。
「知事とのふれあい対話」については,10月23日から24日にかけて奄美市,大和村,宇検村で,今月7日に南九州市,指宿市で,20日から21日にかけて種子島の3市町及び屋久島町でそれぞれ開催し,各会場において,県民の皆様と地域の現状や課題,振興策等について,率直な意見交換を行ったところであります。
今後,12月25日から26日にかけて,曽於市,志布志市,肝付町で開催する予定としており,できるだけ早期に全市町村において開催し,県民の皆様の声を県政に反映するとともに,透明で開かれた県政運営を行ってまいります。
馬毛島における自衛隊施設の整備等については,今月9日に,国から,馬毛島への自衛隊施設の整備等に関連して,工事に使用するコンクリート等を製造するための仮設プラントについて,馬毛島島外において設計,部品製作等を実施するための入札公告を,近々行うとの連絡がありました。
県としては,このような入札公告を行う前に,環境影響評価の手続等により,住民の皆様が判断できる材料を示すべきと考えており,その点に関しては了承しかねるとの県の考えを,国に伝えたところであります。
このような中,今月11日に,国が仮設プラントの入札公告を行ったことから,県としては,改めて,県の考えを伝えたところであります。
今月16日には,私から岸防衛大臣に対し,直接,まずは,環境影響評価の手続等により,住民の皆様が判断できる材料を示すべきとの県の考えをお伝えするとともに,地元への丁寧な説明を求めたところであります。
馬毛島における自衛隊施設の整備等については,関係自治体などから様々な意見や要望も出ていることから,国においては,十分な説明責任を果たしていただく必要があると考えております。
今後とも,関係自治体の首長と意見交換を行い,その内容を国にお伝えするとともに,国による説明や地元の意見をお聞きした上で,県としての考え方を整理し,対応を検討してまいりたいと考えております。
新たな総合体育館については,今月16日に開催した第5回の検討委員会において,県農業試験場跡地,鴨池ニュータウン9・10号街区,住吉町15番街区,ドルフィンポート跡地,市脇田処理場等跡地の5か所を整備候補地として選定していただくとともに,これらを1か所に絞り込んでいただくための評価基準として,交通利便性や宿泊・商業施設の集積状況,経済波及効果,敷地面積の確保,周辺道路の状況など,専門のコンサルタントを活用して設定した12の項目について検討を行っていただいたところであります。
翌17日には,選定された5か所の候補地について現地調査を行い,土地の現状や周辺環境等について御確認をいただいたところであります。
26日に開催した第6回の検討委員会においては,評価基準に基づき5か所の整備候補地を評価した結果について議論が行われました。
その結果,ドルフィンポート跡地と住吉町15番街区を一体的なエリア(鹿児島港本港区エリア)として,今後,レイアウトなど,基本構想(案)の作成に向けた検討を進めることとされたところであります。
県としては,この整備予定地をはじめ,新たな総合体育館の整備のあり方について,県議会で御論議いただくとともに,県民の皆様の御意見も伺った上で,最終的には県の判断において基本構想を策定したいと考えております。
社会のデジタル化の推進については,今年度,デジタルによる社会変革に向けた課題と基本的な方向を明確にするため,推進戦略策定に向けた取組を進めているところであります。
行政のデジタル化を推進し,行政事務の効率化を図ることにより,各種申請や手続など県民サービスのスピードアップや質の向上を推進することとしており,また,民間のデジタル化を推進し,県内産業の生産性の向上を促すとともに,デジタル化によって得られるデータの利活用を進めることで,新産業の創出や県民の暮らしの質の向上を目指すこととしております。
今般,様々な分野の専門的な知識を有する県DX推進アドバイザーの意見も参考にしながら,戦略の素案を取りまとめたところであります。今後,県議会で御論議いただくとともに,パブリックコメントを実施することとしており,県議会や県民の皆様方の御意見も踏まえ,今年度末を目途に策定したいと考えております。
中小企業のデジタル化の推進については,IoT・AI等の先端技術の活用を進めるため,取組状況に応じた段階的な支援を行うとともに,新たにITツールの導入や社内デジタル人材の育成等を支援することとしており,今月15日までに申請があった85件の取組について,現在,速やかな事業採択に向け手続を進めております。
奄美の世界自然遺産については,関係者各位のこれまでの御尽力へ感謝するとともに,奄美のすばらしい自然を次の世代に継承していく決意を新たにするため,国や市町村,関係団体等の関係者に参加いただき,10月23日に奄美大島,今月13日に徳之島で「世界自然遺産登録記念式典」を開催したところであります。
また,10月1日から今月7日にかけて,世界自然遺産への登録により,国内外の注目を集める奄美群島の歴史や文化を紹介する企画特別展「ほこらしゃ奄美~海と山の織りなすシマの世界~」を歴史・美術センター黎明館において開催したところであります。
県としては,今後とも,国,沖縄県,地元市町村等と連携を図りながら,自然と共生する環境文化が息づく奄美の世界自然遺産としての価値の維持,自然環境の保全と利用の両立などをより一層推進してまいります。
奄美群島の振興については,航路・航空路の運賃軽減や農林水産物の輸送コスト支援など,奄美群島が有する条件不利性の改善などの取組を推進しているところであります。
また,冬場の閑散期における大都市圏等と奄美群島を結ぶ航路・航空路運賃の軽減等による誘客促進に加え,世界自然遺産登録の効果を生かした,沖縄県との交流の促進や両地域を周遊するルートづくりのほか,屋久島と奄美の2つの世界自然遺産を活用した島旅の魅力発信などの取組を,更に積極的に進めてまいります。
離島の振興については,特定有人国境離島地域における航路・航空路運賃の低廉化や輸送コスト支援などを着実に実施してまいります。
有人国境離島法に基づく県計画については,今年度が計画期間の終期となっていることから,関係市町村等の意見を踏まえ,計画の見直しを進めているところであります。
今後,県議会で御論議いただくとともに,パブリックコメントを実施することとしており,県議会や県民の皆様方の御意見も踏まえ,今年度末を目途に策定したいと考えております。
文化の振興については,今月6日及び7日に,御楼門復元を契機とする鶴丸城跡のにぎわい創出等を図るため,御楼門2階の特別公開や薩摩日置鉄砲隊の演武など複数のイベントを同時に行う「鶴丸城跡ふれあいフェスタ」を開催し,多くの県民の皆様に御来場いただいたところであります。
「かごしま国体・かごしま大会」については,開催気運の醸成に取り組んでいるところであり,10月15日には,三重国体の中止に伴い,活躍の場が失われた国体代表選手等へ認定証を授与し,これまでの努力を称えるとともに,2年後のかごしま国体に向けて,意欲を喚起したところであります。
かごしま国体での天皇杯・皇后杯を目標に全力を尽くすという強い決意のもと,競技団体等と連携しながら,競技力の向上に取り組むとともに,両大会が県民はもとより,全国の皆様にとってもすばらしい,思い出に残る希望に満ちた大会になるよう,着実に取組を進めてまいります。
地球温暖化対策については,今後の施策展開や県地球温暖化対策実行計画の見直し等に向けた取組の一環として,学識経験者や関係団体等で構成する「2050年鹿児島ゼロカーボン推進委員会」の第2回会議を今月24日に開催し,事業者や県民を対象に実施したアンケート調査の結果等に基づき,各委員から,カーボンニュートラルの普及啓発の必要性などについて活発な意見や助言をいただいたところであります。
現在,各委員の意見やアンケート調査結果,国の動向等を踏まえ,全庁的な検討を進めているところであり,今年度内には,地球温暖化対策の展開や県地球温暖化対策実行計画の方向性を取りまとめることとしております。
今後とも,県民,事業者,行政が力を合わせて,一体となって地球温暖化対策を積極的に推進してまいります。
多様で豊かな環境の保全については,今月18日に出水市のツルの越冬地がラムサール条約湿地として登録され,本県の多様で豊かな自然が世界的にも評価されたところであります。
今回の登録により,県内のラムサール条約湿地は,藺牟田池や屋久島永田浜に続き3か所目となります。
県としては,今後とも,地元市町村等と連携しながら,貴重な自然環境の保全や活用に取り組んでまいります。
再生可能エネルギーについては,今月4日に,「再生可能エネルギー推進委員会」を開催し,今後の導入推進のための方策などについて御意見をいただいたところであり,また,11日には,「水素エネルギー利活用促進検討協議会」を開催し,本県における水素エネルギーの利活用の可能性などについて御意見をいただいたところであります。
今後とも,このような御意見を踏まえながら,水素・再生可能エネルギーの導入促進に努めてまいります。
ジェンダー平等の推進については,ジェンダーギャップの解消に向けて,「かごしまジェンダー平等推進プロジェクトチーム会議」をこれまでに3回開催し,現状や課題等について意見交換を行ってきているほか,10月に霧島市など県内3か所において,「ジェンダー平等の未来を描くかごしま若者会議」を開催し,SNS等を活用した情報発信などを通じて,県民の取組に向けた気運醸成を図っているところであります。
また,男女がともに働きやすい職場づくりについては,今月26日に企業トップ等を対象とした意識改革のためのフォーラムを開催し,基調講演や,ジェンダー平等の推進に積極的に取り組む企業の表彰及び事例発表等を行ったところであります。
犯罪被害者等の支援については,犯罪被害者等が受けた被害の早期の回復又は軽減及び犯罪被害者等の生活の再建を図り,誰もが安心して暮らすことができる地域社会を実現するため,犯罪被害者等の支援に関する施策の基本事項を定める条例案を今議会に提案しているところであります。
児童虐待防止対策については,今月20日に第4回「一時保護所の在り方等検討委員会」を開催し,中央児童相談所の一時保護所の施設等の課題と児童相談所の配置の在り方等について御議論いただいたところであります。今後,来年2月を目途に報告書をとりまとめていただく予定としており,県としては,同委員会の報告を踏まえ,必要な対応を検討してまいります。
「かごしま子ども未来プラン2020」の推進については,10月21日に県子ども・子育て支援会議を開催し,少子化対策,子育て支援,母子保健対策等に関する施策について御議論いただき,関係団体とも連携した保育士の確保等について御意見をいただいたところであります。また,同日に第7回子どもの生活支援対策部会を開催し,県が実施している支援策等について御議論いただき,子ども食堂を入り口として様々な支援へとつなげて,地域社会全体が子どもを育てていくという認識を持つ必要があるなどの御意見をいただいたところであります。県としては,会議における委員からの御意見も踏まえ,子育て世代が安心して子育てができる環境整備を推進してまいります。
農林水産物の輸出促進については,国際的な経済連携協定の進展,コロナ禍における輸出先国のニーズや経済活動の回復状況を踏まえながら,輸出に意欲的な生産者や産地の確保・育成,戦略的なPR・販売促進活動など,輸出拡大に向けた生産体制と販売力の強化に取り組んでいるところであります。県産品の海外への販路拡大等について連携協定を締結している株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスにおいては,連携協定締結後の1年間で,本県農畜水産物の輸出額を約2億円伸ばすなど,輸出拡大に向けた取組が進んでおります。
引き続き,生産者や関係機関・団体,民間企業とも連携しながら,鹿児島黒牛,さつまいも等の青果物やブリなど県産農林水産物の更なる輸出拡大を図り,「稼ぐ力」の向上に取り組んでまいります。
茶業の振興については,今月16日から19日にかけて静岡県で開催された全国茶品評会において,普通煎茶10キロの部で,最も優れた産地に授与される産地賞を本県が18年連続で受賞したところであります。
県としては,今後とも,茶業関係団体と連携し,「かごしま茶」の魅力や品質の良さを全国に発信してまいります。
サツマイモ基腐病については,8月の長雨等の影響もあり,葉やつるに1株でも基腐病の症状が確認されたほ場の面積は,昨年より約1,800ヘクタール増加し,作付面積の約75パーセントである約7,700ヘクタールとなったところであります。
県としては,令和4年産に向けてサツマイモ基腐病対策を進め,さつまいも生産者の経営安定を図る必要があることから,10月12日には,農林水産省を訪問し,私から直接,金子農林水産大臣に対し,基金事業の継続や健全種いもの供給体制を構築するための支援などサツマイモ基腐病対策に関する要請を行ったところであります。
また,令和4年産のサツマイモ基腐病の被害軽減を図るためには,本年の発生状況や国等との共同研究,各プロジェクトチームでの実証結果を踏まえ,ほ場に菌を「持ち込まない」,「増やさない」,「残さない」対策に総合的に取り組む必要があることから,現在,苗床や種いもの消毒,収穫直後の残渣の持ち出しと早期耕うんなどの対策について周知を図っているところであります。
加えて,令和4年産に向けては,最近,国との共同研究により発病抑制効果が確認された種いもの蒸熱処理装置について,農協等の育苗施設における導入を支援するほか,防除対策の周知や基腐病に強い品種の増殖技術確立に係る試験研究に取り組むこととし,必要な経費を今回の補正予算に計上しているところであります。
県としては,引き続き,関係機関・団体と一体となって,サツマイモ基腐病対策に取り組んでまいります。
令和4年度に本県で開催される「第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会」については,出品対策として,大会を見据えた県審査会が,今月1日に,姶良中央家畜市場で開催され,私も実際に出品牛を拝見し,生産者をはじめ関係者の皆様の大会に向けた熱意を肌で感じたところであります。
本大会は,県内外から訪れる多くの方々に鹿児島の魅力をアピールする絶好の機会であることから,引き続き,会場設営等の準備や大会のより一層のPRに努めるとともに,本県大会での連覇に向けて,全力で取り組んでまいります。
第60回農林水産祭においては,畜産部門で,曽於市の肉用牛繁殖農家の御夫妻が,きめ細やかな牛の管理による優れた繁殖成績の達成や,自給飼料の増産による低コスト生産により高い所得率を実現した優れた事例として評価され,「天皇杯」を受賞されたところであります。
また,水産部門では,枕崎市漁業協同組合が,地元の県立鹿児島水産高校をはじめ地域一丸となって取り組んだ商品開発や独創的なアイデアについて,今後の水産業を通じた地域振興や魚食普及などに寄与するモデルケースになりうる取組として評価され,同じく「天皇杯」を受賞されたところであります。
今回の2部門での受賞は,本県農林水産業にとって大きな励みとなるものであり,県としては,今後とも,収益性の高い畜産業の実現や付加価値の高い水産加工品の開発等を支援し,本県農林水産業の振興に努めてまいります。
林業の振興については,湧水町の大型木材加工施設において,新たな木質建材等の製造が開始されたほか,志布志市の施設においても,JAS認証取得に必要な強度測定機が整備されるなど,品質や性能の確かな製材品の新たな生産体制が構築されたところであります。
引き続き,関係機関・団体と連携しながら,木材産業の競争力強化に向けた施策の推進に取り組んでまいります。
観光振興におけるサイクルツーリズムの推進については,離島を含む県内のモデルルートの設定に向け,有識者やサイクリストによる実走を実施し,受入体制及び走行環境の確認を行うとともに,本県サイクルツーリズムの統一ロゴを公募により作成したところであります。
また,「稼げる」観光地域づくりを推進するため,観光協会や観光関連事業者等を対象にマーケティングやデータ分析を学ぶセミナー等を開催するとともに,県内の登録DMOへそれぞれの課題に沿った専門家を派遣し,「稼げる」観光地経営を推進するための取組を支援しているところであります。
クルーズ船については,今月5日,「にっぽん丸」が屋久島に寄港したところであります。本県へのクルーズ船の寄港は,昨年11月のマリンポートかごしま以来約1年ぶりであり,170人余りの乗客の皆様に屋久島観光を楽しんでいただいたところであります。
今後とも,新型コロナウイルス感染症の収束後を見据え,本県の基幹産業である観光の振興に取り組んでまいります。
製造業の振興については,3月に策定した「かごしま製造業振興方針」に基づき,付加価値の向上や新産業の創出・起業支援,販路開拓,人材育成などに取り組んでいるところであります。
本県製造品出荷額の約5割を占める食品関連製造業については,生産工程の自動化・省力化による生産効率の向上等の取組を支援することとしており,43件の申請を受け付けたところであります。
また,国内外で脱炭素化の動きが加速する中,製造業のサプライチェーン全体で進められるCO2排出削減に対応するため,県内製造業者が行う省エネ設備等の導入を支援することとしており,今月22日時点で23件の申請を受け付けたところであります。
これらの事業については,現在,速やかな事業採択に向けて手続を進めており,引き続き,こうした取組を通じて,本県製造業の「稼ぐ力」を引き出し,地域経済の好循環を高めてまいります。
企業立地の推進については,今年度はこれまで,京セラ鹿児島国分工場の増設や,補助制度を拡充し誘致の強化を図っている情報通信関連企業の新設及び増設など,27件の立地が決定したところであります。
引き続き,アジアに近い地理的優位性や国内外を結ぶ充実した交通ネットワーク,電子・自動車関連産業の集積など,鹿児島の特性を生かした企業立地の推進に努めてまいります。
起業の支援については,起業に向けた機運の醸成を図り,新たなビジネスアイデアの発掘・支援等を行うためにビジネスプランを募集したところ,昨年度を上回る63件の応募をいただき,現在,来年1月に開催するコンテストの最終審査・表彰式に向け,書類審査で選定した15件について,専門家によるビジネスプランのブラッシュアップ等を行っているところであります。
また,県庁18階に整備するコワーキングスペースについては,現在,名称募集を行い,応募をいただいた113件の中から,12月中旬の名称決定に向けて選定手続を進めているところであります。12月には県庁18階の改修工事に着手することとしており,来年4月のオープンに向けて,引き続き,着実な整備に努めてまいります。
県内の雇用情勢については,9月の有効求人倍率は1.29倍となり,15か月連続で全国平均を上回っているところであります。
県においては,新規学卒者などの就職を支援するため,感染防止対策を講じた上で,10月に高校生や大学生等の若年者を対象とした就職面接会を開催したほか,12月12日には,県内企業,大学,短大,専修学校等がそれぞれの魅力を発信する進学・就職応援フェアを開催することとしております。
今後とも,国や関係機関と連携しながら,引き続き,新規学卒者の県内就職の促進に努めてまいります。
鹿児島空港の機能向上については,令和元年に策定した「鹿児島空港将来ビジョン」の実現に向けて,昨年より関係機関・団体による推進協議会において,新規路線誘致や空港の再整備のあり方など5つの検討テーマに沿って協議を行い,今月8日,工程表案を取りまとめたところであります。今後,県議会や県民の皆様方の御意見も踏まえ,今年度末を目途に工程表を策定してまいります。
高規格幹線道路については,今月15日に,東京において,熊本県とともに「南九州西回り自動車道建設促進大会」を,国会議員や県議会議員の方々等の出席のもと開催し,予算の確保と整備推進を国に対して強く働きかけたところであります。
鹿児島港臨港道路鴨池中央港区線の整備については,国において,鴨池港区側埋立部の工事が進められているほか,本年3月に完成した3基の橋脚に加え,現在,新たに2基の橋脚工事が進められているところであります。
県としては,国や鹿児島市と連携しながら,着実な整備促進に取り組んでまいります。
今年は,7月及び8月の豪雨により,住家などの浸水被害が発生したほか,道路や河川など広範にわたって多数の被害が発生したことから,現在,早期復旧に向けて取り組んでいるところであります。
これまで重点的に防災・減災対策を実施した箇所では,洪水被害が大幅に軽減された一方で,未整備区間における氾濫や内水氾濫による被害が発生しております。県としては,現在,集中的に進めている「防災・減災,国土強靱化のための5か年加速化対策」を推進するとともに,引き続き,予算の確保などについて国に対して要望してまいります。
自衛隊による離島からの急患搬送については,本年8月末に,防衛省から,海上自衛隊第22航空隊鹿屋航空分遣隊の救難ヘリについて,令和4年度中にすべての機体を除籍の上,同分遣隊を令和4年度末までに廃止し,これまで同機が対応してきた離島からの急患搬送については,全自衛隊が共同して,引き続き適切に対応するとの方針が示されたところであります。
南北600キロメートルの県土に27の有人離島を有する本県にとって,自衛隊による急患搬送は,県民の生命に関わる重要な問題であることから,今月16日に防衛省を訪問し,私から岸防衛大臣に対し,今後も離島からの急患搬送体制が維持されるよう強く要請を行ったところであります。引き続き,具体的かつ実効性のある搬送体制が構築されるよう,防衛省等関係機関と協議を行ってまいります。
川内原発について,九州電力は,10月14日に特別点検の実施を発表し,1号機については10月18日から特別点検を開始し,また,2号機についても来年2月下旬に開始予定とされているところであります。
これを受けて私は,10月19日に九州電力に対し,特別点検等について,「原子炉等規制法等に基づき,入念かつ十分に実施すること」,「県民に対し,積極的に適時かつ分かりやすい情報提供を行うこと」,「県原子力安全・避難計画等防災専門委員会の検証作業に全面的に協力すること」を要請し,九州電力からは,要請を真摯に受け止め,県民の皆様に御安心いただけるよう,しっかりと対応する旨の回答があったところであります。
川内原発の運転期間延長申請については,九州電力が特別点検の結果等を踏まえて判断されるものと認識しておりますが,県としては,今後の国への延長申請を見据えて,年内に,運転延長に関する科学的,技術的な検証に必要な専門分野における学識経験者4名を,専門委員会の特別委員として新たに委嘱したいと考えております。
また,集中的かつ効果的に検証作業を進めるために,専門委員会の委員及び特別委員の計6名で構成する分科会を設置し,できるだけ早い時期に第1回の分科会を開催したいと考えております。
今後とも,県民の生命と暮らしを守る観点から,川内原発の安全対策・防災対策の充実・強化に取り組んでまいります。
7月に条例に基づき設置された「いじめ防止等対策委員会」については,10月に第1回の委員会が開催され,今後の委員会運営等について御議論いただいたところであります。
今後,同委員会における専門的知見からの審議や調査等を踏まえた有効な対策を講じるなど,県内の学校におけるいじめの防止に取り組んでまいります。
今月19日に国の文化審議会は霧島神宮の本殿,幣殿,拝殿について,国宝に指定するよう答申を行ったところであり,今回の答申どおりに指定されれば,県内の国宝は2件となり,大変喜ばしいことであります。
また,同審議会は,鹿児島神宮の本殿及び拝殿,勅使殿,摂社四所神社本殿についても,併せて国重要文化財に指定するよう答申を行ったところであります。
今後,これらの文化財が国民の貴重な財産として認識が高まり,地域の活力向上にもつながることを期待しております。
来年度の政府予算については,地方財政対策や税制改正をはじめ,公共事業関係費や農業関係予算のほか,新型コロナウイルス感染症関連予算など,地方の行財政運営に大きな影響を与える予算編成や制度設計が行われることも考えられます。
このため,今月16日に,県議会議長とともに,国に対し,地方税財源の充実・確保,社会資本整備の推進及び財源の確保,経済対策も含めた新型コロナウイルス感染症対策の推進など,県開発促進協議会の重点提案事項の実現について強く要請を行ってまいりました。
今後とも,県議会の皆様や県関係の国会議員,県内各界の方々の御支援・御協力をいただきながら,これらの実現に向けて一層の努力をしてまいりたいと考えております。

次に,補正予算の概要について御説明申し上げます。
今回の補正予算は,新型コロナウイルス感染症に係る感染症対策等に要する経費や飲食店等における割引クーポンの発行,イベントの開催助成による県民の消費意欲の喚起等に要する経費を計上することとしております。
また,サツマイモ基腐病対策等に要する経費やこれまでの豪雨等による被害に対する災害復旧事業等に要する経費を計上することとしております。
補正予算の総額は,一般会計で34億40百万円であり,この結果,補正後の一般会計の予算額は,9,200億18百万円となっております。この財源については,地方交付税,国庫支出金,県債などをもって充てることとしております。
さらに,公共・県単公共事業の施工時期の平準化や梅雨期前に寄洲除去を行うための債務負担行為,いわゆる「ゼロ県債」を51億56百万円計上することとしております。
このほか,予算外の議案として,「鹿児島県事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例制定の件」など,条例案5件,その他の議案8件,報告2件となっております。
何とぞよろしく御審議の上,議決していただきますようお願い申し上げます。

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