奄美群島国立公園
指定年月日:平成29年3月7日
指定面積:42,181ha(陸域),33,082ha(海域)
景観
奄美群島国立公園は,鹿児島県の南部に位置し,奄美大島,加計呂麻島,請島,与路島,喜界島,徳之島,沖永良部島及び与論島等の島嶼で構成されている地域で,世界的にも数少なく国内では最大規模の亜熱帯照葉樹林,日本列島の形成過程を反映して形成されたこれらの島々の地史を背景に生息・生育する固有動植物及び希少動植物,世界有数の速度で現在も隆起するサンゴ礁段丘,琉球石灰岩の海食崖やカルスト地形,世界的北限に位置するサンゴ礁,マングローブや干潟等の多様な自然を有しています。
また,奄美群島では,島嶼故に,人の生活圏域と森林地域や海域が近接し,人々の生活がこれら自然と密接な関わりを持ってきたため,集落内外に,これらを示す痕跡を見ることができるなど,文化景観も,自然景観とあいまって奄美群島での自然体験をより深く豊かなものにしています。
植物
奄美群島の山地帯の大部分を占める自然植生は,スダジイを優占種とする常緑広葉樹林で,奄美大島の常緑広葉樹林は亜熱帯照葉樹林としては国内最大規模を誇ります。
奄美大島と徳之島の最高峰である湯湾岳(694.4m)及び井之川岳(644.8m)の山頂部一帯には,タイミンタチバナーミヤマシロバイ群集が見られ,沖永良部の大山山頂付近には,アオバナハイノキースダジイ群集が分布しています。
低地帯の自然植生は,アコウ,ガジュマル,ハマイヌビワ,アカテツ,タブノキなどで構成される常緑広葉樹林で,喜界,徳之島南西部,沖永良部島,与論島の隆起サンゴ礁地帯でよく発達しています。
低地帯と接触する海浜地域には,モンパノキークサトベラ群集,アダン群集などが帯状に発達しています。
住用川と役勝川の河口部には,メヒルギを主とするマングローブ群落が発達しており,オヒルギ,サキシマスオウノキ,サガリバナ,ハマボウなどが見られます。
動物
奄美群島は,大陸や日本本土との分離・結合を繰り返した島々の地史を背景に,アマミノクロウサギをはじめとする多種多様な固有で希少な動物が生息してます。
鳥類では,古い時代からの生き残りで遺存種とされるルリカケス,絶滅危惧種であるアマミヤマシギ,オーストンオオアカゲラ,オオトラツグミなど貴重な鳥を見ることができます。
哺乳類では,国の特別天然記念物のアマミノクロウサギや絶滅危惧種となっているアマミトゲネズミ,ケナガネズミなどが生息しています。
爬虫類・両生類では,奄美大島及び徳之島に猛毒を持つハブが生息し,アマミイシカワガエル,オットンガエルなどが生息しています。
魚類では,絶滅が危惧されているリュウキュウアユが生息しています。
昆虫類は,現在までに約2,500種が記録されており,今後も多くの未記載種や分布新記録種の発見が予想されます。
利用上のワンポイント・アドバイス
奄美大島では,湯湾岳や奄美自然観察の森での亜熱帯照葉樹林の散策,住用マングローブでのカヌー体験,大島海峡などでのシーカヤックやダイビングを体験することができます。
夜間の林道では,アマミノクロウサギをはじめ固有の動物等を観察することができます。
他の島では,海岸沿いの景勝地などでダイビングが体験でき,鍾乳洞の散策,海中探勝,サンゴ石垣など集落景観探勝ができます。
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