閉じる

  •  
 
 

閉じる

 
 

ホーム > 県政情報 > ようこそ知事室へ > 知事記者会見 > 令和6年度 > 令和7年度当初予算(案)等の知事記者会見

更新日:2025年2月7日

ここから本文です。

ようこそ知事室へ

令和7年度当初予算(案)等の知事記者会見

日時:令和7年2月7日(金曜日)11時30分~13時40分

場所:5階記者会見室(県庁5階)

動画版を見る(外部サイトへリンク)

「ムーブかごしま」からもご覧いただけます。

【発表事項】

  1. 令和7年度当初予算(案)等
  2. 令和7年度の組織機構改正(案)

《配布資料》

【発表内容】

1.令和7年度当初予算(案)等

【知事】
<冒頭>
早速ですが,令和7年度の当初予算(案)を発表いたします。お手元の資料をご覧ください。2ページをお願いします。

総額は8,527億34百万円で,予算規模は,対前年度比で1.5%の増となっております。

「当初予算(案)の基本的な考え方」についてでありますが,現在,我が国は,本格的な人口減少や少子高齢化の進行,不安定な海外情勢による物価の高騰,グローバル化やデジタル化の進展,カーボンニュートラルへの要請など大きな変革期の中にあり,これらへのさまざまな対応が求められております。

こうした状況の中で,今後,地域の活力を維持・発展させていくためには,「稼ぐ力」の向上やそれらの産業を支える人材の確保・育成,子ども・子育て支援施策の充実・強化など,「かごしま未来創造ビジョン」に掲げた各般の施策に取り組むことが重要であります。

令和7年度は,現下の原油価格・物価高騰への対応を講じつつ,世界的なコロナ禍からの経済回復を踏まえ,更なる農林水産物の輸出拡大やインバウンドの増大・促進など,「鹿児島の『宝』を世界へ」届ける施策に,特に力を入れて取り組んでまいります。
また,近年加速化する少子化や能登半島地震を踏まえ,「確かな安心,鹿児島」を目指して,子ども・子育て支援施策や防災対策の更なる充実・強化に取り組んでまいります。

健全な財政運営に向けた取組については,歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に取り組み,行財政運営指針に示した3つの指標(収支均衡,県債残高,基金残高)を達成しました。

3ページでございます。
今回の予算の主要施策でございますが,
Ⅰ原油価格・物価高騰等総合緊急対策
について,必要な対応を講じつつ,
Ⅱ新年度は,1から8に掲げる施策を大きな柱として取り組むこととしております。

このほかにも,高齢者が健やかで生きがいを持てる社会の形成,女性がいきいきと活躍できる社会の形成,障害者等の個性と能力を生かせる社会の形成などに取り組んでまいります。

<原油価格・物価高騰対策>
4ページでございますが,まずは,「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」についてであります。
県としては,これまで,国の施策とも連携して,物価高騰の影響を受けている生活者や事業者の負担軽減に努めてきております。令和6年度補正予算及び令和7年度当初予算においても,燃料油や飼料の価格高騰に対する生産者への支援,LPガス利用者や特別高圧受電事業者への支援,公定価格で運営を行っている医療機関や社会福祉施設への支援,保育所や県立学校等の給食費等への支援などに要する経費を計上しております。

また,危機に強い経済構造への転換を図るため,中小企業のDX化,製造業・サービス業のAI,IoT等の導入による自動化・省力化の取組に対する集中的な支援などに要する経費を計上しております。

<令和7年度予算の重要政策>
5ページでございます。
今回の予算編成に当たり,特に力を入れた点でございますが,
まず,「鹿児島の『宝』を世界へ」届ける施策についてであります。

令和7年度の目標500億円の達成に向け,農林水産物の更なる輸出拡大に取り組みます。特に,輸出額が多い和牛,ブリに加え,海外で需要の伸びている「かごしま茶」,EUの厳しい輸入規制をクリアする製造技術の研究が進みつつある鰹節について,EUに向けた輸出を推進します。
インバウンド拡大については,鹿児島空港の国際線拡充に努めつつ,データ等に基づき,直行便市場,戦略的市場ごとにターゲットを設定し,本県が有する多彩な魅力をSNS等を活用して効果的に届けるデジタルプロモーションを展開します。
クルーズ船については,寄港による経済効果を県内各地に拡大させるため,寄港地ツアーの造成支援やクルーズ船への県産水産物の供給実証に取り組みます。
また,昨年12月にユネスコ無形文化遺産に登録された,本格焼酎の技術や焼酎文化の価値を世界に発信し,海外への販路を拡大します。

これら輸出促進やインバウンド拡大を含む国際関連施策に関する今後の取組の方向性等について「鹿児島県国際戦略(仮称)」を来年度策定することとしております。

6ページでございます。
次に,「確かな安心、鹿児島」を目指す施策についてであります。

少子化・人口減少が進行する中,本県の将来を支える人材の確保・育成に向けて,ライフステージごとの課題に対応した,「かごしま子ども・子育て支援パッケージ」を着実に推進します。
保育・幼児教育の充実・強化を図るため,新たに「保育士・保育所支援センター」,「幼児教育センター」を設置します。
また,子育てに係る経済的負担の軽減を図るため,子ども医療費の現物給付の対象を課税世帯にも拡げる新制度を本年4月から開始します。
ニーズの高い産後ケアの無償化については,支援する市町村が拡大する見込み(⑥:17⇒⑦:最大31)であり,引き続き支援に取り組みます。

昨年1月に発生した能登半島地震では,道路の寸断,建物の損壊,ライフラインの損傷など甚大な被害が発生し,集落の孤立,避難の長期化など,さまざまな厳しい状況が生じました。半島や離島を有する本県の今後の防災対策に,能登半島地震で得られた知見を反映させていくことは大変重要であると考えております。
能登半島地震を踏まえ,地震・津波発生被害予測調査の実施,木造住宅耐震化支援などの災害予防の強化に取り組みます。
また,災害初動対応強化,物流確保など孤立化集落対策,災害物資の備蓄対策,避難生活の環境改善などの災害応急対策の強化に取り組みます。
7ページでございます。
ここからは,主要施策の柱ごとに,新たに取り組むものや強化,拡充を行ったものを中心にご説明申し上げます。

農林水産業の「稼ぐ力」の向上

農林水産業の「稼ぐ力」の向上についてであります。
令和5年の農業産出額が5,438億円で過去最高となり7年連続で全国第2位を堅持するなど,本県は我が国の食料供給基地としての重要な役割を担っております。
一方で,経営体の減少,燃料・肥料・配合飼料等の生産資材価格の高止まりなど,本県の農林水産業は厳しい状況に直面しております。

こうしたさまざまな状況に対応しつつ,農林水産業の「稼ぐ力」を引き出すため,販売量の増加や販売単価の向上,生産コストの低減,農林水産業を支える担い手の確保・育成に取り組んでまいります。

<販売量の増加>
(現状・課題)(施策の方向性)
まず,販売量の増加に向けては,農業分野において,経営体の減少等を踏まえ,農業機械,畜舎等のハード整備への支援等を行い,生産基盤を強化します。
また,産地における集出荷施設等の共同利用施設について,再編集約・合理化を支援します。

(現状・課題)(施策の方向性)
水産分野については,生産量日本一を誇り,本県水産物輸出額の約8割を占める養殖ブリについて,現在,養殖業者からのニーズが高い早期人工種苗の生産施設の整備に取り組んでおります。また,生産原価の低減を図るため,出荷サイズまでの養殖期間の短縮や生残率の向上などの育種が求められております。

(R7の主な事業)
このため,養殖業における生産原価の低減,養殖経営の安定化に向けて,高成長で生残率が高い優良種苗の生産技術の開発を計画的に進めてまいります。

(現状・課題)(施策の方向性)
また,販売量の増加を図るためには,国内需要の減少を踏まえ,輸出推進体制の構築による輸出拡大を図る必要があります。
令和5年度の県産農林水産物の輸出額は対前年比12%増の367億円となり,令和3~4年度に引き続き,最高額を更新しました。
「鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョン」における令和7年度の輸出目標額約500億円の実現に向けて,輸出先・品目ごとに食品衛生,動物検疫などの規制や消費者の嗜好といったさまざまなニーズに対応しながら,生産体制や販売力の強化に戦略的に取り組む必要があります。

(R7の主な事業)
このため,引き続き,輸出先国のニーズに対応した生産体制の構築や海外PR・販売促進活動に取り組んでまいります。
具体的には,官民一体となった輸出推進体制「GFP鹿児島」のもと,輸出先国の規制・ロット等に対応した大規模輸出産地の構築,海外フェアの開催や商談会への出展など海外へのPR・販売促進活動,新たな輸出先国の規制への対応に向けた実証等に取り組んでまいります。

品目別では,海外での健康志向や日本食への関心の高まりなどから,近年需要が伸びている「かごしま茶」に特に力を入れていきたいと考えております。具体的には,輸出向けの新品種「せいめい」の産地化に向けた研修会や海外営業・PR活動支援等を実施します。また,EUでの販路拡大に向け,現地パートナー人材の確保・活用に向けて取り組んでまいります。

また,海外での日本食ブームを受けて,生産量日本一を誇る鰹節の需要が増加しており,重要な輸出産品となっています。しかし,EUでは独自基準の厳しい輸入規制が設けられており,現状では輸出できない状況となっております。水産技術開発センターにおいて,この規制をクリアする製造技術の研究を進め,その技術が開発できたことから,今後のEUへの輸出を見据え,来年度,県内の鰹節工場で実用に向けた実証を行います。

多くの乗客が乗船し,質の高い食事が提供されるクルーズ船は,本県水産物の新たな販路として有望な市場と考えられます。
一方でクルーズ船への供給に当たっては,短期かつ大ロットの発注に対応する必要があり,その体制づくりが課題となっています。
このため,県内の漁協や加工業者,流通事業者等の連携によるクルーズ船への供給体制の構築に向けた実証事業に取り組みます。

<販売単価の向上>
(現状・課題)(施策の方向性)
8ページでございます。
次に,販売単価の向上です。本県農林水産業の「稼ぐ力」を向上させるためには,販売量の増加に加え,販売単価の向上を図り,収入の増加につなげる必要があります。

販売単価の向上を図るためには,本県農林水産品と他地域の産品との差別化を図り,ブランド化することで商品としての付加価値を高め,競争優位性を獲得することが重要であります。

県では,これまで,「かごしまブランド」確立運動において,安心・安全で品質の良い農畜産物を計画的・安定的に供給できる産地づくりと,県産農畜産物のイメージアップによる販路拡大を一体的に進め,本県農畜産物の「安心・安全」及び「定時・定量・定質」というブランドイメージの維持・向上に取り組んできており,市場関係者からの,こうした評価も得ております。

一方で,嗜好品や贈答品などの高級品市場においては,他地域との競争が激しいことなどから,本県産品は,存在感を十分に示せているとはいえない状況であります。
「高付加価値」産品は,嗜好品や贈答品として取引されるものが中心であり,購買者が限られることから,売り込む産品とターゲットを明確化した上でのプロモーション展開を図る必要があります。

(R7の主な事業)
このため,本県のオリジナル品種や高品質で希少性のある果物などを本県産品のブランド力向上のシンボル的産品として,高所得者層を対象としたプロモーションを行うこととします。
来年度は,市場動向や消費者の嗜好,産品のストーリー性などを踏まえ,産品の選定を行うとともに,産地づくり,ブランド化・PRの方針を取りまとめます。併せて,市場動向の調査や,テスト販売などのマーケティング調査を行います。

<県産和牛のPR>
(現状・課題)(施策の方向性)
本県の和牛は,二大会連続で和牛日本一の栄冠に輝いた一方で,物価上昇による需要の減少に伴い,牛肉の枝肉価格や子牛価格が下落しており,配合飼料価格の高止まりと相まって,生産農家の経営は厳しい状況に直面しております。
このような中で,県産和牛の出荷単価を向上させ,農家の所得を上げていくためには,より高値で取引されるマーケットである首都圏への販売の割合を高めていくことが重要であります。
しかしながら,昨年度実施したアンケート調査によると,本県産和牛は首都圏で十分に認知されているとは言えない状況であります。
本県産和牛の高い品質について消費者,事業者双方の認知度を高め,より高い単価で取引される県産和牛を増やすことが必要であります。

(R7の主な事業)
このため,県産和牛のブランド価値の向上に向けて,首都圏の高所得者層をターゲットとした高級スーパー・レストラン等でのPRに取り組みます。また,東京食肉市場への出荷を増やし,首都圏の食肉事業者に対して,県産和牛の強みである品質と供給力をPRします。10月に開催される第44回東京食肉市場まつりでは,鹿児島黒牛をメインの産品(推奨銘柄牛)として実施することが決定されております。

(現状・課題)(施策の方向性)
本県を代表するブランド産品の一つである「かごしま黒豚」は,さつまいもの給与や,長い肥育期間などの条件を満たしていることを証明する制度があるなど,こだわりの飼育方法で生産されております。
一方,これらの飼育方法が生産コストの増加につながっており,近年の飼料高騰も相まって生産農家は厳しい状況に置かれており,更なるブランド化により出荷単価を向上させることで,農家の所得を上げていく必要があります。

「かごしま黒豚」は,「歯切れがよい,柔らかい,うまみがある」など,百貨店等の仕入れバイヤーへの調査において,国産銘柄豚の中で総合評価1位となるなど高い評価を得ております。
しかし,一般消費者には,こだわりの飼育方法やそのことによる品質の高さが認識されておらず,「かごしま黒豚」とそれ以外の黒豚との違いが理解されていない現状があります。

(R7の主な事業)
このため,全国への情報発信拠点である首都圏の消費者を対象にブランド肉等に対する需要動向及び「かごしま黒豚」が持つ優位性(強み)等を調査・分析した上で,「かごしま黒豚」を生産する際のこだわりや品質の高さを更なる高付加価値化につなげるためのブランド戦略を検討します。

<生産コストの低減>
(現状・課題)(施策の方向性)
次に,生産コストの低減ですが,経営体の減少・高齢化が進む中,農林水産業が持続的に発展するためには,ICT等を活用したスマート機械の導入により作業の効率化や省力化を図る必要があります。

農業分野では,畑地かんがいやほ場の整備が進んでいる曽於地域をモデル地区として,これまで露地野菜を対象に実証事業を行ってきており,各栽培工程におけるスマート農機の成果を確認できました。

(R7の主な事業)
このため,露地野菜においては,実証事業の結果,確認できた成果について,研修等を通じて普及を図ります。

(現状・課題)(施策の方向性)
一方で,露地野菜以外の品目においては,まだ実証できていない工程が残っております。

(R7の主な事業)
このため,曽於地域での成果を活用し,露地野菜以外の品目についてもスマート農業の普及・拡大を図るため,出水地域では果樹,熊毛地域ではさとうきびなど,県下の主要産地の基幹作物等の特性に応じた実証を行ってまいります。

<担い手の確保・育成>
(現状・課題)(施策の方向性)(R7の主な事業)
9ページでございます。
農林水産業を支える担い手の確保・育成についてです。経営体数が減少する中,農林水産業を持続的に発展させていくためには,担い手の確保が重要であります。

農業分野においては,担い手の確保・育成に向けた助言・指導等に引き続き取り組みます。

(現状・課題)(施策の方向性)
林業においては,近年新規就業者は140人程度で推移しており全国でも上位に位置しているものの,人工林が本格的な利用期を迎えている中で,今後必要な再造林面積等を踏まえますと,毎年150人程度の新規就業者が必要と見込まれます。

(R7の主な事業)
このため,新規就業希望者向けの一年間の長期研修を行う「かごしま林業大学校」を設置することとし,本年4月の開校に向けて,準備を進めてきております。

林業大学校においては,林業関係団体や鹿児島大学等と連携し,森林・林業に関する幅広い知識,林業機械操作などの木材生産技術に加え,資格取得や,実践力を高める就業体験などの研修を実施し,林業の基礎から最先端に至る幅広い知識と技術を兼ね備えた安全意識の高い即戦力となる人材を継続して育成してまいります。

観光の「稼ぐ力」の向上

10ページでございます。
次に,観光の「稼ぐ力の向上」についてでございますが,新型コロナウイルス感染症の影響で大きく落ち込んだ旅行需要は,経済社会活動が活発化する中で徐々に回復しつつあります。
コロナ禍後の経済回復を軌道に乗せ,観光の「稼ぐ力」の向上を図るため,今年度策定する観光振興基本方針に基づき,国内外への戦略的な誘客を展開することにより,本県を訪れる観光客を増やすとともに,魅力ある癒やしの観光地形成に取り組み,観光消費額の増加を図ってまいります。

<戦略的な誘客の展開(国内)>
(現状・課題・施策の方向性)
「戦略的な誘客の展開」についてでございます。
本県は豊かな自然や多彩な食,個性ある歴史・文化などの「宝物」を数多く有しております。
データ等に基づいてターゲットを設定し,インターネットやSNS等を活用して,本県の多彩な魅力を効果的に届けるとともに,継続的に事業効果を検証し,PDCAサイクルを回すなど,デジタルプロモーションの取組を展開してまいります。

(R7の主な事業)
まず,国内誘客のターゲットについては,エリア別では,本県への来訪者数や人口,交通アクセス等を踏まえ,関東,関西の方をターゲットとします。年代別では,現在来訪者が多い50代以上のうち,旅行実施率や消費額が高く,健康寿命の延伸も予想される中で旅行客数の増加も見込まれることから,60代以上をターゲットとして設定します。また,若年層については,個人旅行での体験・飲食等の現地消費額が高く,将来にわたって継続的な来訪も期待できることなどから,20代から30代をもう一つのターゲットとして設定します。

プロモーションの手法については,これらのターゲットに対し,本県の多彩なコンテンツの魅力を直接届けるため,ターゲットの絞り込みが可能なSNS等でのデジタルプロモーションを展開します。
具体的には,まず,現在県民等から募集している短編PR動画やこれまで県が作成した動画等を活用し,食,温泉,歴史といった,ターゲットのニーズや好みに合わせたコンテンツごとの広告動画を制作し,全世代で視聴機会の多いYOUTUBEや,利用率が増加傾向のインスタグラム等を活用し,各ターゲットにおける個々人の興味・関心に対応した広告として配信し,OTA(旅行予約サイト)や県観光サイトに案内されるようにします。

案内先のOTAサイトについては,デジタルプロモーションの効果を高め,本県への旅行申込という行動変容につなげるため,各ターゲットに訴求するコンテンツ(食,温泉,歴史等)を盛り込んだ特集ページを開設するなど,誘客促進キャンペーンを展開します。

令和7年4月から10月にかけて開催される大阪・関西万博は,国内外から多くの来場が見込まれ,本県の魅力を広く発信する好機であることから,9月に,万博会場の催事施設において,九州7県で合同出展し,本県の世界遺産,食文化,伝統的工芸品等の魅力を発信し,国内外からの誘客を促進します。

<戦略的な誘客の展開(海外)>
(現状・課題・施策の方向性)
11ページでございます。
令和4年10月の国の水際措置の緩和以降,我が国を訪問する外国人観光客は大幅に増加している一方,本県の外国人宿泊者数は,コロナ禍前の水準には戻っていない状況であります。

鹿児島空港国際線については,コロナ禍前に就航していた4路線が全て再開しましたが,便数は6割程度にとどまっていることから,空港受入体制の確保に取り組みつつ,来年度以降の復便や新規就航等を見据え,直行便4市場対策に取り組むとともに,中長期的な視点で,今後の有望な市場である東南アジアや欧米豪の戦略的市場対策に取り組んでまいります。

(R7の主な事業)
プロモーションの手法については,国内と同様,ターゲットや売り込むコンテンツを国・地域ごとの特徴を踏まえて定めた上で,新たにSNS等を活用したデジタルプロモーションを展開します。

具体的には,国毎に,使用率の高いSNSやターゲットとする年代を設定し,それらのターゲットが好むコンテンツを盛り込んだ短編動画を発信するとともに,各市場において利用の多いOTAサイトや県の観光サイトに案内されるようにし,誘客を促進します。

韓国,台湾等の直行便市場については,九州全体の入国者数の約9割が福岡空港を利用しております。
これらの旅行者に,福岡滞在中の短期間の旅行先や経由地として鹿児島を選んでもらえるよう,海外のOTAサイト内に,福岡からの新幹線を使ったアクセスの良さや本県の魅力ある観光コンテンツ等を掲載する特設ページを開設します。

東南アジアや欧米豪の戦略的市場については,直行便市場に次いで来訪者が多く,1人当たりの旅行支出も高い米国を重点的に取り組みます。
具体的には,特に,日本から地理的に近い西海岸エリアからの誘客を図るため,米国人の利用の多いOTAサイト内に,本県の魅力ある観光コンテンツや国内外の主要空港からの乗り継ぎ便情報等を掲載する特設ページを開設します。

(現状・課題・施策の方向性)
クルーズ船については,これまで現地船会社や旅行エージェント等への積極的なセールスや,関係団体と連携した受入体制の整備に取り組んできた結果,寄港回数は順調な推移となっておりますが,寄港地ツアーは鹿児島市内が多く,経済効果を県内各地に波及させることが課題となっております。

(R7の主な事業)
このため,前・後泊が期待できる鹿児島発着クルーズへの支援を行うとともに,地域の観光地等のツアー実施に協力的な船や規模の小さい港にも寄港可能な小型船などの誘致を重点的に行います。
また,船舶を活用した大隅方面への寄港地観光や新幹線を活用した北薩方面への寄港地観光など,経済効果の広域化が期待される新たなクルーズ船客向けのツアー催行に取り組む事業者に対し支援を行います。

企業の「稼ぐ力」の向上

12ページでございます。
次に,企業の「稼ぐ力」の向上についてであります。

企業の「稼ぐ力」の向上に向けては,生産性と付加価値の向上や産業集積による産業競争力の強化,将来を担う新たな産業の創出,県産品の国内外マーケットへの戦略的な展開などに取り組んでまいります。

<生産性と付加価値の向上や産業集積による産業競争力の強化>
(現状・課題・施策の方向性)
「生産性と付加価値の向上や産業集積による産業競争力の強化」についてでありますが,本県企業の一人当たりの付加価値額は,製造業,サービス業ともに低くなっております。近年,物価高騰に加え,人手不足が深刻化する中,企業の生産性や付加価値を向上させる必要があります。

(R7の主な事業)
このため,現下の物価高騰や人手不足の状況を踏まえ,中小企業におけるDX化,製造業・サービス業におけるAI,IoT等の導入による自動化・省力化の取組について,今年度に引き続き,大規模で集中的な支援を実施します。

(現状・課題・施策の方向性)
企業誘致については,これまで市町村と連携しながら,積極的な誘致活動を展開しております。
これらの取組により企業立地が進んだ一方で,令和6年12月現在の県の産業用地の分譲率は95%に達しております。
こうした中,熊本県へのTSMC進出をはじめ,北部九州を中心に半導体関連企業の立地が進んでおり,本県においても企業からの引き合いが多く来ており,新たな産業用地の確保が必要となっております。

(R7の主な事業)
このような状況を踏まえ,市町村等と連携した企業誘致に引き続き積極的に取り組むとともに,中長期的には,新たな産業用地の確保に向けた取組を進めます。
本年度実施している適地調査等の結果を踏まえ,来年度,適地となる可能性の高いエリアについて,ボーリング調査等を実施し,開発候補地の選定を進めます。

(現状・課題・施策の方向性)
半導体関連産業は,多種多様な原材料や製造装置が必要であり,関連投資の増加やそれに伴う雇用増,賃金上昇など,地域経済への波及効果が極めて高い産業分野であります。

域外から本県への半導体関連の投資の呼び込みや地場の半導体関連企業の投資の活性化につなげるためには,企業誘致や県内企業の半導体関連のサプライチェーンへの参入促進,半導体関連産業の人材確保・育成に取り組むことが重要であります。
これらの課題に対し,九州各県の取組を参考にしつつ,関係機関で連携して戦略的に取り組む必要があります。

(R7の主な事業)
このため,産学官が連携しながら,半導体関連のサプライチェーンへの県内企業の参入促進に向けて,展示会への官民での共同出展等を実施します。また,半導体関連産業の人材確保・育成に向けて,学生等を対象にした,半導体産業の動向や魅力を伝えるセミナー・イベントを実施します。

<将来を担う新たな産業の創出>
(現状・課題・施策の方向性)
13ページでございます。
「将来を担う新たな産業の創出」については,本県の起業件数は増えつつあるものの,開業率は,全国平均を下回る水準となっており,県内のスタートアップ企業数についても,民間の調査によると62社で全国の0.25%程度に留まっているなど,スタートアップが次々と生み出される状況には至っていないことから,起業に向けた気運醸成,環境整備,事業成長に必要な資金調達等を支援する必要があります。

県では,これまで,各段階に応じた集中的かつ継続的な伴走支援を実施してきており,その結果,スタートアップを創出・育成する環境は整いつつあり,少しずつ好事例も出てきています。しかしながら,民間主体の取組や金融機関などの各支援機関が行う支援も含め,県全体でスタートアップが生み出される環境を整備していくための方向性が共有されていない,多様な人材が集まり,新しい発想やネットワークが生まれるような異業種交流の場が十分ではない,などの課題があります。

(R7の主な事業)
このため,各段階に応じた集中的かつ継続的な伴走支援を実施する中で,各機関が行っている支援施策を支援対象や内容に応じて整理した上で,支援機関との連携強化を図るための場を設けます。
また,本県出身の県外起業家が中心となり,地元企業家を支援する取組も広がっており,これらの取組と連携し,起業家同士の交流を図ることを目的としたイベントを定期的に開催します。

県庁18階の「かごゆいテラス」については,利用者の成長意欲の喚起や新たなビジネスの創出を図るため,利用者と,県内外企業や本県出身の起業家,関係機関等とのマッチングをコーディネートできる人材を配置し,スタートアップ支援の拠点としての魅力を向上させます。

今後,市場拡大が期待できる宇宙産業については,これまで実施してきた産学官による研究会や人材育成セミナーの開催,県内企業の試験研究・実証事業に対する支援等に加え,専門家を活用し,参入に向けた課題整理や取組方針の策定,宇宙関連企業とのマッチングなど,段階に応じた県内企業への支援を行います。
また,宇宙関連企業と未参入企業との交流によるビジネスマッチングの機会を創出するため,九州宇宙ビジネスキャラバンを本県で開催します。

<県産品の国内外マーケットへの戦略的な展開>
(現状・課題)(方向性)
次に,「県産品の国内外マーケットへの戦略的な展開」であります。
本県を代表する特産品である本格焼酎の国内市場は,少子高齢化や人口減少,ライフスタイルの変化や嗜好の多様化により,縮小傾向となっていることから,新たな市場を開拓するなど,需要拡大に取り組む必要があります。

(R7の主な事業)
このため,市場拡大が見込める東北地方での需要開拓や落ち込みの大きい首都圏の需要回復に向けて,大手酒販店や飲食店等と連携して,若者や女性をターゲットとしたPR・販売促進活動を展開します。
また,多様な消費者ニーズを踏まえた本格焼酎の高付加価値化を促進するため,原料や熟成などの技術を生かした特徴ある風味を有する商品の開発や,デザイン性が高いボトルやラベルの製作などの取組を支援してまいります。
昨年12月に伝統的酒造りがユネスコ無形文化遺産に登録され,本県の本格焼酎についても,その製造技術や焼酎文化が世界的に評価されました。
この登録を生かして,本格焼酎の更なる認知度向上と輸出拡大を図るためには,世界的に評価された価値を,海外で活動する酒類バイヤー等に理解してもらい,消費者等に訴求する情報発信や販売促進を行ってもらうことが必要です。
このため,これらの酒類事業者に対し,鹿児島大学での焼酎学の講義や蔵元での製造体験,薩摩焼の酒器等を用いた食事等を通じて,本格焼酎の製造技術や焼酎文化を深く認知してもらう取組を新たに実施します。
加えて,登録に至った焼酎や焼酎文化の価値を伝える多言語動画を作成し,海外でのトップセールスやインバウンド向けのPR等さまざまな機会で発信していきます。

人材の確保・育成,移住・交流の促進

14ページでございます。
次に,地域産業の振興を支える人材の確保・育成,移住・交流の促進についてであります。
少子高齢化や生産年齢人口の減少に加え,進学や就職に際して,若年層が県外流出し,県内産業の振興を支える人材の不足が大きな課題となっております。
このような状況を踏まえ,各産業分野における人材の確保・育成に取り組みつつ,若年者等の県内就職促進,地域経済を支える貴重な人材としての外国人材の受入れのほか,移住・交流の促進等に取り組んでまいります。

<若年者等の県内就職促進>
(現状・課題)(方向性)
「若年者等の県内就職促進」については,民間会社の調査によりますと,出身地以外の大学に通う学生において,「地元企業への就職活動において最も障害に感じていること」として,最も多かった回答が「地元までの交通費」となっています。
県外大学生のUIターン就職を促進するためには,この負担を軽減し,県内企業が実施するインターンシップや企業説明会に参加しやすくすることが効果的と考えられます。

(R7の主な事業)
このため,引き続き合同企業説明会の開催や県外大学生等を対象とした企業見学ツアー,県の公式LINEアカウント「もどかご!」による鹿児島で働き・暮らす魅力の発信などに取り組むほか,新たに県外大学生等が県内で就職活動を行う際に要する交通費等への支援を行います。

<移住・交流,UIターンの促進>
(現状・課題)(方向性)
15ページでございます。
「移住・交流,UIターンの促進」についてでございますが,移住者を増やし,人材確保につなげるため,これまで,東京のふるさと回帰支援センターの相談員を増員し,相談体制の充実を図るとともに,全国的なイベントや各種セミナー等において情報発信・相談対応を行うなど,各種の取組を行っております。
こうした取組の結果,相談件数や移住者も増加傾向にありますが,今後,移住者数を増やしていくためには,ターゲットを設定した上での取組も有効と考えられます。

(R7の主な事業)
このため,移住相談窓口による相談対応や各種セミナー等による情報発信などに引き続き取り組みます。また,新たに,県外に暮らす本県出身の子育て世代等をターゲットとして,本県の子育て環境の良さや子育て支援策などの情報を発信します。

<多様な人材が就労できる環境づくり>
(現状・課題)(方向性)
「多様な人材が就労できる環境づくり」についてであります。
本県の外国人労働者は,人手不足が深刻な製造業や農業,建設業,介護などの分野を中心に増加しており,令和6年10月現在で約1万4千人となっております。これまでベトナムが最大の送り出し国であり,多くの人材が県内で就業しておりますが,今後は,近年増加しているインドネシアやフィリピンなどとも,送り出し国としての関係構築をさらに図っていく必要があります。

(R7の主な事業)
このため,今後の有望な送り出し国であるフィリピンやインドネシア等の送り出し機関と覚書きを締結するなど関係構築を図ってまいります。

(現状・課題)(方向性)
また,今後,技能実習制度から育成就労制度への移行に伴う転籍制限の緩和により,賃金水準の高い都市部への流出が一層懸念されます。
外国人材を受け入れる際の課題としては,県内企業への調査によると,「一定レベルの日本語能力の習熟」を挙げる企業が約半数となっています。

(R7の主な事業)
このため,来鹿前の不安解消を図るための生活環境等に関するオンライン授業や,特定技能の取得等に向けた外国人材への日本語学習支援等を新たに実施することにより,外国人材の受入れ及び定着促進の取組を強化します。

結婚,妊娠・出産,子育ての希望が叶う社会の実現

16ページでございます。
我が国では,出生数の減少が予想を上回る速度で進行し,人口減少に歯止めがかからない中,本県の将来を支える人材の確保・育成に向けて,国の施策の方向性も踏まえつつ,本県の実情に応じた子ども・子育て施策の充実・強化を図る必要があります。

このため,結婚,妊娠・出産,子育てのライフステージごとの総合的な支援策「かごしま子ども・子育て支援パッケージ」を昨年度取りまとめました。
今後,今年度策定予定の「かごしま子ども未来プラン」も踏まえつつ,同パッケージを着実に推進し,結婚,妊娠・出産,子育ての希望が叶う社会の実現に取り組んでまいります。

<妊娠・出産>
(現状・課題)(方向性)
妊娠・出産期においては,産後の母子に対して心身のケアや育児のサポート等を行う産後ケアについて,支援を必要とする全ての方が利用できるよう,今年度から新たに,産後ケア利用者の利用料相当額を無償化する市町村に対する支援を開始しました。

本事業により産後ケアの無償化を図った市町村の中には,今年度の産後ケア利用者数が昨年度同期比で2倍以上に増加しているところもあるなど,産後ケアの利用促進が着実に図られております。

(R7の主な事業)
来年度,産後ケア利用者の利用料相当額を無償化する市町村は,現在の17市町村から最大31市町村に拡大する見込みであり,引き続き市町村への支援を行ってまいります。

<子育て支援(保育環境の充実)>
(現状・課題)(方向性)
17ページでございます。
子育て期においては,共働き世帯が増加する中,保育士の有効求人倍率は3.15倍(R6.1)と他職種を大きく上回っており,保育現場の人材不足は深刻な状況となっています。
また,県の調査においても,保育士の確保に困っていると回答した施設の割合は約95%であり,同調査結果を基にした本県の保育士不足人数は約600人となっております。

このため,県では,保育士確保に向けて,今年度,県に保育士登録されている約3万人を対象に現況調査を実施し,人材バンクへの登録を促したところ,約800人の潜在保育士等が新規登録を行いました。登録者の総数は,これまでの約3倍の1,200人程度と大幅に増加しております。
新規登録者の中には,今すぐ就職したいと希望する方も一定数おり,掘り起こした潜在保育士の活用が課題となっています。

現況調査等によりますと,潜在保育士等の就業に向けた課題として,給与や勤務日数といった「勤務条件の一致」や「職務への不安」が多く挙げられています。行政に求める支援としては,勤務条件の調整を含めた保育所とのマッチングや,就業に関する相談対応へのニーズが高くなっております。

また,一部の市町村からは,保育士と保育所のマッチングを行うに当たり,保育業務や労務管理に関する知識など,双方のニーズを適切に調整するために必要な専門的なノウハウやマンパワーが不足しており,思うように保育人材の確保が進んでいないとの声を聞いております。

(R7の主な事業)
このため,潜在保育士等と県下の保育所とのマッチングを県が行うこととし,新たに「保育士・保育所支援センター」を設置し,就業支援員による就職相談や求職者と保育所間のニーズの調整など,潜在保育士等の就業に向けた支援を行います。

<子育て支援(幼児教育の充実)>
(現状・課題)(方向性)
幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることや,0歳から18歳の子どもの発達や学びが連続していることから,幼児期及び幼保小接続期の教育の充実を図る必要があります。

県内の私立幼稚園等からは,教育の充実を図るために,専門家による訪問や助言等の機会を求める声が寄せられております。

(R7の主な事業)
このようなことから,地域の幼児教育の拠点となる幼児教育センターを新たに設置し,幼児教育・保育の質の向上に向けて,幼児教育アドバイザーによる公私・施設類型の垣根を超えた施設訪問や園内研修等を通じた助言などに取り組んでまいります。

<子育て支援(経済的支援)>
(現状・課題)(方向性)
本県の子ども医療費助成制度は,経済的な理由から医療機関の受診を控え,症状が重篤化することを防ぐため,住民税非課税世帯の高校生までを対象に,自己負担を求めることなく現物給付方式を導入しておりましたが,多方面からの強い要望も踏まえ,子育てしやすい環境整備という観点から検討した結果,未就学児を対象に,現物給付方式を課税世帯にも拡げることにしました。

今年度は,システム改修など制度変さらに必要な準備を,実施主体である市町村や審査支払機関等とともに進めており,関係者間での調整の結果,新たな制度については,本年4月から開始することとしております。

(R7の主な事業)
今後も,市町村や関係機関と連携しながら,開始に向けた準備を着実に進めていきます。
なお,県の制度拡充等を踏まえ,市町村においても独自制度のあり方を検討しております。課税世帯に対する現物給付化については,全ての市町村において,未就学児の自己負担をゼロにするとともに,42市町村が中学生まで,そのうち,37市町村が高校生までを対象とし,自己負担なしとする拡充を行う予定としております。

(現状・課題)(方向性)
本県の離島においては,子育てに係る負担が本土と比べ大きいことから,その軽減を図るため,今年度から,離島に居住する子どもが島外の医療機関へ通院する際に必要な交通費等の支援を開始しました。

事業を活用した離島市町村においては,住民からの利用ニーズは高く,2年目となる令和7年度は,更なる利用者の増加が見込まれております。引き続き,離島の子どもたちの島外医療機関への通院等に伴う負担軽減を図ってまいります。

<子育て支援(困難を抱える児童生徒への支援)>
(現状・課題)(方向性)
18ページでございます。
不登校やいじめ,ヤングケアラーなどの困難な問題を抱える児童生徒は年々増加しており,個々の課題に応じたきめ細かな支援が必要です。

義務教育段階の不登校児童生徒数は,平成29年度から6年連続で過去最多を更新しております。こうした中,民間団体が運営するフリースクール等に通う児童生徒数も増加傾向にあり,フリースクール等は,不登校児童生徒にとって主要な学びの場の一つとなっていることから,フリースクール等に関する支援を検討することとしております。

この検討に当たっては,まずは,県内におけるフリースクール等の設置状況や機能,児童生徒の利用状況,保護者の支援ニーズ等を把握・分析する必要があることから,県では今年度,県内のフリースクール等や不登校児童生徒及びその保護者の状況等を把握する実態調査を実施しております。

(R7の主な事業)
令和7年度は,学識経験者,行政,福祉,教育分野の各関係機関による協議会を設置し,実態調査の結果も踏まえ,フリースクール等に関する支援のあり方を検討するとともに,着手可能な支援は可能な限り早期に実施することとします。

このほか,不登校・いじめなどの未然防止や早期発見・早期解決を図るため,児童生徒への心理的な支援を行うスクールカウンセラーの派遣回数を今年度に引き続き拡充することとしております。

能登半島地震を踏まえた防災対策の更なる充実・強化

19ページでございます。
昨年1月に発生した能登半島地震では,道路の寸断,建物の損壊,電気・水道・通信等のライフラインの損傷など甚大な被害が発生し,集落の孤立,避難の長期化など,さまざまな厳しい状況が生じました。
半島や離島を有する本県の今後の防災対策に,能登半島地震の知見を反映させていくことは大変重要であります。

国においては,避難所運営,物資調達・輸送などの検証を行い,その検証・教訓を踏まえた防災基本計画の修正を行い,また,能登半島地震を踏まえた災害対応の在り方についての報告書が取りまとめられました。
県では,国の対応等を踏まえ,県地域防災計画について見直しを行ったところであり,今回の当初予算においても必要な対応を行いました。
このうち,主なものについてご説明申し上げます。

<孤立化集落対策>
(現状・課題)(方向性)
能登半島地震では,道路の寸断により,多くの孤立化集落が発生し,道路啓開や通信手段,ライフラインの確保,食料・医薬品等の備蓄・運搬など,多くの課題が顕在化しました。

(R7の主な事業)
これを踏まえ,本県では,新たに市町村等との孤立化集落対策に係るブロック別検討会議を開催し,各課題への対応の具体化に向けた意見交換等を行うこととしており,県の孤立化集落対策マニュアルを踏まえた市町村の地域防災計画等の見直しや,孤立化のおそれのある集落毎の地区防災計画の作成など,孤立化集落対策が促進されるよう取り組んでまいります。

<備蓄物資対策>
(現状・課題)(方向性)
20ページでございます。
災害時における備蓄物資については,昨年12月に,国が指針を改定し,市町村においては避難所や物資拠点に必要な備品を確保するとともに,都道府県においては市町村の備蓄状況を踏まえた広域的な備蓄を確保することなどが示されました。

(R7の主な事業)
このため,本県では,この指針の内容を踏まえ,国,県,市町村,県と協定を締結している輸送事業者や小売事業者等による検討会議を開催し,備蓄目標の考え方や県と市町村との役割分担,保管場所,輸送手段など,災害用物資・機材等の備蓄の在り方について検討します。

<被災者支援>
(現状・課題)(方向性)
能登半島地震では,インフラ・ライフラインの復旧に時間を要したことなどに伴う影響として,生活用水の確保が困難となり,トイレ・入浴に問題を抱えた避難所が多くありました。

(R7の主な事業)
このため,本県では,避難生活における良好なトイレ環境や入浴機会が確保されるよう,県がモデル的にトイレカーや水循環型シャワー等を整備し,訓練やイベントへの展示を行うことにより,市町村における整備を促進するための普及啓発を行うほか,大規模災害発生時に活用することとします。

<耐震化対策>
(現状・課題)(方向性)
21ページでございます。
能登半島は,住宅の耐震化率が低く,多数の住宅が倒壊し,人的被害が発生したほか,消防活動等に支障を来す要因にもなりました。
本県も住宅の耐震化率が全国(約87%)と比べて低く(県平均:約82%,町村:44~75%),耐震化の取組を促進する必要があります。

(R7の主な事業)
このため,新たに,市町村が国の補助制度を活用して木造住宅の耐震改修工事費の一部を助成する場合,県が上乗せ補助を行うこととします。

<その他>
(現状・課題)(方向性)
大規模災害時,被災者の方に対しては,国の制度により被災程度に応じ,最大300万円の被災者支援がなされています。しかしながら,適用条件により対象外となる小規模な災害の場合は,県独自の制度により一律20万円の支援となり,国の制度と比べると,支援内容に大きな差が生じております。

(R7の主な事業)
このため,県の制度を国の制度と同等程度になるように見直し,これまでの見舞金的な制度から再建支援を目的とした制度に改めることとします。この制度が安定的に運用できるよう,県及び市町村の負担で設置している被災者生活支援基金の積み増しを行います。

このほか,国の南海トラフ地震に係る被害想定の見直しなどを踏まえ,本県において将来起こりうる被害を想定し,その軽減を図るため,地震・津波などの自然災害について被害の予測調査を行います。

<デジタルテクノロジーを活用した県民の暮らしの質の向上>
22ページでございます。
デジタル社会の実現については,「鹿児島県デジタル推進戦略」に基づき,交通,医療,介護,教育など,あらゆる分野におけるデジタルテクノロジーを活用した効率化・生産性向上に取り組むとともに,行政手続のオンライン化に向けた取組の推進やデジタル技術を活用した業務改革の積極的な推進など行政のデジタル化,人材の育成等に取り組んでまいります。

<脱炭素社会の実現と豊かな自然との共生>
23ページでございます。
地球温暖化は,人類の将来に関わる最も重要な環境問題であり,県としても,2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとすることを目指し,「鹿児島県地球温暖化対策実行計画」等に基づき取組を進めてまいります。

GXに向けた新たな事業を創出するため,モデル企業創出に向けた伴走支援等を行うとともに,県内外の企業と連携し,畜産業において飼料用アミノ酸を活用し牛から排出される温室効果ガスの削減を図る取組や,建設分野においてシラス由来の火山ガラス微粉末の量産化を促進し低炭素型シラスコンクリートの普及を図る取組を推進します。

<多様で魅力ある奄美・離島の振興>
24ページでございます。
本県の離島は,各島の特色ある独特の自然,文化,伝統,多様なコミュニティなど,多様性を有しており,まさに鹿児島の宝であると考えております。一方で,外海離島が多く,台風常襲地帯であるという厳しい自然条件の下,医療,物価,物流など多くの面で課題もあると認識しております。離島の多様で豊富な地域資源を活用するとともに,生活環境,交通基盤,産業基盤などの社会資本の整備と更なる産業振興を図ってまいります。

「島々の魅力を生かした奄美・離島の振興」については,奄美群島振興開発計画に基づき,移住・定住の促進,産業の振興による稼ぐ力の向上などに着実に取り組んでまいります。また,農林水産物等の輸送コスト支援など,奄美群島が有する条件不利性の改善などの取組を引き続き推進してまいります。
離島の振興については,自然条件等が特に厳しい離島地域における市町村の取組を特定離島ふるさとおこし推進事業により支援するなど,離島地域の活性化に着実に取り組んでまいります。

「世界自然遺産の保全と持続的な観光の推進」については,世界自然遺産に登録された奄美の適切な保全・管理の継続的な実施に向けた取組を推進します。

「離島の交通ネットワークの形成」については,鹿児島-奄美群島間や奄美群島-沖縄間等の移動コストの負担軽減を図るため,奄美群島の住民等を対象とした航路・航空路運賃の一部助成を行います。

<その他の主要施策>
その他の主要施策について,いくつか御紹介いたします。
25ページの「誰もが個性と能力を発揮し活躍できる社会の実現」ですが,高齢者の社会参加や生きがいづくりを促進するため,高齢者を含むグループが行う互助活動等に対して地域商品券等に交換できるポイントを付与するとともに,デジタル技術を活用した世代間交流の取組などを行う市町村に対し,経費の一部を助成します。

女性がいきいきと活躍できる社会の形成に向けては,職場におけるジェンダー平等を推進するため,企業経営者の意識醸成を図るフォーラムを開催します。また,専門家の派遣により,女性が能力を発揮できる職場づくりに取り組む企業への支援を行います。
さらに,さまざまな分野における女性の参画を推進するため,女性のスキル向上やネットワーク構築を図るためのセミナー,交流会を開催します。

障害者の個性と能力を生かせる社会の形成に向けては,聴覚障害児及びその家族に対して早期からの切れ目のない支援を実現するため,新たに,言語聴覚士による専門的な支援や巡回相談,家族支援等を実施いたします。

次に,「健康で長生きできる社会の実現と良質な医療・介護の確保」ですが,看護職員のUIターン就職を促進するため,県外在住者を看護職員として雇用し,その赴任に伴う転居費用等を負担する医療機関等に対し,費用の一部を助成します。

26ページの「地域を愛し世界に通用する人材の育成,文化・スポーツの振興」ですが,令和7年4月に開校する,いろは中学校の広報・周知及び円滑な学校運営のため,開校記念式典を実施するとともに,教育環境の整備等を行います。

県立高校の空調設備については,近年,猛暑日など気温の高い日が続く中,生徒が健康的かつ快適に教育を受ける環境を確保するため,学校生活の中心となる普通教室において,PTA等が設置した空調設備を県に移管することとし,光熱費等の維持管理に係る経費を県が負担することとします。

県立高校生の通学については,路線バス等の減便・廃止の影響により公共交通機関等の定期代の負担が増加した生徒に対し,今年度,緊急時限的な支援を行っております。また,これらの生徒以外に,より高額な通学費を負担している生徒が存在すると考えられたことから,通学状況に関する調査を実施しました。その結果,高額な通学費を負担している生徒が一定数存在することが把握できました。
このため,県立高校の設置者として,通学費を理由に生徒が希望する学びを諦めることがないよう,高額な通学費を負担している生徒に対し通学費の一部を支援することとしました。

県立高校については,生徒それぞれの入学動機や進路希望,興味・関心や背景にある生活環境などが非常に多様なものとなっております。
また,現在1学年3学級以下のいわゆる小規模校が約半数となっております。少子化は今後も進行し,令和15年3月の中学校等卒業予定者数は13,240人となり,令和6年に比べて約2,100人の減少が見込まれております。
このような状況を踏まえ,生徒の多様な学びのニーズや生徒数の減少に対応するため,県教育委員会において,来年度,有識者で構成する検討委員会を設置し,望ましい県立高校の教育の在り方について検討することとしております。

「安心・安全な県民生活の実現」ですが,横断歩道等の道路標示の補修について,令和7年度から5か年で集中的に取り組み,更なる交通事故抑止対策を推進します。

27ページの「快適な生活環境の向上と世界につながる県土の創造」ですが,指宿枕崎線の将来のあり方を検討するため,検討会議での検討に必要な調査・実証事業等の実施に要する経費を負担します。

屋久島航路については,物流の大部分を担う「フェリー屋久島2」が機器故障により昨年10月から運休しており,運航事業者は3月中の運航再開を目指しております。
県では,これまで,関係事業者に協力依頼を行い,代替運送手段の確保に取り組んできました。また,屋久島町と県で構成する屋久島物流対策連絡会を設置し,生鮮食品や資材等の状況,農水産物の出荷に関する情報共有を行うとともに,船舶の運航スケジュール等の情報発信を行ってきました。
これからの時期,かごしまブランドに指定されている屋久島のたんかんのほか,ばれいしょ等の出荷が最盛期を迎えます。「定時・定量・定質」のかごしまブランドの価値を維持するためにも,屋久島からの農水産物の出荷が滞りなく行われる必要があります。
また,年度末に向け,県民生活に不可欠な警察職員や教員等が,屋久島町を含む県下で異動を行うこととなりますが,これらの異動にも影響を与えないようにする必要があります。
これらを踏まえ,屋久島町に対し,同町が負担する代船運航に要する経費に対して支援することといたしました。

以上,主な施策の概要について御説明いたしました。

<健全な財政運営に向けた取組>
次に28ページでございます。健全な財政運営に向けた取組についてであります。

行財政運営指針等を踏まえ,歳入・歳出両面にわたる行財政改革に取り組んだ結果,財政運営に係る3つの指標を全て達成しております。
1つ目の目標である当初予算における収支均衡については,15年連続で達成しております。
2つ目の目標である本県独自に発行する県債残高について,令和7年度末の県債残高見込みは,令和6年度末の見込額から45億円程度減少し,1.1兆円を下回る1兆430億円程度となる見込みであります。
3つ目の目標である財政調整に活用可能な基金残高については,令和7年度末見込みで251億円となり,250億円を下回らない水準を維持しております。

このように財政の持続可能性を維持するための取組もしっかりと行いつつ,重要施策には最大限投資するメリハリの効いた積極的な予算編成に心がけたところであります。

<行革PTの取組>
29ページでございます。
行財政改革推進プロジェクトチームの取組状況であります。
まず,組織面での取組ですが,「行財政運営指針」(令和4年3月策定)に基づき,持続可能な組織体制づくりに向け,人材確保・人材育成・働きやすい職場環境の整備・行政事務の効率化等を重点的に推進しております。

今年度は,当プロジェクトチームの下に設置した「鹿児島県庁人材確保・働き方改革ワーキンググループ」において,若手職員を中心に,特に喫緊の課題である人材確保について議論し,今後の人材確保に向けた取組の基本方針や取組の方向性等を取りまとめた「鹿児島県庁人材確保アクションプログラム」を策定する予定としております。

今後,同プログラムに基づく人材確保に向けた取組の充実・強化を図るとともに,引き続き,持続可能な組織体制づくりに向けた取組をさらに進めてまいります。

30ページをご覧ください。
令和7年度に向けた財源確保の取組として,引き続き,事務事業見直しや歳入確保などに取り組んだ結果,49億円の効果額を生み出しました。しかしながら,本県財政は,依然として予断を許さない状況にあることから,今後も持続可能な財政構造の構築に向けた取組を進めていく必要があると考えております。

2.令和7年度の組織機構改正(案)

<組織機構改正(案)>
続きまして,令和7年度の組織機構改正(案)が取りまとまりましたので,主なものについて説明いたします。31ページでございます。

一つ目は,「PR観光企画監」の設置でございます。
全庁的なPR・観光関連施策の企画立案機能を強化し,関連施策を効果的に展開することにより,観光の「稼ぐ力」の向上を図るため,観光・文化スポーツ部のPR観光課に「PR観光企画監」を設置します。

次に,「参事(国際戦略担当)」の設置であります。
国際関連施策に関する今後の取組の方向性等をまとめた「鹿児島県国際戦略(仮称)」の策定により,相手国のニーズや特性を踏まえた戦略的な国際関連施策の展開につなげるため,総合政策部総合政策課に「参事(国際戦略担当)」を設置します。

次に,消防・救急業務に係る体制強化でございす。
救急安心センター事業,いわゆる「#7119」の導入に向けた検討や,離島急患搬送の円滑な実施に向けた関係機関との調整などを行うため,危機管理防災局消防保安課に「消防企画班」を設置します。

次に,児童相談所の体制強化であります。
児童虐待相談対応件数の増加を踏まえ,関係法令に基づき,各児童相談所の体制を強化します。

組織機構改正についての説明は以上です。
どうぞよろしくお願いいたします。

【質疑応答】

【記者】
新年度の予算なんですが,大きく2つの項目を「鹿児島の『宝』を世界へ」と「確かな安心,鹿児島」ということで掲げていらっしゃいますが,新年度予算を一言で表すとしたらどういった言葉になるのかとその理由をお聞かせください。

【知事】
一言だとなかなか難しくて,先ほど申し上げたような人口減少等の課題がある中で,持続的に地域を発展させていくために,二言ですかね,今申し上げた鹿児島の持つ地域資源,ポテンシャルをしっかりと生かして稼ぐということと,少子化を踏まえた子ども子育て施策や防災対策,そういった県民の皆さんの安心を確保する,この2つを大きな柱として据えております。

【記者】
今回100億円ほどプラス予算になっておりますが,その理由と,伸び率が今回今年度と比べて1.5%となっておりますが,伸び率が平均的な数値と捉えていらっしゃるか見解についてお聞かせください。

【知事】
予算の伸びが1.5%というのは,その時々に必要な施策を積み上げた結果ということで,今回1.5%ということでありますが,過去を見ても増減はいろいろあるかと思いますので,平均かどうかはよく分かりませんけれども,必要な予算を講じた結果ということでご理解いただければと思います。

【記者】
100億円プラス予算になった理由というのはどうでしょうか。

【知事】
理由と言いますか,今申し上げたように必要な施策を積み上げた結果でありますが,増になった主なものとしては,原油価格高騰等の対策としては,前年度と比べたら約6億円ぐらい増えているとかですね,子育て関係の予算としても,児童発達支援とか放課後デイサービス等の利用者が増加したとか,そういったことで34億円増えたり,能登半島防災対策みたいなので3.4億円
とかですね。公立学校の学習用端末の整備経費で50億円とか,さまざま。

【記者】
ありがとうございます。今回,8つの大きな柱を掲げていらっしゃいますが,この中で,全て力を入れていくことだとは思いますが,注目する施策等がありましたらお聞かせください。

【知事】
8つ掲げておりますけれども,それぞれかごしま未来創造ビジョンに掲げてある大きな柱だと思っております。そうした中で,8つの中の稼ぐ力の向上というのは非常に重要なものであると思いますし,人材確保,そしてまた防災対策,こういったことは皆さんの安心安全,ビジョンを達成する上で重要な施策でかないかと思っております。

【記者】
稼ぐ力は,知事が一期目からマニフェストに掲げていらっしゃいますが,二期目初めての予算編成として,稼ぐ力を1番最初に掲げてますが,この稼ぐ力に対しての思いをお聞かせください。

【知事】
人口が減っていく中で,若い人たちがこれからもこの地域で暮らしていく,そのためには基盤となる稼ぐ力が重要だということで,鹿児島県の地域の特色を生かした基幹産業として,農林水産業,観光関連産業,企業の稼ぐ力ということをこれまでも申し上げてきておりますし,これからもしっかりと進めていきたいと思っております。

【記者】
最後に財源についてなんですけど,県税などの自主財源率が昨年度35.4%で全国でビリと伺っているのですが,若干順位は上がったものの全国と比べるとまだ低い水準にあるということで,この自主財源比率について知事の受け止めをお聞かせください。

【知事】
鹿児島県の地理的な特性等もありますが,なかなか自主財源比率というのは高くはないということで,そういったことでこれから国の財政も厳しい中で,本県の財政状況も予断を許さない状況ということで,しっかり稼ぐ力を上げていく必要があると思っております。

【記者】
稼ぐ力について聞かせてください。二期目に入られたというところで稼ぐ力を掲げてから4年5年と時間が経ちますけど,稼ぐ力という言葉,字を見ればどういうことを指しているかピンとくる気がしますけれども,一方で具体的にどういう状態を指すのかというのがぼんやりしているところもあったりして,知事の中で稼ぐ力が向上した状態というのはどういう状態のことを指しているとお考えですか。

【知事】
どういう状態というか,稼ぐ力を向上させるためには,先ほどの説明の中でも申し上げましたけど,農林水産業でいえば,販売量,生産量これをしっかりと(増加させるために)生産基盤を強化することと,販売単価を向上させていく,そしてまた生産コストを下げる。この3つに取り組むことで稼ぐ力というのは向上できると思っておりますし,観光関連産業でも同じように,来訪者,観光客の数,消費単価を上げる,生産性を上げていく。こういったことに取り組むことだと思っております。

【記者】
分野毎に個別に農業であれ観光であれ,おおむね共通して生産性を上げるとか付加価値をさらに高めていくとか,そういうところを指しているという認識でよろしいでしょうか。

【知事】
はい。

【記者】
稼ぐ力の明確な定義とかは自分もよく分からないんですけれど,調べてはみたもののちょっと判然としないというところで,一方で安倍政権のアベノミクスにおいても使われていたりとか,それ以前から政治経済の部分に導入したりとかいろいろな使われ方をしているんですけど,知事の中でこの稼ぐ力,今掲げておられるんですけど,稼ぐ力に着目したきっかけをお聞かせください。

【知事】
やはり稼ぐ力という経済的な基盤がないと,若者も稼ぐ力のあるところにいってしまうとかですね,今後地域社会を維持していくためには,そこでしっかり働いて稼いでいく,そういう場,そういった仕事,そういったものが必要だというふうに思っておりますし,地域の活力,そういった観点からは稼ぐ力が大事だと私は思っております。

【記者】
この稼ぐ力,分野によっても中身は違うと承知の上で聞きますが,数値目標というのはあるのでしょうか。

【知事】
数値目標を個別に全部網羅的に設定しているわけではありませんけれども,測る物差しとしては,農業でいえば農業の産出額,あるいは輸出の額,経営体当たりの収入,こういったようなものがあるかと思います。

【記者】
一般的に分かりやすい用語でいえば,県民所得みたいなものがピンときやすいですし,知事も議会答弁の中で,稼ぐ力を向上して県民所得の向上に結びつける,そのような言い回しをしていることもあるんですけど,この県民所得は,稼ぐ力を図る代表的な指標ということになるのでしょうか。

【知事】
県民所得はデータ的にいろいろな補助金が入っていたりがあると思いますので,それを分析をどうするのか,そのままで使えるかというとなかなか難しい,正確な数値を表すかどうかというと難しい部分はあるかと思います。

【記者】
稼ぐ力を向上するということで,各分野で施策を進めてきて,その結果どういう地域社会を実現しようとしているのか,どういう状態を実現しようとしているかというと,地域の人口減少を抱える中で地域をいかに維持していくか,ここに集約されるのですか。

【知事】
地域の活力を維持して,そこで県民が安心して豊かに暮らしていける。そういうことだと思います。

【記者】
そうすると,先ほど県民所得と私あげましたけど,県民が安心して豊かに暮らしていけるって意味では,この稼ぐ力っていうのは,経済的な所得の多い少ないとか,集約されるものではないのでしょうか。

【知事】
そういうデータに集約はされると思いますけど,いわゆる県民所得という指標がそれを表すものとしてそのまま使えるかというと,いろいろ検討する課題があるのではないかと思っております。

【記者】
稼ぐ力を4,5年取り組んできて,現時点においてどれくらいの達成度,水準までたどり着いてきているのかということと,そこを進めていく上で現状,特に感じている課題についてお聞かせください。

【知事】
どれくらいっていうのは,あればあるだけだと思いますけども,まだまだ最低賃金価格の格差もありますし,まだまだこれからさらに取り組んでいくべきだと思っております。課題は,いろいろ取り組んでいる中でもありますけども,1つの大きな制約になりかねないのは人材の確保というところが大きいのではないかなと思っております。

【記者】
それは人口減少というものによるものでしょうか。

【知事】
人口減少ということが大きいのではないでしょうかね。

【記者】
2点ありまして,1点が21ページの下側の地震等災害被害予測調査事業の7,200万円なんですけれども,細かくは違うかもしれないですけど,東日本大震災を受けた後,2カ年に渡って災害調査,その後被害予測,想定見直しをされました。今回能登半島地震もあって,内閣府が南海トラフ地震のワーキングの検討会を春に向けてやってらっしゃる。恐らくそれに連動していく形になるかと思うんですけれども,能登半島地震が大変な地震だったことも含めて,県内の地震想定をどのように見直していくのか,防災を進めていくのか,考え,思いについて聞かせていただければと思います。

【知事】
これまで自然災害いろいろ起こってきていて,特に能登の地震があって,政府の方でもさまざまな見直しをしている,そしてまた,新たな知見を今検討しているという状況の中で,県としてもそういったことを踏まえてしっかり検討する必要がある。特に鹿児島県は半島とか離島とかがありますので,その辺をしっかりと踏まえた上で検討していきたいと思っています。

【記者】
特に能登半島地震では,県の初動対応の遅れというのが,大きな問題視されました。そのあたりはこういった地域防災計画の見直しにも突き進んでいく形になるかと思うんですけれども,そういった構え的な気持ちの部分は知事を含めてどういうふうにされる思いか。

【知事】
人命救助という意味では,初動の部分が一番大事かと思いますので,そういったことについては,訓練等でしっかりしながら,そういったことがないように取り組んでいきたいと思っております。

【記者】
ありがとうございます。もう1点。次は31ページの,予算というよりも人事のやつなんですけど,国際戦略担当の参事を設置されることになっています。イメージとしてわかりやすいのは,熊本のTSMC,半導体という話もこの前のレクチャーの時にも出ましたけれども,例えばどういうふうな知事のイメージで,この国際戦略というものを進めていく思いか。さらに,プラスアルファで,台湾というはわかりやすいんですけど,東南アジア諸国等でターゲットとなるような国みたいなもののイメージがおありになるのか,2点お聞かせください。

【知事】
この国際戦略というものは非常に幅が広いと思っていますけれども,これまではそれぞれの部署毎にいろんな戦略,取組をしてきております。例えば台湾であればTSMCの半導体というところがありますけれども,それ以外にも観光客の誘致という観点でも市場として大きなウエイトを占めていたり,あるいは鹿児島の特産品の販路開拓といったこともありますし,この他に青少年交流ですとか,いろんな意味で幅広くあるんですが,これまではそれぞれの国際的な取組というのをそれぞれ縦割りと言いますか,部署でやっていて,地域全体として台湾との関係をどうするのかというようなことを含めて横串を刺した形での戦略を立てていく。台湾だけではなく,香港もそうですし,中国,韓国あるいはアメリカ,そういったことを同じような形で出てくると思いますので,そういった国際的な県としての取組というのを,それぞれの部署毎ではなく,幅広く横串を刺して検討していきたいということであります。

【記者】
先日香港に行かれたことも含めて,トップセールスも含めて,筋道をつけながらあらゆる手立てをとっていかれるとか,知事本人も行かれてというふうなイメージをもってらっしゃいますでしょうか。

【知事】
当然ある地域,香港であったり台湾に行ったりという時には,幅広い関係の中でそういうトップセールス等を行っていく。そういったことをやっていきたいと思っております。

【記者】
稼ぐ力の向上と,子育て政策と人材確保という柱はこれまでと継続かと思うんですが,これまでの会見とかと比べると,去年よりも新規事業が増えているし,現状とか課題という説明があってから施策の方向性を示しているかなという印象があるんですが,新年度予算を作るときに知事として意識されたところはありますか。

【知事】
それは政策の観点から・・。

【記者】
政策の現状と課題,その上での施策の方向性という説明を今日もスライドでされているかと思うんですけれども,今までと比べて意識したところはありますか。

【知事】
それは個別の施策の中身なのか,それともプロセスの話か。

【記者】
方向性は今までと継続しているかと思うんですが,新規事業も増えているし,今の紹介の仕方というところでも現状とか課題をしっかり説明されてから施策の方向性を言っているかなという印象を受けたんですけど,当初予算を編成するときに,方向性は一緒だけど,もっと事業を深めるためとか,強化するためにここら辺を注意しましたというところがあれば教えてほしいんですけど。

【知事】
私は就任してから,いろんな政策の検討をするときに,今の現状分析をして,その中でしっかりと課題を見つけ,現状の取組の中で足りないところとか,あるいは新しくやるべきこととか,そういったものをしっかり整理した上で,こういった予算編成,政策というのは作っていく必要があると考えておりましたので,そういった観点で,総合政策部にもそうした検討を政策的な面では行っていただくようにこれまでもやっていて,今年に限らず昨年もそういった形にしようとはしておりまして,そういったことがだんだんみなさん慣れてきたというか,できたかなというふうに思っております。

【記者】
柱は変わっていないけれども,政策はもっとこういうところを意識したというのはありますか。確かに現状や課題を分析してから打っていく政策だと思うんですけど,よりこういうのを目指したというのがあれば。

【知事】
特に何かということではなく,全般的に今申し上げたような,政策・業務を行っているもの,そして対応を転換すべきものとか,そういったことをしっかりと議論しながら,この予算編成を行ってきたということ。特に個別にこれとかといったことではない。

【記者】
メリハリをつけた編成というのも説明の中でも出てきましたけれども,予算額だけではなくて,特にここは頑張って手厚くするようにしたとかそういったところはありますか。

【知事】
そうですね。全体的に稼ぐ力のところというのは,輸出とか,そういった基盤をしっかりと作っていくようなところとか,あるいは,インバウンドの誘致のやり方もデジタルプロモーションとか,しっかりとターゲットを絞ったりとか,そういった点で今までのPRの効果があったのか,なかったのか,今後またさらに強化するにはどうしたらいいのかということを含めてしっかり議論してもらいましたし,子育てとか結婚のところも現場の声をしっかりお伺いをしながら検討してもらっておりますし,そういったことをしっかりとお願いしております。

【記者】
お茶とか鰹節とか,農林水産物の輸出のところをしっかり力を入れてるかなと思いましたけど,そこら辺にかける思いはどうですか。

【知事】
そこは鹿児島の宝を世界へというところで,これからの戦略としては,稼ぐのは国内市場はそこまで伸びない,むしろ縮小していく中で,やはり輸出を増やしていくということが重要だということで,目標も高く500億円と掲げている訳ですが,その中で主力の和牛,ブリ,そして今後またさらに伸びるであろうお茶,こういったものをそれぞれ伸ばすために必要なことを予算に盛り込んでいると思っております。

【記者】
より稼ぐために意識したということですか。

【知事】
そうですね。

【記者】
2期目に入りましたけど,今までの稼ぐ力の成果自体はどういったところに現れているというふうに考えてますか。

【知事】
農業で言えば農業産出額が増えてきている。輸出も増えてきておりますし,経営体あたりの所得というのも増えているという部分はあるかと思います。

【記者】
常々知事は職員からのボトムアップ型の政策立案というのを求めてきていると思いますけど,今回の当初予算編成にあたってはそういったところというのは,職員からいろいろ現場の声を聞いて上がってきたものというのも出てましたけど,そこら辺の達成具合としてはどうですか。

【知事】
いろいろと現状分析をした上で必要な施策,アイデア等を出していただいていると思っております。先ほどのクルーズ船への水産物の供給実証というようなものもありますし,あるいは,去年から始めておりますけれども,GXに関して,牛のアミノ酸を活用した成長促進のような話とか,シラスコンクリートとか,そういったものも含めて,いろんな施策が盛り込まれていると思っております。

【記者】
去年に比べてうまくいっているというか,より強化されているというふうに思っていますか。

【知事】
去年は去年でそのときに必要な施策というのを盛り込んでいたと思いますけれども,今年はまたいろんな変化とか,新しい状況にも対応して予算も見直したりということをしてきたと思っております。

【記者】
より稼げるように,2期目に入ってきてもっと結果が求められるというような声も結構聞きますけど,そこは意識されているところですか。

【知事】
2期目に入ったからということではありませんけれども,5年目という意識で今後も継続的にしっかり取り組んでいきたいと思っておりますし,インバウンド観光のところはコロナ後ということもありますので,そこはしっかりとまた取り組む必要がある部分だと思っております。

【記者】
予算編成の2期目,最初のというところで,財政の状況もあって,なかなか思うように盛り込めなかった政策もあるのか,そういったところはいかがでしょうか。

【知事】
どうでしょうね。そこまで,そんなに。ある程度,工夫をして編成をしていただいたと思っています。

【記者】
稼ぐ力の向上ということろでは,先ほども話題に出ましたけど,輸出であったりとか,インバウンド需要の取組とか,海外というころがキーワードなのかなと印象を受けたんですけど。海外で付加価値を高めて,高い収入に繋げていくという狙いがあるという理解でよろしいですか。

【知事】
海外を中心に輸出,インバウンドの拡大ということろは,そうだというふうに思っております。国内的には,和牛をしっかりと付加価値をあげていこうという取組はありますし,焼酎も東北とか需要の落ち込んだ首都圏での回復とか,そういった国内部分での課題もございますし。できるところは国内外,しっかりと取り組んでいきたいと思っています。

【記者】
分かりました。
ページで言うと7ページになるんですけど,稼ぐ力の農林水産業の部分では,茶の新たな販路開拓事業を盛り込まれていると思います。海外で注目されている中で,この事業に取り組む意気込みみたいなのがあれば,伺いたいんですけれども。

【知事】
お茶は海外で伸びている中で,鹿児島は非常に,全国で有数の荒茶生産量が2位という中で,海外の方で抹茶の需要が伸びている。鹿児島は有機の取組が全国的にも進んでおります。こういった海外への有機,抹茶の需要にしっかりと応えていく,そのニーズを取っていくということをしていきたいと思っております。

【記者】
茶の生産者の方々の話を聞くと,鹿児島で生産して海外にという,一連の流れというか,生産から輸出までのスキームの確立を望む声が聞かれますが,そういう声にどう取り組んでいきたいかっていうのはありますか。

【知事】
まずは原料,荒茶だけでなくて,抹茶,粉末茶,こうしたものを製品として出していくというのが最終的な付加価値を取るためには大事だと思っておりますので。鹿児島でもそういった抹茶の原料になるてん茶を作ったりするところも増えてきておりますので,そういった施設の整備に向けても,今回支援をしていきたいと思っております。

【記者】
加工施設だったりとか,そういった部分での課題があるなっていう理解,認識はありますか。

【知事】
加工まで仕上げて取り組んでいこうという,お茶の事業者のみなさんがそういうふうに思っていただかなければいけませんし,そのときの資金的なというのもありますし,技術的な課題というのもあるのかもしれません。そういったことは一つずつしっかりと解決しながら進めていければと思っております。

【記者】
いろんな分野で人手不足とかあると思うんですけど,交通インフラとかも人手不足が課題になっていると思うんですが,今回そういった施策みたいなのを予算の面では見当たらなかったんですけど,検討されたこととかってあるんでしょうか。

【知事】
交通関係の人手不足ですが,既に昨年,今年度ですね,採用活動に対する支援等を行っていますので,それについて引き続き行っていきたいと思っております。

【記者】
稼ぐ力なんですけど,課題として,人材不足,担い手不足とあると思うんですが,それと関連して,知事肝入りの事業は何かあるのか教えてください。

【知事】
人手不足については,できるだけ若い人に鹿児島に残ってもらう,UIターンを進めていく,そして,できるだけ省力化できるところは省力化していくというところと,後は,外国人材を受入,活用をしていく,こういった方向性で整理をしております。コロナの期間中は,高校生,大学生の定着が少し上がったんですが,コロナ後また流出しているという状況もありますので,そういった若い方に定着してもらう,あるいは戻ってきてもらうために,今までの施策も行っております。また,東京での移住の相談体制も一人から二人体制にしたりということも行っておりますし,そういったことも引き続き行っていきたいと思っております。
また,省力化は,人手不足だけでなく生産性を上げるという観点で,企業のIoT投資に対しても支援,これもずっとやっておりますが,集中的にやっていくということで継続していきたいと思います。

【記者】
先ほど県内のIoTの話がありましたが,かなりその辺の予算が厚いかなと思っておりますが,これは知事の肝入りという理解でよろしいでしょうか。

【知事】
そうですね,そこはしっかりとやっていきたいと思っておりますし,ニーズもかなりまだまだあると聞いておりますので,そこはしっかり行っていきたいと思っております。

【記者】
今回,新体育館に対する予算が入っていないと思うんですが,その理由を教えてください。

【知事】
スポーツ・コンベンションセンターについては,昨年の9月に入札不調になってから,事業者の皆さんからいろいろとお話をお伺いしながら,どういうふうに経費,コストを削減するか,或いは整備,運営手法をどうするか検討を行ってきておりますので,そういったことについて,まずは議会の方で御議論いただいたうえで,どういった予算を編成するか,ということを検討して,判断したいというふうに考えております。

【記者】
今後それを提案するにあたって,財源をどういうかたちで考えてらっしゃるのか教えてください。

【知事】
まだ規模自体もこれからしっかりと精査をして議会にも説明しますし,当然,財源についても,それから整備,運営手法等についても関わることですから,その辺についてもこれから検討して,しっかり詰めていきたいと思っております。

【記者】
今回の予算編成で2つキャッチフレーズというんでしょうか,「鹿児島の『宝』を世界へ」「確かな安心,鹿児島」という初めてつけられたかと思うんですけれども,これをつけた背景というか想いというのをお聞かせください。

【知事】
主要施策の柱の中で共通する考え方として,この稼ぐ力というのを外から稼いでくる,あるいはインバウンドを呼び込む,こういった鹿児島の持っているポテンシャル,宝というのをしっかりと世界にも発信していく,そういった観点から一つそういったものがあるんじゃないかということ。それから,少子化が進んだりというようなことで,地域の活力を維持していく,安心して暮らせるための対策としてのこうした子育て支援とかですね,そういったものと,防災といったですね,そういったことが一つの共通項としてくるということで,こういった2つを挙げております。

【記者】
一つ目の,「鹿児島の『宝』を世界へ」というのは,いわゆる知事がずっとおっしゃっている稼ぐ力の向上というのに直結するというか,つながっていく部分なのかなと思うんですけど,先ほど,これまでの稼ぐ力の振り返りを記者さんが聞かれたと思うんですけど,ご自身でどこまでの水準に至っているのか,なかなかちょっと答えづらいというか分からないというふうなご発言あったかと思うんですけれども,知事ご自身がちょっと分からないとなると県民としては戸惑う,今どのくらいの水準にいて,どういった課題があって,だからこういったような新年度の予算をつけて,こういうことを進めていくんだというのがなかなか分かりづらい,県民の一人としてもすごく戸惑うんですけれども,そのあたりはどのように考えてらっしゃいますか。

【知事】
どのくらいができているかとかっていうのが,県民のみなさんがいくらだったらいいかっていうことではあるかと思うんですね。そういった意味で,方向性としては,引き上げるということではありますので,まあそういったことでいくと,どこまでっていうのはなかなか定めづらいかなと思っているんですよね。ただまあ,方向性としてはさらによくしていくということだと思っております。

【記者】
財政面で一つお伺いしたいんですけれども,ずっと予断を許さない状況が続いてるなかで,今後,新総合体育館の整備計画があったりとか,大規模な県有施設の維持更新が必要になってくる思うんですけれども,今後の財政需要をどういうふうに見込んでいて,どのように備えをされているのか,そのあたりのお考えを聞かせてもらえますか。

【知事】
いろいろこれから県有施設も老朽化をしてくるっていうことで,南薩地域振興局を今回移転,建て替えということにしておりますし,それぞれいくつかそういった方向で検討していくことになるかと思っております。そういったものについてのしっかり財源をですねその都度確保しながらやっていくことで,それが総額いくらって出しているというわけではありませんけれども,その時々の財政状況に応じてしっかりとやっていくし,また不測の事態に備えては250億円という基金も利用しながら備えていくということだと思っております。

【記者】
農林水産業の稼ぐ力の関係でちょっとお尋ねしたいんですけれども,今回クルーズ船で水産物を供給する体制を構築するということなんですけれども,なんで水産物なのかというのと,他の品目はやらないのかというのをちょっと知りたいです。

【知事】
今回ですね,クルーズ船に今水産物を納入している会社があるんですね既に。そこから,こういったことを鹿児島でもできないかというニーズを踏まえての対応ということでありまして,今後野菜とか肉とかそういったことについても,水産から始めてですね,できていければちゃんとこれは進めて行きたいと思っております。

【記者】
広めるつもりはあるということですか。

【知事】
はい。

【記者】
あと今回,輸出に力をいれるということで,来年度,新しい輸出ビジョンを策定すると思うんですけど,そのビジョンの方向性はどういう風にしていくのかというのをちょっとお尋ねできればなと思います。

【知事】
まだ,具体的には固まっておりませんけれども,方向性としては,鹿児島の先ほどの主力になっている和牛とかブリとかお茶それからまた今度鰹節とか,まあこういったことを含めて,あるいは,そのほかの加工品とか農産物でもですね,PPIHと提携しながら進めているさつまいもであったり,そういったものも含めて幅広く輸出していきたいと思っております。

【記者】
額としては,令和7年度で500億円をまだ達成できるかどうかわからないと思うんですけど,それより増やすのか,維持するのかとか,そんなのあるんですか。


【知事】
それぞれまだはっきりしませんので,状況を見て,あるいは見通しを個別品目とか地域とかそいうものを検討しながら,どのくらいがその先適当かというのを検討していきたいと思っております。

【記者】
国際戦略策定のところで,先ほど想定例として台湾とか中国とかアメリカを挙げられたかと思うんですけれども,この東アジアとアメリカを考えているのか,それとも東南アジアの他の国を考えているのかお聞かせください。

【知事】
あれはただ例であって,別にそこに限るわけではなくて,幅広く国際的な戦略を考えていきたいと思っております。

【記者】
どこに力を入れたいとかっていうのはありますか。

【知事】
特に力を入れるということですと,今までのつながりがあるところでは,韓国・中国・台湾・香港まあこういったところですかね。

【記者】
どうして今,国際戦略を策定しようと思われたのか,その理由についてお聞かせください。

【知事】
私も,何回かトップセールスで海外に行ったりしますけれども,その際に先ほど申し上げたような縦割りといいますかそれぞれの戦略というのをもう少し総合的に立てて取り組んでいくということが必要だなということを私自身も感じたということですね。

【記者】
インバウンドが増えているというのも理由として挙げられますか。

【知事】
インバウンドが増えているかっていうと,これから増やしていかなければいけないということもありますし,外国人材を確保するという観点からも必要だと思いますし,外国人材を確保するというのではベトナムとの関係というのもあるんですけれども,外国人材をこちらからもらうだけではなくて,来てもらうだけじゃなくて,やはり先方のニーズというのは,農業技術というのを学びたいというような,いろんな相手国のニーズというのがあるなかで,そういった幅広い国と地域との関係を作っていくという必要性があるんじゃないかなというふうに思っております。

【記者】
先ほどから稼ぐ力の中の重要品目で和牛,ブリ,かごしま茶,鰹節と4つ挙げてらっしゃいます。知事が個人として4つを見たときにこれから先,新たな産業として一番伸びしろがあると考えるものを1つ挙げてもらえますか

【知事】
伸びしろというより今一番伸びが大きいのはお茶。

【記者】
その理由は。

【知事】
EUとか欧米の方で,和食に対する関心とか,抹茶の引き合い,こういうものが強くなってきてる。

【記者】
戦略の中で,全般に言えることだと思いますが,国外に出すということは他県との競争でもあるわけです。県のお茶,例えばこれをどうするのか,知事はどのようにお考えでしょうか。

【知事】
差別化という意味ではお茶ではかごしま有機というのはあると思います。

【記者】
一方では和牛。国外でもつくられている現状がありまして,畜産業者から,需要自体が落ちている。和牛自体が嗜好品となっている。付加価値は高いんだけども,私も含めて,手をかけづらい。そういう部分で知事から九州経済産業局長でいらっしゃったと思うんですが,今後どういう風になっていくのか,和牛に関して言うと現状があるんですがどう考えていますか。

【知事】
和牛については,国内需要っていうのは今後伸びるかと言うと,そこまで伸びていかないだろうと。となるとやはり輸出ということで海外の人にとっては和牛っていうのは大変好まれているということで,価格が多少高くても香港だったり,他のところでも提供されて非常に人気だと聞いていますし,最近東京の方でもホテルとかレストランでフェアをやってたり,インバウンドの人,あるいは国内の人も消費されているということでありますから,その辺のターゲットに向けて,しっかりと高級市場というのを取っていくということも必要だと思ってますし,一方でその他のウデとかモモとかそういったところの部位も含めて消費をしていけるような形にしていく。また和牛日本一鹿児島ということでこれからしっかり振興を図り和牛の消費を拡大していきたいと思っているので,たまには奮発して和牛を食べていただきたいと思います。

【記者】
ありがとうございます。

【記者】
予算規模なんですけど,年額予算だと令和6年度とはそんなに変わらず。予算方針としても稼ぐ力と子育て支援ということで,継続色が強くて,細かく言えば新規事業はあると思うんですけど,2期目最初の予算としては若干地味というか新鮮味に欠ける感じがあるんですが,知事ご自身としてはどう思いますか。

【知事】
2期目というか,1年前とそう大きく何かが変わったところは,県政の課題というのは継続的に取り組むべき課題というのが多いと思いますのでこういったことを着実に進めていくというのに必要な予算だということでしっかり組んだと思っています。

【記者】
稼ぐ力の向上と子育て支援の基本的な方針は,ご自身の方針が変わらないというか,ぶれないっていうか,そういうのは思いがあるんでしょうか。

【知事】
やはり稼ぐ力,子育て支援,自然災害の中での防災対策をしっかりとしていく,県民のみなさんが安心して暮らしていける,こういったことは必要なことだと思いますし,状況が変われば見直したりといったことは必要だとは思いますが,柱としては大きく変わるものではないんじゃないかなと思っております。

【記者】
極端な例なんですけど,東京では無痛分娩に対して助成したり,10万円助成するとか。そういうなんていうか,東京都の施策みたいに注目を集めるというか,目立つような事業っていうのはなかなか見当たらないなって感じはするんですけど鹿児島県の厳しい財政では仕方ないというか,そういうのはご自身で思いますか。

【知事】
お金があればいろんなことができると思いますし,またそれぞれの地域で取り組むべきものを優先順位をつけながらということだと思いますので,鹿児島県の場合,産後ケアを充実させたりですとか,これまでにも不妊治療等について手当をしたりですとか,それぞれニーズに応じていろいろな取組をしてきていると思いますし,またそういったことがまた無痛分娩みたいなものがまたどうしても必要ということであれば,また予算についてもですね,しっかりと検討していきたいと思います。

【記者】
ありがとうございます。

【記者】
27ページの指宿枕崎線の検討事業についてなんですけど,この必要な調査実証というのは,知事はどのようなものを想定されているんでしょうか。

【知事】
調査実証についてはこれからだと思いますけれども,今いろいろ検討もしていただいていて,利用促進のための取組というのを想定しながら,今後検討していきたいなと思っております。

【記者】
今回予算化されたということで,今後も検討会に対して,県としてはどういった姿勢で取り組んでいくのかというのを,改めて教えてください。

【知事】
指宿枕崎線は,地域にとっては非常に重要な生活あるは観光・産業こういったことに必要だと思っておりますので,そうした利用促進等についてですね,寄与するような方向で検討が進められればと思っております。

【記者】
11ページのところで,戦略的な誘客の展開のところなんですけれども,グランドハンドリングの体制というところに対して,県としてどうやって取り組んでいくのかというのを教えてください。

【知事】
グランドハンドリングについては,既存の事業者もいるわけですけれども,事業者に対しては採用活動等の支援とか,あるいは他空港からの派遣受入れのようなことの人材確保のための支援ということと併せて,新規参入に向けた事業者への支援といったことを考えております。

【記者】
昨年度の当初予算案の説明と比べると,昨年だったら地上職員の確保等,明確な課題として記載されているところなんですけれども,今回の空港における体制確保の取組については表現が変わっていまして,これっていわゆる県としては,地上職員の不足というのはある程度改善されつつあるという見方なんですかね。

【知事】
昨年,一年前と比べればですね,内部人員というのは増えてきて,それによって(国際線が)再開したり,便数が増えたりという状況にはなってきていると思っております。なのでこれで十分かというと,まだこれから支援をしっかりしていく必要があると思っています。

【記者】
ありがとうございます。

【記者】
これまでの質問と重なる部分もあって恐縮なんですけども,大きな方向性は県政の継続上変わらないということですけども,個別を見ていくと2ページにあるような輸出拡大の促進だとか,先ほど質問もあったような肝いりの施策とかありましたけども,知事として具体的に予算編成に向けてどんな指示を出されたんでしょうか。

【知事】
今回の予算編成の基本的な考え方としては,柱に掲げる稼ぐ力についてのものとか,子育て支援とか,そういったことについて重点的な形で検討はしてもらっております。

【記者】
もうちょっと個別具体の施策レベルでの指示というかサジェスチョンというか,何かされましたか。

【知事】
具体的にどれっていうことは,いろいろありますけれども,予算の編成の過程,政策論議の過程でみなさんと一緒に議論をしてきて,この部分が現状としてこれなんだけど,もっとこうじゃないかああじゃないかというような議論をしながら,これまで進めてきております。

【記者】
特に2つ3つ挙げるとしたらその中で実現したものはどんなものが挙げられますか。

【知事】
考え方としては,例えば和牛の部分で,今後どういう風にして戦略を立てていくのかというので,大阪の市場とか東京の市場とかいろいろあるわけですけど,その販売単価というのはどうなのかとか,そうすると付加価値を上げるためにどこの部分の市場をどういう風な形で増やしていくかとか,そういった考え方を整理をしながら予算に反映させました。

【記者】
その辺のことをレクの時なんかに問いかけましたということでしょうか。知事は従来ボトムアップ型の,職員からの政策提案というのを期待している立場だったかと思いますけれども,今回どのくらいそれを達成できたかなとお考えでしょうか。

【知事】
先ほど記者からも話がありましたけども,いろんな現状,課題そしてまた方向性の議論,こういったものについてデータとか整理をしながら議論を進めるということができつつあるかなと思っております。

【記者】
何点くらいですか。

【知事】
そういうのはあんまり。何点でしょう。

【記者】
予算編成上,攻める部分と守る部分があったかと思うんですけれども,攻めるための予算を上げるにはある程度削る部分もあったかと思うんですけれども,満足度としてはどれくらいですか。

【知事】
どうでしょうね。私の思う限りでは必要なものはだいたい盛り込めたかなと思っております。

【記者】
何点ですか。

【知事】
採点はお任せします。

【記者】
県立短期大学の検討事業のことでお伺いしたいのですが,先日鹿児島純心女子短期大学さんの学生募集の発表されましたけど,知事はそもそも短大を取り巻く状況というものをどのようにお考えでしょうか。

【知事】
短大といいますか,県立短大については,一定の県内における人材を輩出する,そういった役割を担っていただいていると思っております。最近は定数,定員を満たさないということもありますので,さらなる内容の充実,魅力化,こういったところを検討していただいている。

【記者】
県短もなんですが,純短が募集停止されたように,全国で短大というのが募集停止,閉学というのが相次いでいるんですけど,その状況はどのようにお考えですか。

【知事】
それはそれぞれの学校の判断だと思いますし,あるいはその地域的なあるいは学科の内容,そういったことで判断されていると思っております。

【記者】
新年度の検討事業として,今年有識者の検討委員会から提言まで出されると思いますけど,それを踏まえて検討を県庁でされていくということで,提言を踏まえて新年度から改めて検討するというような事業だと思うんですが,そもそもこの検討委員会で,県の方が4年制化は前提としないという方針をもって検討会の議論がされたと思うんですが,そもそも4年制化を前提にしないという,これだけ短大が全国でも厳しい状況がある中で,そもそも論として前提としないという考えで大丈夫なのかどうか,どうお考えですか。

【知事】
今の県短の状況としては,4大化の必要があるというところまでは立証していないという状況です。

【記者】
それはどうしてですか。

【知事】
ニーズというところが,県短というところでは,県内から多く来ておりますし,また卒業生の県内就職から言っても,そういった人材に対する県内の進学先でもあるという風に思っております。

【記者】
ただ一部では定員割れをしている状況はどう見ていますか。

【知事】
定員は少しでも割ったらすぐ変えるかということではないと思っています。そうすると4大でも定員が割れるところはいっぱいあるわけですから,じゃあそういったところはどうするのかとか,いろいろな課題があると思いますので,定員割れがあることも踏まえた上で,さらにニーズがどうかということを見ながら,魅力化していきたいと思っております。

【記者】
学長さん方に話を聞くと,県内に公立の4年制大学がないことで,若年層の県外への流出の一因になっているんじゃないかというご指摘をよく聞きます。その辺を知事はどうお考えでしょうか。

【知事】
4大にすると,今県短に行っている人たちをどうするのかと。4年制だとじゃあそこに来るのかというと必ずしもそうではなくて,県内からの進学率というのが4大になった場合には下がると思っております。下がった上で,さらに県内にその中から就職する人というのも,今の県短よりは下がる。そうしたことからすると,若者の流出を食い止めるということにはならないのではないかと思っております。

【記者】
ということは知事は,4年制化した場合は,より県外に若者を出してしまうと。

【知事】
そういう結果になるのではないかと思っています。

【記者】
そっちの方が流されるのが大きいと。

【知事】
大きいと思っています。

【記者】
26ページの県立高について質問させていただきます。今回,県立高の将来ビジョン検討事業を始められるということで,まず前提として,これまで魅力ある県立高校づくりを県教委が励んできた中で,どの程度の効果があったとお考えかというところをお伺いしたいです。

【知事】
県立高校にはさまざまな魅力化の取組をしていただいていて,それまでの効果というのもある部分はあるかと思いますけど,なかなか人数の小規模化というのを食い止めるまでには至っていないというふうに思っております。

【記者】
これまでの入学者を見ると,61校ある県立高のうち54校が定員割れというかなり深刻ですが,それの受け止めと,どのようなことが課題として上がってくるのかなというところをお答えいただきたいです。

【知事】
おっしゃるように,学校での定員割れ,そしてまた小規模化が進んでいるという中で,若者たちの学びがしっかりと確保できるのかどうか,そういった部分についてしっかりと検討していく必要があると思っておりますので,そういったことをこの事業で検討していきたいと思っております。

【記者】
具体的な将来ビジョン検討事業の議論の内容についてですけれども,他県では高校再編とか定員見直しとかの動きがある中で,この将来ビジョン検討事業についても,再編,学科の見直し,定員見直しといったところを前提となって議論される認識でよろしかったでしょうか。

【知事】
定員の見直しについては随時,人数の状況等を見ながら進めているわけではありますが,さらに再編ということになるのかどうかというのは,前提にしているわけではなくて,いろんな議論があり得ると思っております。

【記者】
再編を視野に入れて議論するをするというのは間違いないことなんでしょうか。

【知事】
それはあり得るんじゃないでしょうか。それは排除しているわけではありません。

【記者】
総合的な動きとしてはそれらも含めて議論されるという認識で。この検討事業の中で具体的なところで,今後の望ましい県立高のあり方ということを検討するという風になっていますけど,知事が思うこの少子化時代の中で,県立高校の望ましいあり方というのはどういったものになってくるとお考えでしょうか。

【知事】
県立の高校ですから,それぞれの地域において子どもたちが同じように勉強できる,そういう環境を提供することが大事だと思っております。

【記者】
格差なく,みんなが学べるような環境ということでしょうか。

【知事】
はい。

【記者】
概要資料の39ページの県立病院についてです。県立病院の在り方検討事業というところで,外部有識者で構成する検討委員会を設置して在り方について検討を行うと。県立病院事業については5病院で23年度決算,累積赤字10年ぶり,累積も40億円以上あると理解しています。一般財源からかなり繰り入れてなおその数値と思います。鹿児島の場合それぞれの立地とかで各病院統計で見るとさまざまでございますけれども,知事として今の県立病院の経営状況をどのように認識しているのか,県立として病院が存続していく蓋然性というか相当性があるのか,この点についてはどのように現状認識されているかお聞かせください。

【知事】
県立病院については,今おっしゃったように経営が大変厳しい状況にあって,特に鹿児島県の場合では人口が減少している地域等ですね,維持することが大変な状況だというふうに思っております。一方で地域における医療,安心ということを含めてですね,県立病院の必要性というのは一定程度あると思っておりますので,そういう中でどういう診療科なり,経営をしていけばいいのか,どういうふうに人材を確保していくのかといったようなことを含めて議論していければと思っております。

【記者】
検討事業では,在り方検討ということですから,運営形態まで含めて議論を期待されるのか,それとも稼ぐ力。現状でいったら県立としても稼げていないという数字が出ているわけですけれども,そういったところをより一層,これまでも業界改革プランやっていたと思うんですけど,そこをさらにブラッシュアップしていく話なのか,運営形態も含めて例えば民営化とかも含めて議論を期待するものなのか,そこら辺はどうでしょうか。

【知事】
民営化ということは,なかなかできるのかどうかということはあろうかと思いますけれども,そういった議論が出てくれば,そういうものを排除するものではないと思っております。

【記者】
民営化議論も排除しないと。

【知事】
排除はしないと思っておりますが,ただ一方で大変厳しい状況でありますから,民営化できるのかっていう課題はあると思います。

【記者】
今の質問に関連してですけれども,この検討委員会では規模縮小とか再編を前提としたものではないという理解でよろしいでしょうか。診療科目が長らく休止になっているところもあったりするんですけれども,その辺の整理も含めて,そういったものは前提としないのか。

【知事】
別にそういったことを前提にということではありません。

【記者】
この検討委員会で,このような提言が出てきた場合,それを速やかにその方向で動くという理解でよろしいでしょうか。

【知事】
提言によっては時間がかかるもの,すぐできるもの,いろいろあるかもしれませんが,それをしっかりと踏まえてやっていく必要があると思います。

【記者】
稼ぐ力について,先ほど他社さんとのやりとりで稼ぐ力の達成度がなかなか答えにくいということになると県民も戸惑っちゃいますというようなやりとりがありましたけど,確かに私もそう感じるところでして,先ほどの知事のご回答だと,稼ぐ力を引き上げていくという方向については定まっているわけなのでというような回答でしたけど,やはり腑に落ちないのは,現状この4,5年で稼ぐ力が引き上がってきたのかどうかっていうのも,取材している側からすると今ひとつピンとこないところもありまして。従って何を申し上げたいかというと,いろいろな事業をうってくる中で,それぞれの政策の効果検証,その当たりも測りにくいのではないかなと,ちゃんと測れているのかなと思うんですけどその当たりはいかがでしょうか。

【知事】
総合的な指標というのはなかなか難しいというか,個別の事業についてはKPIもありますので,そういったところを一つ一つ点検しながら検証していくということになると思います。

【記者】
ではその個別事業のKPI,各担当課で意識している数値はなんらかあるということでよろしいでしょうか。

【知事】
はい。財政課とかでも見てる。

【記者】
それを照らしていくと,成果が上がっている部分もあると。

【知事】
成果が上がっているところはあります。先ほど申し上げました農業産出額であったり輸出額であったりあるいは経営体当たりの収入とか,あるいはIot投資等があれば,これは定期的に取っているわけではありませんけど,実際に事業を活用した方々がどれくらい生産性が上がったかとかですね,そういったものはあります。

【記者】
もろもろの検討委員会を開いたことによる成果というものをどの程度あると理解されているでしょうか。

【知事】
いろいろなことについて,それぞれ利害関係者あるいは有識者といった方に議論していただいて,一定の方向性というのをいただき,それをしっかりと政策に反映していくということが必要だと思っておりますので,これまでも検討会や委員会でアウトプットをいただいて,それを政策に反映しているところだと思っております。

【記者】
具体的にこれに反映したみたいなものがあれば教えてください。

【知事】
スポーツコンベンションセンターでも検討委員会を作ってまとめていただいたりですとか,景観のガイドライン作成もそうですし,あと特別支援学校についての地域の皆さんのご意見,こういったものを生かしながら進めておりますので,他にもいろいろありますけどもそういった形で進めております。

【記者】
予算規模に見合った成果は出ているという認識でよろしいでしょうか。

【知事】
い。基本的に検討するときの予算というのか会議費とかそういうのでありますから,しっかりと検討していただいて政策に反映できていると考えております。

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?

スマートフォン版