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更新日:2024年8月13日
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項目 | 影響 | 適応策 |
水稲 | 高温によると考えられる白未熟粒の発生や出穂の早進化などが確認されており,将来,登熟期間の高温条件で背白米,基白米などの発生により一等米比率の低下が予想。 | 高温耐性をもった品種の育成や夏期の高温対策技術を開発・普及。 |
果樹 | かんきつ類で高温・強日射による果実の日焼け,着色遅延等,特に,うんしゅうみかんやぽんかんは,果実肥大期の高温・多湿による浮皮の発生,ぶどうでは着色不良等,なしでは冬期の高温による発芽不良の発生が見られる。 また,うんしゅうみかんについては,2060年代には本県を含む主力産地の多くが現在よりも栽培しにくい気候になると予測。 |
高温耐性を有する品種・品目の選定,生理障害,着果安定等の高温対策技術や,温暖化に対応した果樹の簡易な保温技術による低コスト栽培技術や新たな作型を開発・普及。 |
茶 | 春先の気温の上昇により,一番茶の萌芽や摘採時期が早まっており,一部で晩霜害の発生が見られる。 将来,温暖化が進むと,冬芽の休眠が不十分となり,一番茶芽の不揃い等により,減収や品質低下が懸念。 |
耐凍温度に応じた低コスト防霜技術や,温暖化に対応した整枝・せん枝技術を開発・普及。 |
野菜等 | 野菜で高温による発芽不良や生理障害等の発生などが見られる。 将来,収穫の前進・集中化,抽苔率の増加,日焼け,着果不良,徒長等が懸念される。一方で,冬期の温暖化による新たな作型の開発,簡易な被覆や暖房コストの削減による低コスト化等が期待される。 また,花きで夏秋期の高温による開花遅延等が見られており,更なる気候変動が花きの計画的な出荷を困難にする可能性がある。 |
野菜・花き等の高温耐性を有する品種の育成や導入及び夏期の高温対策技術を開発・普及。 一方で,温暖化に対応した野菜の簡易な保温技術による低コスト栽培技術や新たな作型を開発・普及。 |
畜産 | 乳用牛の乳量・乳成分・繁殖成績の低下や,肉用牛,豚及び肉用鶏の増体率の低下,採卵鶏の産卵率や卵重の低下等が報告。 将来,温暖化の進行に伴って肥育去勢豚や肉用鶏の成長への影響が大きくなるとともに,増体率が低下する地域が拡大し,その低下の程度も大きくなることが予測。 |
大家畜(牛)については,畜舎内の暑熱対策として大型ファンや細霧装置の導入及び一体的な施設整備の支援。 中小家畜(豚,鶏)については,畜舎内の温度等を制御する換気システムの導入やICT,IоT技術を活用した畜舎環境の自動制御機器の導入及び一体的な施設整備の支援。 また,適切な畜舎環境の確保及び適切な飼養管理技術の指導・徹底等を図る。 |
病害虫等 | 病害虫については,近年,地球温暖化に伴う分布地域の北上で,これまで奄美・沖縄での発生が確認されていたものが,県本土,さらには九州,四国,本州へと拡がりつつある。 将来,分布圏の北への拡大や越冬生存率の上昇,春の出現時期の早期化,年間世代数の増加等が考えられる。また,イネ紋枯病の生育初期からの発生や,ミカンコミバエの中国大陸からの飛来による国内への侵入リスクの拡大も予想。 |
温暖化により多発等が懸念される病害虫等については,発生予察の充実と予察情報の提供による適期適確な防除の促進を図る。特に,温暖化で侵入リスクが高まっているミカンコミバエ等の特殊病害虫については,継続して侵入警戒対策に取り組むとともに,侵入時には国等と連携して,迅速な防除対策を実施。 |
農業生産基盤 | 近年,異常な降雨等による農地や農業用施設の甚大な被害。 将来の降水量・降雨強度の増大により,シラスなどの特殊土壌地帯を中心とした農地土壌の侵食量の増大や地すべりなどの農地斜面災害の頻発,ため池決壊の危険性の増大が予想。 |
農用地において,排水路網の整備を実施し,侵食・崩壊などの災害を未然に防止。 |
具体例
春施肥への変更によるニホンナシの発芽不良発生軽減効果(PDF:78KB)
→関係機関:鹿児島県農業開発総合センター
ミカンコミバエの調査結果について
→関係機関:経営技術課
項目 | 影響 | 適応策 |
特用林産物(きのこ類等) | 気温の上昇が進むと,しいたけの原木栽培において高温障害や病虫害の発生の危険性が高まることが予想。 | 病原菌や収穫量など温暖化の影響に関して,生産者等からの聞き取りによる情報収集を行うとともに,温暖化に対応した原木しいたけの栽培技術や病害虫防除技術の研究・普及。 |
項目 | 影響 | 適応策 |
増養殖業 | 本土海域において,南方系の海藻が多く見られるようになったことや,赤潮の長期化について報告。 将来的には,高水温化により赤潮発生の頻度が増加する可能性が指摘。 |
海水温や赤潮情報の定期的なモニタリング等を通じ,漁業者等への迅速かつ正確な情報提供に努めるとともに,養殖生け簀の避難や餌止め等の指導を行い,漁業被害の防止と軽減に努める。また,藻場の状況について,情報を収集し,実態を把握するとともに,環境の変化に対応した対策を検討。 |
具体例
鹿児島湾及び奄美海域における水温変動について(PDF:82KB)
→関係機関:鹿児島県水産技術開発センター
最新の情報は上記センターHPの「漁海況情報」ー「漁海況長期予報」ー「海況」で公表されています。
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