(Q&A)不当労働行為の審査
(1)救済申立て|(2)審査手続き|(3)和解,取下げ|(4)命令,再審査等
Q不当労働行為救済の申立ては,どのようにすればよいですか?
A不当労働行為救済申立書を労働委員会事務局に提出してください。また,労働組合が申立てを行う場合は,併せて労働組合資格審査申請書を提出してください。
Q不当労働行為救済申立書は,どこで入手できますか?また,申立書の提出部数は何部ですか?
A当労働委員会事務局に用意してあります。また,労働委員会ホームページからもダウンロードできます。申立書(A4版)の提出部数は1部です。
Q不当労働行為救済申立てをすることができるのは,労働組合だけですか?使用者側から申立てることはできませんか?
Aあっせん,調停,仲裁と異なり,不当労働行為の救済申立てができるのは,不当労働行為を受けた個々の労働者と労働組合(上部団体を含む。)です。労働組合法上,不当労働行為は使用者が行う行為に限られているからです(同法第7条,第27条)。
なお,団体交渉拒否(労働組合法第7条第2号)に関しては,その性質上,申立てできるのは労働組合だけです。
Q不当労働行為の救済申立てを行う場合,弁護士をつける必要がありますか?
A必ずしも弁護士をつける必要はありませんが,代理人として弁護士をつけることが多いようです。
Q不当労働行為救済申立関係の手続は,代理人に依頼しようと思っています。代理人は弁護士でなければなりませんか?
A代理人は弁護士以外の人でもかまいませんが,弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱等の禁止)に留意してください。ただし,代理人による申立てはできないことにご留意ください。
Q不当労働行為救済の申立てをするためには,まず労働委員会のあっせんや調停を受けなければならないのでしょうか?
A必ずしもあっせんや調停を受ける必要はありません。ただし,あっせんや調停の方が不当労働行為審査手続よりも簡易・迅速に進められますので,不当労働行為救済の申立てを行う前に,あっせんや調停の申請をされるようお勧めします。
なお,あっせん,調停及び仲裁については,当労働委員会事務局にお尋ねください。
Q裁判所で係属中ですが,不当労働行為の救済申立てを労働委員会に出すことができますか?
A不当労働行為の救済申立ては,労働者個人や労働組合の私法上の具体的な権利義務に関する争いを解決するための裁判手続とは異なり,集団的な労使紛争について,できるだけ不当労働行為がなかったのと同じ状態を実現するための救済命令を労働委員会に求めるものです。両者は,全く別の手続ですので,裁判手続中でも,不当労働行為救済申立てを行うことができます。
Q解雇されて1年が過ぎてしまいました。不当労働行為救済申立てはできますか?
A労働組合法では,不当労働行為の日から1年を経過したときは基本的に申立てができないこととされています(同法第27条第2項)。
このため,ご質問のように1年が過ぎてしまうと解雇が不当労働行為であるとの申立てはできません。
なお,継続する行為にあっては,その終了した日から1年以内であれば救済申立てをすることができます。
Q不当労働行為の審査手続は,どのように行われるのですか?
A申立て受理後は,(1)調査,(2)審問,(3)合議及び命令の順で手続を進め,最終的に命令書の写しを両当事者に交付します。それぞれの手続については,次のとおりです。和解や申立ての取下げにより解決する事件もあります。
(1)調査
調査は,労働委員会において,当事者の主張,証拠(書証及び証人)等の整理を行い,審査計画を作成します。
(2)審問
審問は,労働委員会において公開で行われ,両当事者が,それぞれの主張について陳述したり,証人調べ等を行う手続です。
(3)合議及び命令
審問が終結すると,公益委員会議で合議し,申立人の請求する救済の全部又は一部を認容し,又は申立てを棄却するかどうかを判定し,命令書の写しを両当事者に交付します。
Q不当労働行為の審査をするのは,どのような人たちですか?
A当労働委員会の公益委員です。大学教授や弁護士などの労働法や労働問題に詳しい人たちが中立・公正な立場から審査します。
なお,労働者側,使用者側の参与委員も調査・審問に出席します。
Q不当労働行為の審査手続は,公開されているのですか?
A調査は傍聴を認めていませんが,審問は公開されていますので傍聴することができます。
Q使用者ですが,労働委員会から「不当労働行為事件調査開始通知書」が郵送されてきました。
Q-1不当労働行為をしたとは思っていませんが,どのようにしてその旨主張できますか?
A-1開始通知書には申立人による不当労働行為を訴える申立書が添付され,被申立人は,答弁書を提出することになっています。その答弁書で不当労働行為がない旨を主張してください。
Q-2調査審問期日に出席しなかった場合は,労働組合の主張をそのまま認めたものとみなされるのでしょうか?
A-2調査期日,審問期日については,双方の都合のよい日が取れるように日程調整を行いますので,ご協力をお願いします。調査期日,審問期日に出席しない場合は,被申立人が十分な主張・立証をしないことになりますので,事実上申立人の主張に沿った事実が認定されることはあり得ます。期日は,主張・立証を行う大切な機会ですので,必ず出席されるようお願いします。
Q不当労働行為救済申立てがなされた後,労働委員会で解決するまでどのくらいの期間がかかりますか?
A事案によりますので一概には言えませんが,当労働委員会では,不当労働行為事件の命令書交付までの目標期間を1年としています。
Q不当労働行為救済申立てを行った場合,後日,申立人の都合で申立てを取り下げることはできますか?
A申立人は命令書が交付されるまでの間,いつでも申立ての全部又は一部を取り下げることができます。
Q申立ての後,話合いが成立し,解決できたときはどうなるのでしょうか?
A当事者による自主和解又は労働委員会の場で和解が成立した場合には,原則として取下書を提出していただくことによって,終了することとなります。
Q和解はどのように行われますか?
A当事者が円満に解決したい意向を示した場合には,調査期日に和解に向けた話し合いを行っています。労働委員会から和解を勧めることもあります。
Q不当労働行為の命令にはどのようなものがありますか?
A審査の結果,不当労働行為の事実が明らかになれば,労働委員会は「救済命令」を出します。救済命令には,申立人の救済申立て事項の全部を認める「全部救済」と,申立て事項の一部を認める「一部救済」があります。
反対に,不当労働行為と認められないときは,「棄却命令」を出します。
Q労働委員会命令に不服がある場合は,どうすればよいのですか?
A命令の効力は,命令書の写しの交付の日から生じます。命令に不服がある場合は,申立人,被申立人ともに一定の期間内に中央労働委員会に再審査の申立てを行うことや,地方裁判所に救済命令等の取消しの訴えを提起することができます。
Q中央労働委員会と裁判所のどちらに不服を申立ててもかまいませんか?
A中央労働委員会への再審査申立て,裁判所(地方裁判所)への取消訴訟の提起のどちらを選んでもかまいません。この場合,労働組合又は労働者は,双方を並行して行うことも可能ですが,使用者はどちらか一方しか選べません。
なお,再審査申立期間,出訴期間は次のとおりですのでご注意ください。
- 再審査申立期間:救済命令等の交付を受けたときから,原則として15日以内
- 出訴期間:使用者の場合,救済命令等の交付の日から30日以内,労働組合又は労働者の場合,救済命令等交付の日から6月以内
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