取り組み例 (断熱・気密性能の高い建具、開口部の採用)
建具の断熱・気密性能の向上には、サッシの大部分を占めるガラスの断熱性能が大きな影響を及ぼします。ガラス部材の厚さは、他の壁部材と比較すると非常に薄いため、断熱性を確保するにはガラスの複層化が必須となります。(図4-5)
複層ガラスにすることで、単層ガラスの約2倍の断熱性を確保できます。また、ガラスに特殊な加工を施した低放射ガラス(Low-Eガラス)を使用すれば、更に性能が向上します。
複層ガラスの室内側にLow-Eガラスを使用すると太陽熱を積極的に取り入れながら、室内の暖房熱をより反射する機能を持つので、暖房効率が向上します。どちらかというと寒冷地に適しています。
一方、室外側にLow-Eガラスを使用すると、日射熱の約半分を反射するので夏の冷房効率が向上します。冬は暖房により暖まった室内の熱を外に逃さない効果もありますので、鹿児島県では室外側に使用した方が四季を通して効果的と言えます。
図4-5板硝子の熱貫流率と日射熱取得率
出典:板硝子協会資料
ガラスの断熱性能と遮熱性能をそれぞれ熱貫流率と日射熱取得率で表わすと、それぞれのガラスの性能を比較できます。数値が低いほど効果が高いことを示します。冬期の暖房負荷低減には、断熱性能が重要になり、遮熱複層ガラスが効果的であることがわかります。
図4-6ガラスの種類と断熱性能
彰国社「自然エネルギー利用のためのパッシブ建築設計手法事典新訂版」より作成
高性能ガラスを支える新世代サッシ
窓全体の約15%を占める窓枠についても、ガラスと同様に、断熱性や気密性に対する配慮が不可欠です。高性能ガラスはサッシと一体となって初めて高い省エネルギー効果を発揮します。
最近は高断熱性を実現したアルミと樹脂の複合構造をもったサッシも現れています。図4-7は室内側には熱を伝えにくい樹脂形材、室外側には耐候性と強度の高いアルミ形材を採用した樹脂複合構造サッシです。
図4-7新世代サッシの断面図
断熱性能[熱貫流率]
3.49[3.0]W/(平方メートル・K)[kcal/(平方メートル・h・℃)]
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