取り組み例 (適切な断熱工法の採用)
木造の断熱方式には、充填断熱(内断熱)と外貼り断熱(外断熱)の大きく2つの断熱工法があります。従来は充填断熱が主流でしたが、断熱工事の施工性の良さや、ヒートブリッジによる熱損失が少ないことから、今後、外貼り断熱の採用も増えることが予想されます。
また、断熱素材も無機繊維系、木質繊維系、発泡プラスチック系に分類され、それらに対応する施工法も様々です(表4-2)。求める性能に応じた適切な工法と素材の組合せを選択することが大切です。
材質 |
材料名・工法 |
充填 |
外張り |
打込み |
吹込み |
吹付け |
現場発泡 |
繊維系 |
無機繊維系 |
グラスウール |
〇 |
〇 |
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〇 |
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ロックウール |
〇 |
〇 |
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〇 |
〇 |
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木質繊維系 |
セルローズファイバ |
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〇 |
〇 |
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インシュレーションボード |
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〇 |
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発泡プラスチック系 |
ビーズ状ポリスチレンフォーム |
〇 |
〇 |
〇 |
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押出し法ポリスチレンフォーム |
〇 |
〇 |
〇 |
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硬質ウレタンフォーム |
〇 |
〇 |
〇 |
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〇 |
ポリエチレンフォーム |
〇 |
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フェノールフォーム |
〇 |
〇 |
〇 |
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表4-2
断熱材と施工法の分類「建築技術1998年11月号」より作成
□断熱工法種類との留意点
・従来型の充填断熱工法
構造空隙に断熱材を充填する在来の充填断熱工法は、住宅デザインへの制約も少なく比較的安価に施工可能です。ただし、確実な断熱性を確保し、また鹿児島県のように夏期に温暖な地域で発生の恐れのある冷房に伴う壁体内の内部結露現象に対応するため、通気止めの設置、防湿気密層の連続性の確保、外壁の通気層の確保等、工法の特性に応じた正確な施工が必要です。
・外張り断熱工法
ボード状断熱材、フェルト状断熱材を建物の外側から張り付ける外張り断熱工法は、簡単な建物形状の場合、従来の充填断熱工法に比べ断熱工事の省力化が図れます。また、外壁と屋根の取り合い部や断熱材継目の気密化に留意すれば、高い断熱性能が期待できます。
ただし躯体が熱を持つと冷えにくい傾向があるので、鹿児島県の場合は夏期に強い日射を室内に取り込まないようすることや、夜間に十分な通風を確保し躯体を冷やすようにすること等に配慮します。
・充填+外張り断熱工法
2つの工法を組み合わせることも考えられます。例えば、外壁を外張り断熱工法とし、天井断熱を従来の充填断熱工法とすることで、屋根外貼り断熱の工法上の難しさを克服し、高い断熱性能と壁体内の結露を防止することがでます。
このように、各断熱工法をひとつで統一するのではなく、「01)建物の形状や遮熱の工夫による躯体蓄熱の回避」で紹介した「屋根面の断熱性能の向上」の項目との組合せも考慮し、断熱工法を各部位に応じて選択する方法も有効な手段です。
図4-4断熱工法の種類「建築技術2001年2月号」より作成
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