損失の補償
1 損失の補償
土地収用法は,公共の利益となる事業に必要とされる土地について,公共の利益増進と私有財産との調整を図ることによって国土の適正かつ合理的な利用に寄与することを目的としています。これを実現するために収用される財産に対する損失補償を決定することは,収用委員会の最も重要な任務です。
損失の補償とは,ひとことでいえば公共の利益となる事業により被収用者が負わされることになる財産上の損失を,社会の全員から徴収した税金で補償することにより,公的負担の平等の回復を図ることです。収用又は使用の裁決では,土地収用法の補償に関する規定に基づき,補償金額が決まります。
2 損失の補償の種類
損失の補償のうち主なものは,「土地等に関する補償」,「残地補償」,「移転料の補償」,「通常受ける損失の補償」です
権利取得裁決では,「土地等に関する補償」,「残地補償」を,明渡裁決では「移転料の補償」,「通常受ける損失の補償」を決定します。
土地等に関する補償
一般的にいう土地代のほか,地上権,賃借権等,土地に関する権利に対する補償も含みます。
この補償金の額は,近傍類地の取引価格等を考慮して決定され,事業認定の告示の時の相当な価格に,権利取得裁決の時までの物価の変動に応じた修正率を掛けて算定されます。
残地補償
同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し,又は使用することによって,残地の価格が減じる等,残地に関して損失が生じるときは,その損失が補償されます。
移転料の補償
収用される土地に建物,工作物,立木などの物件があるときには,これを移転するために要する費用(移転料)が補償されます。
通常受ける損失の補償
営業上の損失の補償,借家人補償など,土地を収用されることにより通常生じる損失が補償されます。
3 損失の補償の方法
損失の補償は,原則として金銭で補償することになっています。例外として替地による補償,移転の代行による補償などが認められる場合もあります。
また,収用委員会は,損失補償について起業者,土地所有者及び関係人が申し立てた範囲で裁決しなければなりません。
例えば土地所有者及び関係人の主張する補償額が起業者の見積額より大きい場合,起業者の見積りを下限とし,土地所有者及び関係人の主張する補償額を上限として裁決します。 これを当事者主義といいます。
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