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更新日:2022年6月1日

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西ジャワ州(インドネシア)

I.自治体の概要

  1. 人口
     
    41,031,400人(1998年現在)
  2. 面積
     
    43,240平方km
  3. 気候
    • 温暖
    • 平均気温:18-31℃
    • 年間降水量:2,000mm
  4. 言語
     
    インドネシア語
  5. 県都とその人口
     
    バンドン市
    3,000,000人(1998年現在)
  6. 主要産業又は主要産物
     
    農業、製造業、繊維業、電子工業
  7. 地域の特色
    • 西ジャワ州はジャワ島の西部に位置している。行政上、北はジャワ海とジャカルタ、西はスンダ海溝とインド洋、南はインド洋、東は中央ジャワ州に接している。西ジャワ州の面積は43,240,090平方kmで、本土(ジャワ島の西部)、インド洋に位置する48の小さな島々、ジャワ海に位置する4島、バンテン岬にある14島、その他スンダ海溝の島々からなる。西ジャワ州は26の郡及び529の地区からなる。
    • 土地が肥沃な西ジャワ州は、国内の米需要の約20%を供給している。工業についても、製造業、繊維業、電子工業を中心として、急速に発展してきている。2000年には、西ジャワ州において工業セクターが経済構造の大半、約70%を占めると予測されている。それに伴い、工業用として使用される土地が増加することになるだろう。
    • それにより、特に農業、プランテーション、林業に使用されている土地について、その利用用途が変化するものと見られる。一方、土地、特に森林は、水を循環させる機能を持っている。こうしたことをふまえ、西ジャワ州では常に域内の状態の特徴を考慮して、開発政策の決定にあたっている。
    • 西ジャワ州には面積の約23%を占める森林があり、その一部は野生生物保護区及び国立公園に指定されている。世界遺産委員会は、1991年にそのうち2つを世界自然遺産地域として認定した。チボダス国立公園とウジュン・クロン国立公園である。ウジュン・クロン国立公園はこの地域特有の生物多様性で知られており、絶滅の危機に瀕したジャワサイ(Rhinosundaicus)が生息している。

II.世界自然遺産地域の概要

  1. 世界自然遺産地域の名称
     
    ウジュン・クロン国立公園
  2. 世界遺産一覧表に登録された年
     
    1991年
  3. 世界自然遺産地域の面積
     
    1,206平方km
  4. 世界自然遺産地域の土地所有者
     
    インドネシア
  5. 世界自然遺産地域について
    • i.概要
    • ウジュン・クロン国立公園は西ジャワ州の西端部となる半島と、隣接するホンジェ山麓、ハンデウレウム、ペウカン、クラカタウ、パナイタンの各島、及びホンジェ山北部・南部からなっている。公園の総面積は1,206平方kmで、このうち762平方kmが陸部、443平方kmが海域である。
    • ウジュン・クロン半島は三角形の地形で、中央部は標高50mのなだらかな丘陵である。テランカ台地は標高100~140mで、河川地域から標高50mの西チブナル(Cibunar)地域へと続いている。パユン山は標高480m、グハ・ベンダン山が最も高く標高550mである。ウジュン・クロンの南部沿岸には砂丘が広がり、西部沿岸にはいくつかのサンゴ礁が見られる。ハンデウレウム島は、タマン・ジャヤ湾の西部に位置するサンゴ礁の群島の中で、最大の島である。
    • クラカタウは世界的によく知られた火山である。1883年に広島の原爆2000個分に相当する強さで噴火した。(その大爆音は遠くスリランカ、フィリピン、オーストラリアでも聞かれた。灰や軽石が上空80キロまで噴射され、その量があまりに大量だったため日中でも空が暗くなり、ジャカルタやバンドンではランプを使わざるを得なくなった。噴火の影響で発生した大津波はアラスカと南アフリカでも検知され、36,000人が命を落とした。)クラカタウは、原始時代の火山島がかつての噴火で分割され、そのうち残った4つの群島に付けられた名前である。群島は時間の経過と共に形を変え、最新の島であるアナク・クラカタウは1930年に海面から姿を現した。アナク・クラカタウは当初標高8mであったが、その後67m(1933年)、132m(1941年)と標高が増し、1968年には170mになった。1977年になると155mに低下し、1981年には152mまで下がった。
    • 年間降水量は3,140mmである。雨季は10月から4月で、北西のモンスーンが吹く。月間降水量は約200mmで、12月から1月にかけては400mmを超える。乾季は5月から9月で、通常、降水量は100mを超す程度である。風向きは、9月から4月にかけては北西から、5月から8月にかけては東からである。
    • ウジュン・クロン国立公園にはマングローブ林、海岸地帯の森林、さまざまな種類の低地の森林がある。平地の森林は大半が成熟した二次林で、この公園内にのみ生息する生物種も豊富である。草地もあり、バンテンやシカの放牧が行われている。
    • チハデウレウム川沿いには季節的に淡水になる沼地森林があり、アングスティフォーリア(Angustifolia)、シペルス類(Cyperussspp.)、アレディシエウミリス(Ardisiehummilis)といった種類が占めている。ウジュン・クロン、パナイトン島、ペウカン島、ホンジェの大半を占めているのは雨林である。また、低地にも雨林があり、主にプレナリュウムコーリンバスム(Prinariumcorymbasum)、エウジナ類(Euginaspp.)、リレアイアンセオラタ(Rhireaianceolata)、イドモカルプスエレロフィラ(Hydmocarpushererophyla)が見られる。
    • クラカタウについて生態的に興味深いのは、この地域が1883年の噴火により完全に不毛地帯となったため、新たな土地に生物がいかに進入し定着するか研究することが可能な点である。この島の動植物はすべて、海をわたって、あるいは空中からやって来た。現在の生物種は1886年に初めて調査され、それ以来、変化を研究するため継続的に調査隊が訪れている。1950年ごろからは多くの調査隊により、およそ200種類の植物種が確認されているが、新たな種の発生や他の種の絶滅により、実際に生息している種は常に同じというわけではない。発見された植物は広大な地に特徴的な雑草のようなものが多く、樹木としてはまだ1種類しか発見されていない。森林が再生するまでには千年から数千年を要するであろう。
    • ウジュン・クロンは、有名なジャワサイ(Rhinocerossundaicus)が生息する国立公園として、インドネシアでとてもよく知られている。ジャワサイは、最近まで、ウジュン・クロンにしか生き残っていないと考えられていた。現在では、ベトナムにも若干数いることが知られている。人目につきにくいジャワサイ以外にも、バンテンの群れ、クジャク、シカ、レオパード、野犬、ジャワ手長猿、霊長類、カメが巣を作るすばらしい砂丘など、この公園には見所が多い。これらの動物は、ジャワの低地の雨林本来の動物相を示す最後の例となっている。

      ii.世界遺産登録理由
    • ウジュン・クロン国立公園は、以下のような特徴的な生態系を有している。
      ア)海洋生態系、沿岸生態系、低地生態系というすべての生態系を有している。
      イ)ジャワサイのような固有種または絶滅危惧種を含む多様な動植物が生息している。
      ウ)クラカタウ島では、生物の遷移過程を観察することができる。1883年のクラカタウ山の噴火により生態系が破壊されたのが始まりで、その後アナク・クラカタウという新たな山が出現した。

III.世界自然遺産への関わり

  1. 世界自然遺産の管理について
    • i.管理の法的根拠
    • 1937年6月24日のヒンディア・ベランダ命令(HindiaBelandaDecree)(1937年第17号)により、ウジュン・クロン、パナイタン島、ペウカン島、ハンデウレウム島は野生生物保護区に指定され、ボゴール植物園の園長の管理下に置かれることとなった。その後、1979年の農業相命令(39/Kpts/Um/7/1979)により、ホンジェ山の北部地域9,498.9平方kmが野生生物保護区に指定され、1980年には国立公園に指定された。1991年にチュニジアでユネスコの世界遺産会議が開かれ、ウジュン・クロン国立公園が世界自然遺産地域として認定された。これを受けて、インドネシア政府は、森林相を通じて1992年11月12日の大臣命令(1049/Kpts-11/92)でウジュン・クロン国立公園を制定した。

      ii.管理体制(管理者)
    • ウジュン・クロン国立公園はインドネシア国家に属し、管理は森林相直属のインドネシア森林自然保護協会の技術組織部が行っている。森林自然保護協会は、州政府、地区政府、非政府組織、海外団体と緊密に協力して、ウジュン・クロン国立公園の保全を促進する活動プログラムを実施している。

      iii.管理の方策
    • 管理の基盤は、世界自然遺産としての価値を損なわないように厳密に管理を行うことである。特に、絶滅の危機にあるジャワ・サイの保護・保全が考慮されている。
    • 管理手順を定めるうえで、ウジュン・クロン国立公園の以下の問題点への対応が必要である。
      ア)ウジュン・クロン国立公園を管理する組織は、地方自治体の自治権に関する規制に関わっている。
      イ)近隣地域社会の福祉レベルが低い。
      ウ)ウジュン・クロン国立公園の保全に対し、地域の関心・理解がいまだに不十分である。
      エ)ウジュン・クロン国立公園の潜在的な自然資源は、同公園の管理運営のための情報として、調査・文書化が行われていない。
      オ)これまで、ウジュン・クロン国立公園の境界海域が権限のある機関により決定されておらず、そのため国立公園内での妨害行為が適切に監視されていない。
      カ)地方自治体との協力プログラムの調整や統合がまだ確立されていない。

      ウジュン・クロン国立公園地域内の管理
    • 問題を解決する為に必要とされる活動プログラムは以下のとおりである。
      ア)土地や海域の境界線の策定、密猟の危機からの生物保護、地域社会に対する啓蒙や情報伝達の促進等の活動を通したウジュン・クロン国立公園地域の安全性の維持・強化。
      イ)ウジュン・クロン国立公園、社会経済的な地域社会、同国立公園に対するサービス需要に関するデータ収集を行い、データベースの構築。
      ウ)候補地域の調査、再評価、区域の決定や設定等の区画。
      エ)潜在的な需要及び市場の需要の分析を行い、ウジュン・クロン国立公園設立の理由・目的を明確化。
      オ)教育、調査、観光、植物栽培の場としてのウジュン・クロン国立公園地域の活用。
      カ)継続的な監視と活動の評価。

      ウジュン・クロン国立公園地域外の管理
    • ウジュン・クロン国立公園外での活動プログラムは以下のとおりであり、周辺地域の福祉を改善することを目的としている。
      ア)緩衝地帯の決定及び設立計画の作成。
      イ)農業、林業、畜産業、漁業などの農業関連活動や、農産物加工、家内工業、貿易、エコツーリズムなどの非農業関連活動などの活動の推進。
      ウ)継続的な監視と活動の評価。

  2. 自治体の世界自然遺産地域への関わり
    • i.自治体による遺産地域の管理
    • 関連法律の執行責任を持つ行政組織(森林相下の機関である森林自然保護協会)が地方自治体(州政府及び地区政府)と協力して行う。

      ii.遺産地域を活用した地域振興策
    • ウジュン・クロン国立公園を保護、保全、利益保護の観点から機能するよう管理するためには、社会の支援、特に近隣地域社会の支援が必要である。そのため、実行中のプログラムには、地域の関心を高めるための研修の実施や情報提供、地域の実情に応じた住民参加型経済活動などといった近隣地域の発展を図ることを目的とした計画も含まれている。

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