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更新日:2020年11月16日

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研究報告(平成30年度)

焼酎醸造適性に優れる高アミロース水稲新品種‘たからまさり’の育成とその特性

田之頭拓・若松謙一・園田純也・田中明男・山根一城・古江広治

要約

稲新品種‘たからまさり’は,鹿児島県農業開発総合センターにおいて,普通期栽培用の高アミロース,多収,脱粒性難,短粒を目標に,脱粒性難で短粒の多収系統06S33を母,高アミロース品種‘ホシユタカ’を父として,2006年に交配を行った組合せから選抜し,普通期栽培用晩生の高アミロース多収品種として育成した.2017年11月に鹿児島県の水稲適品種に採用され,2018年3月に品種登録を申請した.‘たからまさり’は,‘ヒノヒカリ’と比較して出穂期で18日,成熟期で21日遅い「晩生の晩(普通期栽培の晩生)」に属する.稈長は‘ヒノヒカリ’と同程度で,穂数は‘ヒノヒカリ’より少なく,草型は「穂重型」である.倒伏抵抗性は‘ヒノヒカリ’より強い「強」である.脱粒性は‘ホシユタカ’の「中」に比べて脱粒しにくい「難」である.玄米の形状は「長円形」の短粒種で,粒大は「やや大」,収量性は‘ヒノヒカリ’や‘ホシユタカ’より高い多収品種である.‘たからまさり’は‘ヒノヒカリ’に比べて極めて高いアミロース含有率を有し,粘りが少ないため,焼酎麹原料に求められるサバケが良く,焼酎醸造に適する.

全文(4,337KB)

根深ネギの10~11月どり栽培技術~適する品種・播種期と2段階育苗技術~

加治俊幸・上之園健一・池澤和広

要約

深ネギの周年生産のために,生産が最も不安定な10~11月に収穫する作型の平床栽培を前提とした栽培法において,その作型に適する品種の選定と栽培技術について検討した.梅雨,夏季高温期を経過する本作型に適する品種として‘夏の宝山’,‘吉宗’を選定した.10~11月に規格品収量を得るためには葉鞘長10cm以上の大苗を梅雨前に定植することが必須で,そのための播種期の目安は2月中旬~下旬である.さらに,大苗を効率的に得られるセルトレイ育苗-地床移植による2段階育苗法を開発した.

全文(1,809KB)

イチゴ新品種‘鹿児島6号’の育成

田中義弘・藤崎成博・竹牟禮穣・橋口健一郎・福元伸一・古江広治

要約

‘鹿児島6号’は食味が良く早生で多収の促成栽培用品種として2017年に育成を完了し,2018年1月に品種登録を出願した.本品種の種子親は三重県育成の‘かおり野’,花粉親は静岡県育成の‘紅ほっぺ’である.その特性は次のとおりである.開花は‘さがほのか’と同等で早期収量および総収量は同等以上である.果形は円錐形で果皮色は‘さがほのか’に比べて色むらが少ない.果実糖度は11.0~12.1%と高く,酸度は1.0~1.1%と良食味である.

全文(06KB)

生産現場で実施可能な畑土壌可給態窒素の簡易評価法と施肥診断システムの開発

上薗一郎

要約

作物生産を維持・増進しつつ,環境保全と施肥コストの低減を進めるためには,農業生産現場において,土壌診断に基づく施肥の適正化を推進する必要がある.しかし,土壌診断のなかで可給態窒素は,作物の生育に大きな影響を及ぼす重要な項目であるにもかかわらず,その測定には少なくとも4週間の土壌培養が必要であるため,可給態窒素を分析している土壌分析機関は稀である.こうした背景のもとで,これまでに可給態窒素を簡易に評価するための化学的抽出法が数多く提案されてきたが,黒ボク土や有機物施用土壌への適用性が悪いことなどにより,広範な地域で活用されているものはない.一方,生産現場では,土壌診断結果を施肥設計に反映させるために,分析手法のさらなる迅速・簡便化が求められている.そこで,広範な土壌に適用可能で,生産現場で迅速に実施できる畑土壌可給態窒素の簡易評価法を開発した.開発した可給態窒素簡易評価法は,80℃16時間水抽出とCOD簡易測定を組み合わせたもので,その特徴は,(1)難しい化学分析操作が不要,(2)家庭で調達可能な物品のみで実施可能,(3)毒・劇物薬品を使用せず廃液処理が不要,(4)生土試料でも風乾土試料と同等の可給態窒素乾土換算値が得られるので,採土した翌日には判定可能,(5)黒ボク土を含む多様な畑土壌や堆肥連用土にも適用可能,(6)本法の抽出液を使用して土壌の硝酸態窒素も測定可能など多くの利点があり,迅速性,汎用性に優れている.可給態窒素簡易評価法の普及推進を図るため,操作手順のマニュアルを作成した.また,県や土壌診断機関に配備される土壌分析機器の測定項目として組み込まれるとともに,JA土壌分析センターにおいてルーチン分析項目に採用された.今後,可給態窒素を窒素肥沃度,土づくりの指標として活用するだけでなく,窒素施肥の加減に活用する取組みを加速することで,農家の肥料コスト削減,作物の高品質,安定生産はもちろん,環境保全にも貢献できると考える.

全文(1,884KB)

鹿児島県におけるギニアグラス品種‘うーまく’の栽培適性評価

下副田充志・橋口雄介・松野愛子・町田豊

要約

たに育種開発された暖地型牧草の本県における栽培適性を評価するため,既存の暖地型牧草品種との品種比較試験を3年間行った.その結果,ギニアグラス‘うーまく’は既存の暖地型牧草と比較して,乾物収量が高い傾向にあり,飼料成分はNDF含量が低く,TDN含量は高い傾向がみられた.また,実規模栽培試験を実施したところ,CP含量が16.1%,TDN含量が58.0%であり,ロールベールサイレージ調製時の発酵品質も良好であったことから,本県に適した暖地型牧草品種として有望であると考えられた.

全文(782KB)

 

抗酸化物質アントシアニン高含量の紫サツマイモ・紫トウモロコシ給与による黒毛和種での発育および酸化ストレス軽減効果の検証

森脇潤・靍田洋一・西博巳・坂下邦仁・磯部知弘

要約

率的な肉牛生産に向け,哺乳期から肥育期のストレス軽減対策として,県内で栽培可能な抗酸化物質アントシアニンを多く含む紫サツマイモおよび紫トウモロコシを哺乳・育成期並びに肥育期に給与した.哺乳期の紫サツマイモパウダー給与区では,酸化ストレス指標であるSH基およびTBARS値において,SH基濃度で除角後0~1時間で有意に増加し(P<0.05),5時間以降でも無給与区より有意に高かった(P<0.05).一方,TBARS濃度には,有意な差を認めなかったが,除角直後から24時間後にかけて,給与区が無給与区より低値であった.育成期の紫サツマイモパウダー給与区では,去勢実施後にSH基濃度の増加傾向が認められた.しかしながら,肥育期では,紫トウモロコシサイレージ給与によるTBARSおよびSH基濃度への影響ならびに枝肉成績への影響は認められなかった.また,それぞれの給与期間の給与区における増体や体重への影響を認めなかった.以上より,黒毛和種における抗酸化物質アントシアニン高含量飼料給与は,発育への影響は認められないものの,紫サツマイモパウダーを給与した哺育期および育成期において酸化ストレスを軽減することが示唆された.

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「かごしま黒豚」の遺伝資源の保存および胚の移植技術に関する研究

池谷幸恵・前田昂亮・大小田勉・鈴々木昭一

要約

蹄疫等の重大疾病や天災等による「かごしま黒豚」の絶滅を回避し,将来にわたり遺伝資源として活用できる体制を構築するため,系統豚「サツマ」,「ニューサツマ」および「サツマ2001」の遺伝資源である精液と胚を凍結・保存した.遺伝資源の消失リスクを低減させるため,その一部をIBBPセンター(大学共同利用機関法人自然科学研究機構基礎生物学研究所内)にて保存した.胚の保存はガラス化法を用い,保存胚の活力向上を図るため,ガラス化前後の洗浄液をそれぞれYoshiokaら9)によるPXM-HepesからPBM-Hepesへ,Hirayamaら2)によるPZM-HepesからPBM-Hepesに変更し,洗浄回数を2回から10回に増加させ,1時間の培養を止めたところ,融解後の胚の生存率と孵化率はそれぞれ63.3%から89.7%,43.3%から75.9%に有意に上昇した.更に,胚移植の受胚豚に関し,発情徴候中心だった母豚の選定に客観性を持たせるため,母豚の子宮頸管粘液中の好中球数を指標に加えたところ,平均11.3×106個/ml未満の受胚豚の受胎率,分娩率,産子数,産子率(産子数/移植胚数)が高かったことから,貴重な遺伝資源を移植する際に,受胚豚の適否を判断する基準の一助となる可能性が示唆された.

全文(884KB)

「黒さつま鶏」の効率的な種卵生産技術の開発

酒井仁司・内村正幸・加治佐修・鈴々木昭一

要約

県で開発した「黒さつま鶏」の種卵の生産効率化を図るため,制限給餌法による‘横斑プリマスロック’種鶏の育成期から成鶏期まで一貫した体重コントロールについて検討した.育成期(4~20週齢)では飼料給与量を不断給餌区に対して60%に制限し,さらに成鶏期(20週齢以降)では産卵率に応じた給与基準(平均126g/日/羽)を設定した結果,産卵率,生存率,種卵生産個数が有意に増加した.飼料費の低減,種卵生産個数の増加及び生産安定化による経済効果も高く,制限給餌法が効率的な種卵生産に有効であることが示’唆された.

全文(827KB)

「鹿児島黒牛」のさらなる品質向上のためのDNA解析

中島亮太朗・川嶋啓介・溝下和則

要約

鹿児島黒牛の種雄牛選抜の指標とするため,SNP(DNA一塩基多型)情報を活用し早期に牛の能力を算出できるゲノム育種価選抜法について検討した.ゲノム育種価予測群(県有種雄牛27頭)の枝肉6形質についてゲノム育種価を算出し本牛期待枝肉成績との相関を検証し,(1)鹿児島県訓練群(県内産肥育牛837頭SNPデータ群)算出では相関係数r=0.59~0.83を得た.(2)全国訓練群(全国黒毛和種肥育牛17,125頭SNPデータ群)では相関係数r=0.66~0.85を得た.これらのことから,今後更に訓練群を積み上げることによってゲノム育種価の精度が上がり,従来のBLUP法による育種価と同程度の種雄牛の評価が行えると考えられ,遺伝的に高い能力を内在する後継牛の早期選抜が可能であることが示唆された.

全文(415KB)

 

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農政部農業開発総合センター企画調整部

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