水環境

水質汚濁とは

水質汚濁とは，事業活動その他の人の活動に伴って生じる河川や海域の水質の悪化により，人の健康又は生活環境に係る被害が生じることをいいます。

環境基準

水質汚濁に係る環境基準は，人の健康の保護に関する項目(健康項目)と生活環境の保全に関する項目(生活環境項目)について定められています。
健康項目に関する環境基準は，全ての公共用水域に一律に適用され，かつ直ちに達成・維持されるよう努めるものとされています。一方，生活環境項目に関する環境基準は，公共用水域ごとに利水目的に応じて類型が指定され，それぞれの類型ごとに基準値及び達成期間が設定されています。

• 公共用水域
  河川，湖沼，港湾，沿岸海域，その他公共の用に供される水域及びこれらに接続する公共溝渠(こうきょ)，かんがい用水路などをいいます。水質汚濁防止法においては，公共用水域が汚濁防止の対象とされています
• BOD
  「BiochemicalOxygenDemand（生物化学的酸素要求量）」の略語で，河川における有機性汚濁の代表的な指標です。その値は，水中の有機物が微生物の働きによって分解されるときに消費される酸素の量で表され，値が大きいほど水が汚れていることになります。
• COD
  「ChemicalOxygenDemand（化学的酸素要求量）」の略語で，湖沼や海域における有機性汚濁の代表的な指標です。その値は，水中の有機物が酸化剤により化学的に分解されるときに消費される酸素の量で表され，値が大きいほど水が汚れていることになります。
  

平成25年度県内公共用水域環境基準達成状況（河川・湖沼・海域）（PDF：804KB）

水質の状況

県内の37河川，4湖沼及び8海域についてBOD等に係る環境基準の類型指定を行い常時監視を実施しており，平成26年度はBOD(河川)及びCOD(湖沼・海域)に係る環境基準の達成率は，河川97.6％，湖沼75.0%，海域83.3%で全体で91.4%となっています。
また，平成26年度の人の健康の保護に関する項目(重金属等)については，82地点において調査した結果，2地点でほう素が環境基準を超過しました。原因は，調査地点が汽水域であり，海水の影響を受けたものと考えられます。
地下水については，全般的に良好な状況にありますが，一部の地域では砒素，ふっ素，ほう素，硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素，トリクロロエチレン，テトラクロロエチレンなどが環境基準を上回っている地点があります。
なお，公共用水域の水質は，全般的には良好に維持されています。

公共用水域(河川BOD、湖沼、海域COD)の環境基準達成率の推移

注1（）書きは，達成水域数/類型指定水域数
注2環境基準の達成評価は，河川はBOD，海域及び湖沼はCODのそれぞれ75％値により行うこととなっている。

地下水の測定結果（平成26年度環境基準値超過井戸）

• トリクロロエチレン
  金属部品の脱脂洗浄剤として使われてきた物質で，今日では代替フロンの原料としての用途が多いです。自然界に存在しない合成化学物質で，水質汚濁や土壌汚染，大気汚染に係る規制の対象となっています。
  
• テトラクロロエチレン
  ドライクリーニングや金属・機械等の脱脂洗浄剤に使われてきた物質で，今日では代替フロンの原料としての用途が多いです。自然界に存在しない合成化学物質で水質汚濁，土壌汚染，大気汚染に係る規制の対象とされています。
  
• 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
  雨水や生活排水，工場排水などにも由来しますが，化学肥料や家畜ふん尿なども原因と考えられる物質であり，水質汚濁に係る環境基準の対象物質とされています。

水質保全対策

公共用水域の水質保全を図るため，工場・事業場に係る排水については，法令に基づき監視・指導を行うとともに，法による規制が適応されない小規模な工場・事業場に対しても適正な排水管理を指導しています。
また，生活排水については，公共下水道や合併浄化槽などの整備を促進するとともに各家庭からの汚濁物質を削減するため県民の水質保全意識の高揚を図っています。
特に閉鎖性水域である，鹿児島湾や池田湖については，鹿児島湾ブルー計画や池田湖水質環境管理計画に基づき，生活排水対策，工場・事業場対策，畜産農業対策，水産養殖業対策など，関係団体や県民と連携して総合的な水質保全対策を推進しています。

• 閉鎖性水域
  湖沼や周辺のほとんどが陸地で囲まれている海域を指します。水の交換が少ないために，水が汚れやすく，また水底に汚濁物質の堆積が進みやすくなります。県内では，鹿児島湾や池田湖などが当てはまります。
  
• 合併処理浄化槽
  し尿と生活排水を併せて処理でき，単独処理浄化槽に比べ，川などに放流される汚れの量が8分の1になり，下水道と同等の効果が期待できます。
  なお，現在「浄化槽」は「合併処理浄化槽」のことを指します。

合併処理浄化槽と単独処理浄化槽との違い

 

水質環境管理計画の概要

	鹿児島湾ブルー計画		第4期池田湖水質環境管理計画
対象地域	鹿児島湾域の集水域内にある 6市2町（6ゾーンに区分）		指宿市の池田湖直接集水域及び南薩畑地かんがい事業に関わる 南九州市頴娃町3河川の頭首工上流の間接集水域
計画期間	平成17年度～		平成23年度～平成32年度
水質保全目標	項目	目標水質	項目	目標水質
	COD	2mg/L以下	COD	3mg/L以下
	窒素	0.3mg/L以下	窒素	0.2mg/L以下
	りん	0.03mg/L以下	りん	0.01mg/L以下