取り組み例(南東、南西方向の落葉広葉樹の植栽)
落葉広葉樹は四季による気候の変化によって、葉の量を極端に変えていきます。
日照量が増える春~夏にかけては葉を密に茂らせて、日差しの約9割を遮ることができます。
逆に、秋~冬にかけては葉が紅葉し、やがて落葉するため、日差しを遮ることがありません。(図1-17)
図1-17落葉広葉樹による天蓋の効果
「e-デザイン倶楽部資料」より作成
葉の茂った樹木は、太陽輻射熱を吸収あるいは反射するため、樹木と地面の間に適度な涼しさをもたらします。
一方、太陽からの輻射熱が減少し、気温も下がる秋~冬にかけて、落葉広葉樹は紅葉し、太陽輻射の吸収率が下がるため、樹木の下には適度な輻射熱が届きます。更に気温が下がる真冬には、全て葉が落ち、太陽輻射熱を遮断することなく取り入れることができます。
樹種の選定
夏期の日射遮蔽と、冬期の日射取得を実現する為には、まず落葉広葉樹を選択することが前提です。
落葉樹の中には広葉樹と針葉樹がありますが、一般的に天蓋には、落葉広葉樹で、葉の大きいもの(コブシ、カシワ等)が適しています。これは、植えた後、木の年令が若いうちから遮光効果を期待できるためです。(写真1-14)
ただし、空間の演出や方位の条件等により、葉の小さいものや、葉の密度の粗いものを利用することも考えられます。
写真1-14天蓋の下の明るさ(遮光効果の違い)
(左)シラカシ、モチノキ、シイノキ等(暗い)
(中)ケヤキ、コブシ、ハルニレ等(中間)
(右)ヤマボウシ、ハナミズキ等(明るい)
方位による植栽手法
日照条件の良い、住宅の南側では、主に高い位置からの日差しを遮り、逆に居室からの眺望を必要以上に阻害しないことが大切です。この為、樹冠部が密で、下部には葉や枝がないものが適すると言えます。(写真1-15)
朝夕の日差しが入る住宅の東と西側では、主に低い角度からの日差しとなるため、下枝が多く、枝が2重3重に繁殖する樹種が適しています。(写真1-16)
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