1基本理念
次代の鹿児島を担う青少年が，将来に夢を持てるような，自立の精神と豊かな感性を持ち，国際的感覚に富み，ふるさとを愛する心を持った人間に成長することは県民すべての願いである。
（1）自立の精神・豊かな感性，国際的感覚，ふるさとを愛する心をそなえた青少年の育成
青少年が，その成長段階に応じた様々な課題に挑戦しつつ，自己の確立に向かって努力することや，社会を構成する一員としての責任と誇りを自覚し，様々な交流活動やボランティア活動等に主体的・積極的に参画していくことを通して，社会的に自立した個人として成長し，他者や地域社会とともに生きていけるよう支援していくことが重要である。
（2）親・大人の意識の高揚・啓発
最近の青少年問題の背景は，大人社会の反映であり，子どもの問題は大人の問題であることをしっかり認識し，家庭では親が，地域社会では大人が，子どもと真正面から向き合うことが大切である。
（3）地域ぐるみの青少年育成
青少年は社会のかけがえのない一員で，未来への希望を託すものであり，青少年の育成には，社会全体の責任として，行政のみならず，地域の自治会，ボランティア，NPO等がともに協力し，支え合う共生・協働の地域社会づくりが重要である。
2現状・課題
（1）今日，国際化・情報化の進展とともに，核家族化・少子化の進行や地域社会の連帯感の希薄化，有害情報の氾濫など青少年を取り巻く社会環境の変化は，青少年の意識や行動に様々な影響を及ぼしている。
（2）このような中で，地域の縁や地域社会に蓄積された様々な知恵を活用した取組等により，多くの青少年が健全に育っている一方，社会生活を送る上での基本的ルールを十分に習得できない青少年もみられるようになっている。
（3）国内においては，青少年による凶悪事件の発生や，非行の低年齢化，児童虐待，不審者による連れ去り，出会い系サイト等による青少年が被害者となる事件の発生，若者の高い失業率やフリーターやニート，ひきこもり，無職少年など，青少年が直面する問題は深刻化している。
なお，本県においても，刑法犯少年や薬物乱用少年，飲酒・喫煙・深夜外出等の不良行為少年やいじめ，不登校，暴力行為の発生などが見られ，その解決が課題である。
3基本方針
基本理念及び現状・課題等を踏まえて，基本方針を次のとおり定める。
（1）青少年の自立の精神と豊かな感性のかん養，国際的感覚やふるさとを愛する心の醸成を目的とした「郷土（ふるさと）に学び・育む青少年運動」を家庭・学校・職場・地域等が一体となって積極的に推進する。
（2）運動の進め方としては，青少年の育成は家庭が基本であるという認識のもとに，鹿児島の教育的伝統と風土を生かしながら，次の4つを柱として，各年齢期（乳幼児期，学童期，思春期，青年期・ポスト青年期）に応じた青少年の育成に関する諸施策を，市町村をはじめ関係機関・団体との連携を密にしながら広く県民の理解と協力を得て積極的に実施することにより，青少年の健全育成を推進する。
また，市町村においても，それぞれの地域の特性を生かした各種の青少年の健全育成事業を推進する。
＜運動推進の4つの柱＞
（1）推進体制の充実・強化
民間団体等と国・県などの行政機関が連携・協力しながら一体となった青少年を育む運動を推進する体制を強化する。
（2）青少年の育成
青少年の育成は家庭が基本であることを踏まえ，親・大人の意識啓発を図るとともに，青少年が自分で考え，判断し，行動する主体的活動を促進し，家庭，学校，職場，地域の自治会，ボランティア，NPOなど地域社会の構成員が連携し，それぞれの役割を果たしながら，地域ぐるみの青少年育成に取り組む。
また，親子のふれあいや青少年の主体的活動の促進するため，「家庭の日」や「青少年育成の日」の推進を図るとともに，国際性豊かな青少年を育成するためにも各種国際交流事業を推進していく。さらに，困難を抱える青少年の自立や社会参加に向けた支援についても推進していく。
（3）青少年を育てる環境づくりの推進
青少年を心身ともに健全に育成するために，青少年を取り巻く環境の向上を目指すとともに，青少年健全育成に対する意識の高揚と地域を中心とした実践活動を促し，健全な社会環境づくりを推進する。
（4）関係機関・団体が相互に連携した運動の推進
関係機関・団体が緊密に連携し，青少年を育てる気運を盛り上げ，活発な青少年育成活動が展開されるよう運動の推進を図る。