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国立公園と世界遺産

日本初の国立公園

霧島(きりしま)は、昭和9(1934)年に日本で最初の国立公園に指定されました。

その30年後の昭和39(1964)年には、桜島(さくらじま)地区、指宿(いぶすき)地区、佐多(さた)地区からなる錦江湾(きんこうわん)地域(ちいき)と、屋久島(やくしま)地域(ちいき)が追加で指定されて、「霧島屋久(きりしまやく)国立公園」となり、自然環境(かんきょう)が大切に保護(ほご)されてきました。

平成24(2012)年には、火山活動によってできた地形や景観(けいかん)が中心の「霧島錦江湾(きりしまきんこうわん)国立公園」と、独特(どくとく)の生態系(せいたいけい)の景観(けいかん)をもつ「屋久島(やくしま)国立公園」とに分割され、新たな国立公園として生まれ変わることになりました。

鹿児島のシンボル「桜島(さくらじま)」

桜島(さくらじま)は標高1,117メートル、周囲52キロメートルの、錦江湾(きんこうわん)に浮かぶ(うかぶ)活火山です。

噴煙(ふんえん)をあげる活火山からわずか4キロメートルしか離れ(はなれ)ていない場所に、鹿児島市のような大きな都市があるのは、世界的に珍しい(めずらしい)ことです。

世界最大の桜島(さくらじま)だいこんと、世界最小の桜島(さくらじま)小みかんの産地としても有名です。

桜島(さくらじま)の名前の由来

神話に登場するコノハナサクヤヒメからとったという説や、10世紀中頃(なかごろ)に大隅守(おおすみのかみ)として赴任(ふにん)してきた桜島忠信(さくらじまたたのぶ)の姓(せい)からとったという説のほか、古代の桜島(さくらじま)大噴火(ふんか)の時に海面にサクラの花びらが舞った(まった)ので桜島(さくらじま)となったという説などがあります。

実際に桜島(さくらじま)と呼ばれるようになったのは江戸時代前期の元禄(げんろく)の頃からで、それ以前は「向島(むこうじま)」と呼んでいました。

大正3年の噴火(ふんか)で陸続きに

昔は錦江湾(きんこうわん)に浮かぶ(うかぶ)島でしたが、大正3(1914)年の大爆発(ばくはつ)による溶岩(ようがん)で、それまで対岸にあった大隅半島(おおすみはんとう)との間の瀬戸海峡(せとかいきょう)が埋まって(うまって)陸続きになりました。爆発(ばくはつ)によって、なんと30億トンの溶岩(ようがん)が流れ出たといわれています。

昔は山頂(さんちょう)まで登れた

以前は登山ができ、大久保利通(おおくぼとしみち)も登ったことがあるそうです。大正3(1914)年の大爆発(ばくはつ)以降(いこう)も穏やか(おだやか)で、頂上(ちょうじょう)までの登山もできました。桜島(さくらじま)登山リレーも盛ん(さかん)に行われ、昭和21(1946)年の大噴火(ふんか)の後も、南岳(みなみだけ)を駆け(かけ)上る登山リレーが行われていたそうです。

ところが、昭和30(1955)年に噴火(ふんか)した時に北岳で死傷(ししょう)者が出たので、それからは登山禁止(きんし)になりました。

燃(も)ゆる思ひ

我(わが)むねの
燃(も)ゆる思ひにくらぶれば
煙(けむり)は薄し(うすし)
桜島(さくらじま)山

桜島(さくらじま)を詠ん(よん)だ歌として有名な一首(いっしゅ)です。実はこの作者は鹿児島の人ではなく、元福岡藩士(はんし)の平野国臣(ひらのくにおみ)で、国を追われ、失望した胸(むね)の内を詠んだ(よんだ)ものです。

世界自然遺産(いさん)の島久島(やくしま)

鹿児島市から南方へ135キロメートルの場所にある屋久島(やくしま)は平成5(1993)年、日本で初めて世界自然遺産(いさん)に登録されました。

植生(しょくせい)の垂直(すいちょく)分布(ぶんぷ)

照葉樹(しょうようじゅ)の豊か(ゆたか)な森が広がる屋久島(やくしま)。海岸のマングローブから、標高約1,000メートルまでの照葉樹林(しょうようじゅりん)帯、約1,800メートルまでのスギ樹林(じゅりん)帯、山頂(さんちょう)付近の草原帯など、標高が上がるにつれて育つ植物が変化する植生(しょくせい)の垂直(すいちょく)分布(ぶんぷ)が見られます。

ひと月の35日は雨?

小説家の林芙美子(はやしふみこ)が小説「浮雲(うきぐも)」に書いたように、屋久島(やくしま)はひと月に35日は雨が降って(ふって)いるように感じるほど雨の日が多い島です。1年間に降る(ふる)雨の量は、平地で4,000ミリメートル前後、山岳(さんがく)部で8,000~1万ミリメートルで、鹿児島市の約2,200ミリメートルと比べる(くらべる)といかに多いかがわかります。

南の島なのに雪が降る(ふる)

南の島の屋久島(やくしま)は、海岸や平地は年間の平均(へいきん)気温が約20度の亜熱帯(あねったい)の気候ですが、九州で一番標高(ひょうこう)が高い宮之浦岳(みやのうらだけ)の山頂(さんちょう)部は、年間平均(へいきん)気温が推定(すいてい)6~7度で、冬には数カ月も雪に覆わ(おおわ)れます。このため、北海道など寒い地域(ちいき)でしか育たない植物も見ることができ、「洋上のアルプス」ともいわれています。

映画のイメージにもなった神秘(しんぴ)の森

屋久島(やくしま)の白谷雲水峡(しらたにうんすいきょう)は、映画「もののけ姫(ひめ)」の舞台(ぶたい)のイメージの源(みなもと)となったといわれており、ヤクスギと照葉樹(しょうようじゅ)とが混生(こんせい)した、すばらしい眺め(ながめ)を楽しめます。渓流(けいりゅう)沿いの散策(さんさく)コースを奥に進むと、足元がシダやコケ類(るい)で緑に覆われた(おおわれた)「苔(こけ)むす森」の神秘的(しんぴてき)な世界が広がっています。

シカやサルがたくさん生息(せいそく)

ヤクシカは約9,000~16,000頭、ヤクシマザルは約9,000~19,000頭が生息(せいそく)するとみられていますが、確か(たしか)な頭数は分かっていません。
ヤクシカはニホンジカの亜種(あしゅ)で、ヤクシマザルはホンドザルより小さい体をしています。ヤクシカは海岸近くの低い山から標高2,000メートルの山頂(さんちょう)まで、広い範囲(はんい)で暮らし(くらし)ています。

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