緑化による微気候の改善
対策の概要
気候風土にあった住宅
伝統的な民家は、それぞれの地域の気候を色濃く反映しています。それは現在のシェルター化した住宅とは違い、強い日差しや、台風や冬の強い季節風等の風雨から屋敷を守る外部空間(イエヤマや屋敷林等)をしつらえ、住宅の内部と外部に関わりをもたせながら快適な生活空間を形成してきました。
現在では、住宅の性能が向上し、室内は冬でも夏でも設備機器による温度や湿度の調整が可能になったことで、住宅は内部と外部の繋がりが希薄になってきていると言えます。
内部と外部を合わせて考える
現在のような設備機器を多用しながら室内の生活環境を向上させる暮らしは、一方で外部環境に負担を強いるようになっています。これからの住宅は各地域の気候や立地条件に配慮し、住まいの外部と内部をバランス良く一体で考えること、あわせて人間の生理機能を良く理解することが重要になります。
図10-1微気候のメカニズム:農家タイプ
出典:ミサワホーム14「自然環境を活かした伝統的住生活の知恵」
家の南側の地面や屋根は、太陽光を受け熱せられ、また、樹木の葉も陽射しによって蒸散作用が盛んになり光合成が活発化します。こうして建物の南側から温かい空気の上昇流が発生します。一方、建物の北側は日陰のため地表面の冷放射による滞留した冷気があり、また、屋敷林側からの冷気の下降流が発生します。すると空気密度の低くなった南側に向け、この冷気が引き込まれ、屋内に涼風が吹き抜けるようになります。
図10-2微気候のメカニズム:町屋タイプ
出典:ミサワホーム14「自然環境を活かした伝統的住生活の知恵」
町屋には坪庭、中庭という大きさの異なる内庭があります。外の風が直接室内に吹き抜けるのではなく、庭と庭の間に生まれる圧力差を利用して、間接的に室内に風を呼び込んでいます。また、まったく風がない時でも庭に水を撒くことで庭に挟まれた室内にそよ風が生まれます。
主な手法
●緑陰の創出
●照り返しの防止
●打ち水の効果
●十分な地中水分の確保
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