更新日:2022年2月16日
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近年は地球環境の悪化が著しく,多くの問題を抱えているが,その一つとして野生生物の減少・絶滅が挙げられる。こういった生物の保護を目指し,国際自然保護連合(IUCN)は昭和41年に,世界的な規模で絶滅のおそれのある動植物の種を選定し,レッドデータブックとして発行した。これは,ワシントン条約等の国際条約や,各国の保護政策の基礎資料として広く活用されている。
日本では,平成3年度に当時の環境庁が,動物を対象とした「日本の絶滅のおそれのある野生生物─脊椎動物編」,及び「同─無脊椎動物編」のレッドデータブックを発行した。
その後,平成7年度には国際自然保護連合(IUCN)で採択された新しいカテゴリーの考え方を踏まえ,動物についてはレッドリストの見直し,植物については選定に着手した。その作業をもとに,平成9年度~12年度にかけ,生物群ごとにレッドリストを公表した。さらに,その内容に基づいたレッドデータブックを,平成12年度~18年度に順次発行した。その後もレッドリストの見直し作業は,平成14年度から2回目,平成20年度から3回目が行われ,平成26年度には新しいレッドデータブックが発行された。
これらのデータブックは,全国的な視野でまとめられているため,都道府県単位の実状とは必ずしも一致しない。県レベルで種の保護を図っていくためには,地域に密着したレッドデータブックが必要である。
こういった考えから,各都道府県単位でのレッドデータブック作成が進められていった。鹿児島県でも,平成11年度~14年度にかけて調査を実施し,平成15年3月に鹿児島県レッドデータブックが発行された。この内容をもとに,「鹿児島県希少野生動植物の保護に関する条例」が制定されるなど,鹿児島県の野生動植物保護に大きく寄与してきた。しかし,野生生物をめぐる状況は急速に変化しており,レッドデータブック発行当時の状況から徐々に評価等も合わなくなってきた。そのため,最新の状況に合わせた内容の改訂が必要となった。
鹿児島県は,南北600kmにも及ぶ広大な県土を有し,自然環境も多様である。九州本土の南端に位置するとともに,南西諸島をはじめとする島嶼が非常に多いことが特徴である。これらの特徴を反映し,生息・生育する野生動植物には,北限種・南限種・固有種など学術的に価値が高い種も多い。
しかし,鹿児島県でも様々な開発行為,外来種の蔓延,乱獲など,野生動植物は多くの脅威に曝されている。そのため,絶滅のおそれのある種も増えてきている。
本レッドデータブックは,平成24年度~25年度の「希少野生生物調査事業業務委託」,平成26年度~27年度の「鹿児島県レッドデータブック改訂業務委託」として実施した調査に基づき,県内の絶滅のおそれのある種の最新の状況を明らかにしたものである。本書を通じて,県民や事業者に対し,改めて広く普及啓発を図り,自然保護への理解を深めていただくとともに,行政機関にあっては,自然保護施策への活用や開発事業での配慮を求めることを目的とする。
IUCN |
環境省 |
鹿児島県 | |||||
Evaluated | Adepuatedata | Extinct | 絶滅(EX) | 絶滅 | |||
Extinctinthe Wild | 野生絶滅(EW) | 野生絶滅 | |||||
Threatened | Critically Endangered | 絶滅危惧 (Threatened) |
絶滅危惧(1)類 (CR+EN) |
絶滅危惧(1)A類(CR) | 絶滅危惧(1)類 | ||
Endangered | 絶滅危惧(1)B類(EN) | ||||||
Vulnerable | 絶滅危惧(2)類(VU) | 絶滅危惧(2)類 | |||||
Lower Risk | Conservation Dependent |
- |
- |
||||
Near Threatened | 準絶滅危惧種(NT) | 準絶滅危惧種 | |||||
Least Concern |
- |
- |
|||||
Data Deficient | 情報不足(DD) | 情報不足 | |||||
Not Evaluated |
- |
- |
|||||
- |
絶滅のおそれのある地域個体群(LP) | 消滅 | |||||
野生消滅 | |||||||
消滅危惧(1)類 | |||||||
消滅危惧(2)類 | |||||||
準消滅危惧 | |||||||
情報不足 | |||||||
- |
- |
- |
種・亜種 |
地域個体群 |
計 |
||||||||||||||||||||||||||
絶滅 |
絶滅のおそれのある種 |
準絶滅危惧 |
分布特性上重要 |
情報不足 |
小計 |
消滅 |
消滅危惧(1)類 | 消滅危惧(2)類 |
準消滅危惧 |
情報不足 |
小計 |
|||||||||||||||||
絶滅危惧(1)類 | 絶滅危惧(2)類 | |||||||||||||||||||||||||||
2003 | 2016 | 2003 | 2016 | 2003 | 2016 | 2003 | 2016 | 2003 | 2016 | 2003 | 2016 | 2003 | 2016 | 2003 | 2016 | 2003 | 2016 | 2003 | 2016 | 2003 | 2016 | 2003 | 2016 | 2003 | 2016 | 2003 | 2016 | |
哺乳類 | 3 | 3 | 10 | 11 | 8 | 9 | 3 | 2 | 18 | 18 | 4 | 4 | 46 | 47 | 3 | 3 | 1 | 1 | 1 | 1 | 8 | 7 | 11 | 53 | 58 | |||
鳥類 | 17 | 19 | 24 | 31 | 15 | 17 | 8 | 8 | 14 | 16 | 78 | 91 | 0 | 0 | 78 | 91 | ||||||||||||
爬虫類 | 2 | 2 | 3 | 5 | 9 | 11 | 21 | 17 | 3 | 2 | 38 | 37 | 2 | 4 | 2 | 5 | 1 | 2 | 2 | 1 | 5 | 14 | 43 | 51 | ||||
両生類 | 2 | 3 | 6 | 5 | 4 | 6 | 13 | 11 | 25 | 25 | 1 | 0 | 1 | 25 | 26 | |||||||||||||
汽水・淡水産魚類 | 19 | 37 | 5 | 11 | 8 | 16 | 79 | 21 | 23 | 132 | 87 | 1 | 2 | 2 | 5 | 2 | 2 | 5 | 6 | 10 | 15 | 142 | 102 | |||||
昆虫類 | 4 | 28 | 42 | 35 | 46 | 52 | 85 | 1,110 | 140 | 24 | 23 | 1,249 | 340 | 1 | 1 | 4 | 5 | 5 | 2 | 3 | 8 | 13 | 1,257 | 353 | ||||
陸産貝類・ 淡水汽水産貝類 |
8 | 5 | 65 | 57 | 74 | 76 | 193 | 191 | 38 | 42 | 89 | 6 | 467 | 377 | 8 | 8 | 10 | 10 | 18 | 18 | 485 | 395 | ||||||
汽水・淡水産 十脚甲殻類 |
7 | 13 | 4 | 8 | 19 | 24 | 38 | 40 | 3 | 1 | 71 | 86 | 1 | 1 | 2 | 0 | 73 | 86 | ||||||||||
計 |
11 |
12 |
150 |
184 |
159 |
191 |
303 |
352 |
1,325 |
276 |
158 |
75 |
2,106 |
1,090 |
5 |
8 |
5 |
8 |
13 |
19 |
19 |
19 |
8 |
18 |
50 |
72 |
2,156 |
1,162 |
「改訂・鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動物-鹿児島県レッドデータブック2016-」は,(一財)鹿児島県環境技術協会から購入することができます。
問い合わせ先 |
一般財団法人鹿児島県環境技術協会 環境生物部 〒891-0132鹿児島市七ツ島一丁目1番地5 Tel:099-262-5369 Fax:099-262-6471 |
---|---|
販売価格 |
動物編:2,200円(税別,送料別) 植物編:2,200円(税別,送料別) セット購入:4,100円(税別,送料別) |
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