里親制度の概要
1.里親とは
里親とは,親の死亡,行方不明,長期の入院,拘禁,離婚,経済的な理由,虐待,養育能力の欠如など,さまざまな事情により自分の家庭で生活することができなくなった児童を,自らの家庭に温かく迎え入れ,愛情と真心を込めて養育してくださる方のことです。
県は,児童の養育に理解と熱意,そして児童に対する豊かな愛情を有している方を,里親として認定・登録し,保護を必要とする児童の養育をお願いしています。
2.里子とは
里子とは,上記の里親に養育されている児童のことです。
原則として,0歳から18歳までの保護を必要とする児童が対象となります。
3.里親と里子の関係
里親と里子の関係には,民法上の親子関係は発生しません。里親には実親の親権を完全に代行する権限はなく,里子にも里親の財産を相続する権利や里親を扶養する義務がありません。
里親と里子の関係を,養子縁組をした親子関係であると勘違いしがちですが,民法上の養子縁組は,当事者間に法的な親子関係を発生させる手続きであり,養育が主である里親と里子の関係とは異なります。
4.里親の種類と要件
里親は次の4種類に分類されています。
里親になるには,特別な資格等は必要ありませんが,知事から里親として認定され,鹿児島県の里親として登録される必要があります。
(1)養育里親
ア養育里親
保護者のいない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童(以下「要保護児童」という。)を養育する里親として養育里親名簿に登録された者で,次の要件が必要です。
1)要保護児童の養育についての理解及び熱意並びに児童に対する豊かな愛情を有していること。
2)経済的に困窮していないこと(要保護児童の親族である場合を除く。)
3)養育里親研修を修了していること
4)里親希望者本人またはその同居人が欠格事由(禁固以上の刑を受けた者,児童虐待を行った者など)に該当していないこと
イ専門里親
次の要件を満たす,要保護児童を養育する里親として養育里親名簿に登録された者で,児童虐待等の行為により心身に有害な影響を受けた児童,非行のある又は非行に結び付くおそれのある行動をする児童,身体障害,知的障害又は精神障害がある児童のうち,特に支援が必要と認めた者を養育する里親です。
1)養育里親の要件1)から4)まですべてに該当すること
2)次の要件のいずれかに該当すること
(ア)養育里親として3年以上委託児童の養育の経験を有すること
(イ)3年以上児童福祉事業に従事した者で知事が適当を認めた者等
3)専門里親研修を修了していること
4)委託児童の養育に専念できること
(2)養子縁組里親
要保護児童を養育すること及び養子縁組によって里親になることを希望し、養子縁組里親名簿に登録された者。
1)養育里親の要件1),2),4)に該当すること
2)養子縁組里親研修を修了していること
(3)親族里親
要保護児童の扶養義務者及びその配偶者である親族であって,次に掲げる要件を満たす要保護児童を養育する里親として認定を受けた者
1)養育里親の要件1),4)に該当すること
2)要保護児童の扶養義務者又はその配偶者である親族であること
3)両親その他児童を現に監護する者が死亡,行方不明又は拘禁等の状態となったことにより当該児童を養育できないことにより,これらの者による養育が期待できない要保護児童の養育を希望する者
5.里親になるための手続き
その手続きは,おおよそ次のとおりとなります。
- お近くの児童相談所で里親制度の詳しい説明をお聞きください。説明を受け,里親になりたいと考えている方は,研修の申込みをする必要があります。
-
県が里親支援機関に委託して行う基礎研修及び登録前研修を受講してください。
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児童相談所に里親認定登録申請書を提出してください。(基礎研修または登録前研修の前に申請しても構いません)
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児童相談所が里子が生活する場となる申請者のご家庭を訪問し,里親として適当であるか確認します。
- 児童相談所は知事へ調査結果を進達し,知事は鹿児島県社会福祉審議会児童福祉専門分科会へ諮問します。
- 鹿児島県社会福祉審議会児童福祉専門分科会は,申請者が里親として適格があるか審議し,その結果を知事へ答申します。
-
知事は,鹿児島県社会福祉審議会児童福祉専門分科会から適当であるとの答申を受けると,申請者を里親として認定・登録します。
- 登録されると,里親として里子を養育する資格を得ることになります。
これらの流れを図にすると次のようになります。
(注1)里親として登録されれば,里子を受託できる資格を得るのみで,すぐに里子を受託しなければならないということではありません。
(注2)養育里親及び養子縁組里親、専門里親については,登録を有効期間内に更新する必要があります。(養育里親及び養子縁組里親5年,専門里親2年)
6.認定申請から登録までの時間
鹿児島県社会福祉審議会児童福祉専門分科会は,年に2回(10月頃と2月頃)程度開催されます。
上の手続きにあるように,里親になるには鹿児島県社会福祉審議会児童福祉専門分科会へ諮問する必要があるため,里親認定登録の申請の時期によっては登録までに時間がかかる場合があります。
7.里親登録から里子を受託するまで
里親として,即座に里子を家庭に迎えることはありません。
里子は,児童入所施設を経由して里親に委託されるケースがほとんどですので,まずは,児童相談所や児童入所施設の職員を介して,施設において里子との面会,交流を図り,里子のこれまでの経緯や性格などを理解します。
次のステップとして,里子との外出や,里親宅への外泊等を行います。
これらの交流を繰り返した上で,里親が里子を養育できると判断した場合に,里子として委託されます。
交流の期間は里子の状況によって様々ですので一概には言えません。
8.里親委託費
里親は,県からの委託を受けて里子を養育しますので,毎月,県から里親委託費が支給されます。
その内容は,里子の日常生活に必要な経常的諸経費である「一般生活費」,義務教育に必要な学用品等を購入する費用である「教育費」,高等学校の授業料等の費用である「特別育成費」などです。
また,これらの費用以外にも,教材費や学校給食費の実費額(義務教育諸学校のみ),修学旅行費,入進学支度金などが支給され,里子に係る医療費(自己負担分)については,公費で負担します。(一部例外あり)
税制面では,里親に養育されている里子は,所得税法上の扶養親族とみなされ,扶養控除の対象になりますので,税負担が軽減されます。
9.サポート体制
里親として子どもを受託した場合は,近くの児童相談所に配置されている担当職員や中央児童相談所に配置されている里親推進員,児童養護施設や乳児院に配置されている里親支援専門相談員に,子育てで悩んだり困ったりしたときなど,いろいろなことを遠慮無く相談できます。
また,里親の方々の任意団体である里親会は,子育てに関する研修やキャンプ等のレクリエーション活動などを行っており,里親ならではの悩みや苦労を話し合える場を提供しています。
10.県内の里親の状況(令和5年4月1日現在)
(1)里親として登録されている方
516名(延べ人数)
(2)里親として登録され,現に児童を養育している方
59世帯
(3)里親に養育されている児童
79名
11.里親制度Q&A
12.お問い合わせ
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